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3話 離婚宣言

今は1526年3月。


「父上、私はネーデルランドのマルグリット様の下で学びたいのです。私は女王になるために、彼女には学ぶべきところが大いにあると思います。」


「うむ、そうかぁ!積極的に学ぶ意欲があって父は誇らしいぞぉ!しかし、わが家で俺の王位を継げるのはお前だけだ。よく考えてから返答させてくれ。」


そういった後父は黙り込んだ。しばらく考えたのち、父はこういった。


「うむ。お前のネーデルランド行きを許可する!お金も全額だす!お前の侍女も5人まで連れて行ってよい!加えて俺の選んだ侍女を2人、警護の男を25人、フランス語通訳を1人連れて行くように!」


フランス語通訳をつけてくれるのはありがたい。そして、侍女や警護の配置からすると、父は私がネーデルランドに行こうが警戒の目を解くつもりはないのだろう。ネーデルランドに行くから逃げ道がある、という当初の見立ては、雲行きが怪しくなりつつある。


「ありがとうございます。いつ、ここを出発すればよろしいでしょうか。」


「今から一月後で支度は間に合うか。」


「間に合います。」


「なら、そうしろぉ!」


「かしこまりました。」


こうして、ネーデルランドにいくことが決まった。


そしてアン・ブーリンは、こちらからおびき寄せるまでもなくやってきた。父に肩を組まれ(組まされ?)ながら。


「おはようございます。お・じょ・う・さ・まっ!アン・ブーリンと申します。」


口調が独特な人だ。そして思ったほど美人ではない。平均よりは上だろうが、この程度の顔、この王宮には掃いて捨てるほどいるし、父はいつもなら捨てる。鏡にうつる私のほうがずっと美しい。諸外国でも私の美貌はしられているとレジも言っていたし。家柄は母よりははるかに劣るし、教養あふれる女ならそもそも母を離婚させるなんてハイリスクすぎる賭けには出ないはずだ。この女が父の心を射止めた理由がつかめない。


そして数日後、父は愚かにも高らかに家臣たちの前でこう宣言したようだ。


「私、ヘンリーは、キャサリン・オブ・アラゴンとの結婚を無効とし、アン・ブーリンとの結婚をするのだ!!」


怒りを隠さない者。あからさまに顔をゆがめる者。不思議がる者。平静を装っているが呆れている者。


人によって反応は様々だが、アン・ブーリンの父、トマス・ブーリン以外誰一人として前向きなことだとはとらえていない反応であった。


そしてここから、理不尽な結婚解消要求との長い戦いが始まるのだろう。

ちょっと短いですが、きりがよかったのでここで切りました。

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