表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第三章:魔王の使徒、黒の魔女


 アステリアは、王都を掌握した。

 王は幽閉され、貴族たちは裁かれた。

 彼女は、魔王の力を使いながらも、民衆のために法律を改訂し、貧民の救済を始めた。


「私は悪女だけど、愚かな支配者よりマシよ」


 人々は、彼女を「黒の魔女」と呼び、恐れながらも尊敬した。

 魔王ルカインは、異界から彼女の行動を見守っていた。


「面白い。貴様、復讐で終わらせなかったな」

「ええ。復讐は、私の始まりにすぎなかったの。魔王様、あなたは私に力を与えた。その力で、この世界を変えたいの」

「……我の使徒が、秩序を正すとはな。皮肉だ」

「皮肉でも、正義でも、構わないわ。私が信じる道を進むだけ」


 ある日、新たな脅威が現れた。

 聖騎士団が、アステリアを「魔王の使徒」として討伐に来た。


「悪女アステリア! 聖なる力で、貴様の罪を裁く!」


 聖騎士団長のセシルは、かつてアステリアと学友だったが、彼女の「悪行」を信じて離れていった。


「セシル……あなたまで、私のことを信じられないの?」

「貴様は魔王と契約した! それだけで、悪と決まっている!」

「……そう。あなたたちは、見たものしか信じないのね」


 戦いが始まった。

 聖なる光と、黒き炎が衝突する。

 アステリアは、セシルの剣を受け止めながら、叫んだ。


「私たちは、同じ世界を信じていたはずよ! なのに、なぜ私だけが悪になるの?」

「貴様が魔王と手を組んだ時点で、終わりだ!」

「じゃあ、教えて。魔王は、なぜこの世界に干渉するの?」


 セシルは言葉に詰まった。


「それは……」

「魔王は、この世界の歪みを正そうとしているの。聖なる教会が、貧民を搾取し、戦争を煽っている。それも、神の名の下に!」


 アステリアは、黒い炎を纏い、セシルの剣を砕いた。


「私は悪女。でも、あなたたちより、真実を見ているわ」


 セシルは膝をついた。


「……貴様は、本当に変ったのか?」

「変った? いいえ。私は、最初からこうだったの。ただ、誰も見てくれなかっただけ」


 戦いは終わり、聖騎士団は撤退した。

 アステリアは、彼らを殺さず、記憶を残したまま解放した。


「真実を、教会に伝えて。そして、選んで。どちらの道が正義か」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ