2話
「こんにちは」
と愛らしい鈴転がすような声で語りかけてきたのは婚約者の妹君
「あぁ、こんにちはシンシア嬢」
「もう!シンシア嬢なんて堅い呼び方じゃなくてシアって呼んでください」
未来のお義兄様なんですから
なんて膨れ顔でそう言う
「わかった、ところでミシェルはどうしたんだ?」
いつもはちゃんと迎えてくれるのに
――「いらっしゃいませ、テオドール様」
とはにかみながら笑う彼女の顔を思い出す
体が弱いと聞いていたから体を壊したのかと少し心配になる
「お姉様なら、今少し忙しいのです!テオドール様をお待たせするのはよくないからとシアはお話相手を頼まれました!」
「そうか」
出された紅茶を一口飲み、彼女との会話を楽しんだ
1時間ほど経ったあと彼女は突然口にした
「シア、テオドール様と話すのが一番楽しいです!」
「僕もシアと話すのが楽しいよ」
「嬉しいです!テオって呼んでもいいですか?」
父と母しか呼ばないような愛称だが不思議と嫌ではなかった
「あぁ、そう呼んでくれ」
「嬉しいです!テオがシアの婚約者だったら良かったのに…」
と口を尖らせながらそう言う
「僕もそう思うよ」
と考えるよりも先に言葉が先に出ていた