証拠?
休日になるとアリスは、基本オレの部屋でくつろぐ。
なぜって?
一人で留守番が嫌いだし、あとはオレの部屋が漫画だらけってこともある。
超高速でボリボリお菓子を食いあさり、一気に食べ終えるアリス。
…
「あのさ、アリス…」
「ん?」
アリスは、なぜかこの前の恋人宣言について聞いてこない。
なので、自ら聞いてみた。
「なんで、この前の恋人宣言をすんなり受け入れたの?」
と。
まぁ、自分から宣言しておいてあれだけどね…
「あー、まぁいいかなぁってね!」
そんなノリ…
「そっか、ならしばらくそのままでいよう」
「うん」
なんか…
それとってー。いいよー。くらいのノリだ。
まあ、本人がそれでいいっていうからいいだろう。
「あ、アリスさ…もっとモグモグして食べなよ」
「え?なんで?」
「うーん…とりあえず彼氏命令だから」
「へー、意味わかんないけど、わかったー」
…
単純なアリスは、オレの意見にすぐ受け入れてくれる。
そもそも、アリスはなぜオレが恋人宣言したのに、そんなに普通なんだ?
ほんとならさ、もっと…あるくね?
いきなり恋人宣言とかどういうつもり?とかさ?
まぁ…たぶん、あの秘密があるからだろうけどさぁ。
だから、あえてオレもあの秘密はそっと見守りつつ、監視することとしようかな。
まったりアリスと過ごすいつもの休日…のはずが、もう一人の幼馴染のカズが久しぶりにオレの部屋にやってきた。
カズは、オレとアリスと同じ高校だが基本一緒には、いない。
なぜなら、いっつも彼女といらっしゃるから。
でも、なぜいつもデートしているカズがいらっしゃるか?って…それはもちろん…
「オレ…フラれた」
というわけだ。
「「あー…」」
オレたちは、どう返していいのかわからず、とりあえず曖昧な返事を返すしかできなかった。
「いやさ、なんか…倦怠期?みたいだなって思っては、いたんだよ…でもさ、まさか別れようなんて言われると思わないじゃん?ね?ねぇ、そう思うでしょ?」
「「いやー…」」
…
恋愛って大変そうだな。
しばらくカズの失恋話を聞かされた。
そんな次の日だった。
瑠美姫が休み時間、オレを呼び出したのは。
「なに?瑠美姫」
「あのさ、あんたとアリスって付き合ってるんだよね?」
「そうだけど」
「じゃあ…証拠みせてよ」
…
証拠?
「いや、意味がわからないんですけど?」
「だから、証拠よ‼︎ほんとは付き合ってないんでしょ⁉︎付き合ってないよね?ね?違うって言いなさいよ」
…
これはマズイです。
「ちょ、瑠美姫声がでかいから!」
「でも‼︎」
「瑠美姫、これ以上無駄話するなら口塞ぐよ?」
「へぇっ⁉︎そ、それは…どうやって…」
え?
瑠美姫の顔が赤くなった。
いや…なぜに赤面?
「おー、舜!サッカーしようぜーって…あ、お話中かよ。わりぃ」
「あー、大丈夫。」
「ちょ、大丈夫じゃない‼︎証拠見せてよね‼︎絶対に‼︎」
瑠美姫は、顔を真っ赤にしたまま逃走した。
なんだっていうんだ?
証拠ってなんだよ…
カズは…たぶんオレとアリスが付き合っていることを知らないと思う。
まぁ、頃合いをみて伝えようとは思うが、今は失恋で頭がいっぱいだろうから、もう少し後で伝えよう。
それにしても瑠美姫は、なぜこんなにもオレとアリスに執着するのだろうか…?
まさか…
…
あ、そうだ。
瑠美姫がオレたちを疑っているなら、他にも疑っている人がいるかも知れない。
だから、一応カップルらしくアリスと一緒に下校でもしようかなって思い、アリスの元へいった。
そして、
「今日一緒に帰ろうぜ」
っていうと瑠美姫が
「残念でした‼︎今日は、これからクレープ食べに行くんですー‼︎残念ー‼︎」
と、いってくるじゃないか…。
…
瑠美姫にもアリスの秘密を言った方がいいかな…。
でもな…
まだ確定じゃないし…
それに勝手に人の事情をオレから話すのも違うよな…
そもそもアリス自体が気づいてないってこともあるし…。
まずアリスに伝えた方がいいよな。
てことで、次の休みにアリスにオレが恋人宣言したわけを話した。
すると、やっぱりビンゴだった。
でも、もう一つの秘密は否定されてしまった。
こっちの方が重大なのに…
このままじゃ、ダメなのに…
続く。




