なんでかな
アリスは、いつもマイペース。
なのに…なのに今日も瑠美姫は、うるさい。
「あのさ、あんたアリスのことどれくらい好きなわけ?」
…またわけのわからないことを言い出した。
「は?」
「だから、どれくらい好き?って聞いてんの‼︎」
めんどくさいやつめ。
「こんくらいー」
五センチくらいの指幅にして教えてやった。
「けっ、すっくなー」
「あ?てかさ、瑠美姫ってなんなの?なんでオレたちにそんな突っかかってくるの?」
「それは…だって…す、好きなんだもん‼︎好きなんだから、気になるんじゃないのっ‼︎」
え?
好き?
だれを…?
ん?
「えっ?」
「バカぁ‼︎あんたなんて…バカだ‼︎」
瑠美姫は、逃走した。
バカ?
…
「あ、舜ー。国語の教科書かして♡」
マイペースアリスがやってきた。
「ばかか?アリスに貸したらオレが使えねーだろ。そもそも同じクラスの奴に教科書かりたらダメだろ。てか、隣の席のやつにみせてもらえば……よくないな。オレが貸すからいいよ」
そうだった…
アリスには…
「あ、そういえば瑠美姫の…好きな…」
いや、教室でそれは聞けないか。
人の好きな人なんかベラベラ話すのもな…
「あたしが何⁉︎てかさぁ…あー、アリスぅ。ここにいたんだね!バカがうつるから行こ!」
戻ってきた瑠美姫は、キッとオレを睨んでアリスを連れ去った。
アリスは、ずっと教室にいたよ。
あんたが勝手に教室出て暴走してたんやんけ。
まったく…意味がわからない。
とある休日
いつものようにオレの部屋で、アリスがくつろいでいる。
「最近寒くなったよね」
「あー」
「てとこは?」
…ん?
なんだ?
ま、まさか⁉︎
オレは今、イチャラブ漫画を読んでいた。
姉貴に、これ読んで勉強しろって言われたからさ。
姉貴いたのかって?
ええ、二人も姉貴がおります。
ってさ、そんなことどうでもいいんよ‼︎
寒くなってきたねってさ…わたしを抱きしめてのサインか⁉︎
漫画がそう言っているぞ?
でも…
え…いきなりどうして…
そもそもオレたちは、付き合っているフリだし…
「え、寒い…あー、カイロな‼︎あるよ、ほらめっちゃ‼︎」
「ちーがーうー‼︎」
違った…
え、じゃあ…やっぱり…
んんんっ⁉︎
オレはどうしたっていうんだ⁉︎
暑くもないのに、変な汗がっ!
しかも、心臓がうるさいぞ⁉︎
どうしたっていうんだよ⁉︎
心臓よ…今日は、いったいなんのお祭りだ⁉︎
「えと…えと…」
「はい‼︎時間切れー‼︎」
⁉︎
タイムアウトだと⁉︎
くっそ…
なぜだ⁉︎
なぜオレは、彼女でもないアリスを簡単に抱きしめることすらできないんだ‼︎
あ、彼女じゃないから?
でも、この残念な気持ちといつまでもお祭り騒ぎの心臓は、いったい…
「正解は、収穫祭でーす‼︎芋芋いもーっ‼︎」
アリスは、芋騒ぎしていた。
…芋
あぶねー‼︎
オレは数分前まで、なにをしようとしてた⁉︎
あぶねー‼︎
危うくオレは…
「あー、てかさ食欲の秋だからって爆食い禁止だよ?わかっておられます?」
「はーい!よく噛んで食べるからご安心を」
「よろしい。腹も八分目な?食い過ぎ禁止だぞ?大丈夫か?」
「はーい」
…
ほんとに大丈夫かよ…まったく。
アリスは、ほんと…わかってないよなー。自分ってやつをさ…
「あ、ところでアリスは瑠美姫の好きな人知ってる?」
「うん、もちろん」
「だれ?」
「え?」
「ん?」
…
チクタクチクタクと数秒が過ぎた。
「え?で、だれ?」
「うーん…言っていいのかな?」
「え、なんで?」
「だって…本人いるし、聞いてみたら?」
ギョッ
いる…
いつのまにか…いるー…‼︎
いつからいるんだよ⁉︎
てか、さっきアリスのこと抱きしめなくてよかったー。
あ、でも抱きしめてたら、付き合ってる証拠見せられたな。
でもな…
なんかな…
なんでか抱きしめられないんだよな…
まだ心臓部がバクバクしてるし…
あ、このバクバクは…瑠美姫がいつのまにかのぞき見していてのバクバクか?
…
もう、わからない…よ?
バクバクも瑠美姫の好きな人もさ。
まぁ、誰でもいいけどさ。
とにかくバクバクがおさまれば、オレはいいのだ。
続く。




