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最後の夏  作者: 羅針盤
4/15

8月3日

彼からの返信はまた来なかった

私たちは喧嘩でもしていただろうか。思い出せない、ただ単に自分が思い出したくないだけかもしれないが。

ーーーーーーー

花火大会は4時間後に迫っている。

返信はまだ来ない。いっそ彼の家まで行ってみようか。


それからの私の行動は驚くほど速かった、体が追い付かないほどに。

鍵を閉め自転車に乗る。


「あれ?動かない。」


どうやらパンクしているみたいだ。


「おかしいな、この前修理に出したはずなのに。何か変なものでも踏んじゃったのかな」


自転車が動かないなら歩いていくしかない。16時とは言え真夏だ。太陽は強く照らしている。


予想とは裏腹に熱くは無かった、むしろ寒いような。

ただ、足は思ったように動かなかった。


「また熱中症かな」


彼の家に着いたが彼の自転車がない。まさか事故にでも遭ったのだろうか。

とにかく玄関の前で待って居よう。

ーーーーーーー

「今日の花火大会楽しみだね」


近くで声がする、誰の声だろう。


「あと3時間か、まぁ間に合うでしょ」


今度は彼の声だ。てことはさっきのは私の声?これは夢だろうか


「もう楽観的なんだから。浴衣着ていかないの?」

「いいよ。めんどくさいし、浴衣とか着る意味なくね」


彼はそんな風に思っていたのか。いや、これは夢だ。本当の彼はどう思うのかまだわからない


「ねぇ、ホントによかったの?」


なんだかやっぱり違和感、これは本当に私の声?


「彼女いるって言ってなかった?花火大会彼女と行けば?」


これ、夢なんかじゃない。目を覚ませ。

目の前にいるのは誰だろう。彼と、


「もういいんだ、あの人の話はやめよう。それより早く行こう」


…浮気相手か。

何をショック受けてるんだ。もうここまで聞いてたらわかるじゃないか。

彼は私を捨てて私からの連絡も無視して別の人を好きになっているんだ

ーーーーーーー

どうやって家に帰ったんだろう、何も覚えていない。

不思議と涙は出ない、実感が沸かないからだろうか。


ドン ドン


花火の音がかすかに聞こえる。遠くで響いてこだまする。

心拍のようなリズムを刻んで、そしてゆっくり消えていく。


「花火大会行けなかったな」

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