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お兄ちゃんは私が可愛いと思ってくれているみたいです

 ナーノ・ユニバースでの買い物を終えて、買った服にすぐ着替えてお店の外へでたらモデル事務所のスカウトをしている冴羽さんに私達は声をかけられました。


「ええと、具体的に言えばこちらのハイティーン向けのファッション雑誌のモデルさんをお願いしたいんです。

 お兄様と妹さん一緒で」


 ということでお兄ちゃんと私一緒にモデルにスカウトされたんだよね。


 それから、


「僕たちは未成年の高校生ですし、まずは両親にも相談し承諾を得ないと駄目でしょう」


「それは、そうですよね。

 では、もし承諾していただけそうであれば名刺に書いてある会社の固定電話に直接電話していただければと思います。

 業界ではそれなりに有名なのですが住所なども調べていただければ信用していただけるかと」


 と言うやり取りがあったあとお兄ちゃんは冴羽さんから名刺を受け取って、私達は冴羽さんと分かれました。


「さすがお兄ちゃんだね。

 モデルにスカウトされるなんて」


 私がそう言うとお兄ちゃんは小首をかしげた後私に言いました。


「いや、あの人がスカウトしたかったのはお前だと思うよ。

 俺は多分保護者だと思われたんだろうな」


「そうかなぁ、超絶美形のお兄ちゃんに比べれば、私なんて全然可愛くないと思うけど」


 私がそう言うとお兄ちゃんはたしなめるように私にいいました。


「いいかお前は十分かわいいし、勉強も運動だってできる。

 俺にとっては自慢の妹なんだぞ」


 そう言われて私は表情が緩んでしまいました。


「えへへ、ありがとうねお兄ちゃん。

 お世辞でも嬉しいな」


 そしてお兄ちゃんは更にいいます。


「だいたいお前は中学3年の時に100メートル走で12秒ジャストって記録出しただろ?」


「え?

 うん、そうだね」


「中学3年生性の女子日本記録は11.93秒だぞ。

 12秒ジャストはすごい記録なんだ」


「あ、そうなんだ。

 それならもうちょっとで日本新記録も行けたかもしれなかったんだね」


「そういうことだ。

 お前は勉強が忙しいからと、運動部の勧誘を全部断っていたけど、体育祭でも活躍してたじゃないか」


「あ、うん。

 まあリレーのアンカーとかやったけど頑張って1位になれたから良かったよ」


「だからお前はもっと自分に自信を持っていいと思うぞ。

 それはともかくさっきのモデルの話についてだがお前はどう思ってる?」


 お兄ちゃんにそのように聞かれて私は少し考えた後答えました。


「うーん、私一人だと不安だからお兄ちゃんと一緒ならやってもいいかなって思う」


 お兄ちゃんは私の答えを聞いてうなずきました。


「わかった。

 お前がやりたいなら俺も付き合ってやるよ。

 まあ、父さんや母さんにも相談して二人からやってもいいっていう許可が出たらと学校からky化がもらえたらだけどな。

 で、とりあえず両親の許可が出たら、確認のためにももらった名刺の固定電話の電話番号に電話してみよう」


「うん、ありがとうねお兄ちゃん」


 ・・・


 わたしは冴羽美奈子。


 モデル事務所に所属するスカウト兼マネージャーだ。


 モデル事務所は芸能プロダクションと違い、モデルは個人事業主としてモデル事務所にマネジメントを委託して、事務所がクラアントにモデル売り込み仕事を斡旋する。


なので中にはフリーのモデルとして直接クライアントと契約するモデルもいたりする。


芸能事務所は事務所が仕事を取ってそれを所属するタレントに与えるのがモデルと違うところだ。


 とはいえ事務所に所属したほうが仕事を得るのに有利なことは間違いないので、モデル事務所への所属したい人は殆どオーディションを経由して所属している。


 昔と違って最近では、Webから簡単にオーディションに応募できるため応募も多い。


 しかし、口コミを元に渋谷や原宿でスカウトをすることもある。


 今回も渋谷のナーノ・ユニバースに可愛い女の子がいるという口コミを聞いてそちらに向かった。


 そしてあのこを見つけた。


 東京学芸大学附属高校のセーラー服を着たあの子は、美しい髪や肌、スタイルや歩く姿勢の良さ、ほぼ素顔なのにとてもかわいくて、清楚で自然な印象のある女の子だった。


 一緒にいる男性もものすごいイケメンで顔立ちがにているからおそらく兄妹だろう。


 私達は原石のような将来性のある輝きのある人材を求めている。


 だから濃いメイクでは、素顔が分かりづらく、トレンドのファッションを着ていると無個性で目立たない存在に見えるのだ。


 そして彼女には人を惹きつけるなにかがあるように思えた。


 この業界ではオーラがあるとか華があるとかある種の雰囲気を持っていると言われているもので、これは表面的な美しさとかではなくもっと根源的なものなのよね。


 持って生まれた他人を魅了するカリスマ性とかスター性みたいなものとも言えるけど、具体的にそれが何なのかというと説明は難しいのだけど。


 ともかく彼らの声をかけてみようとするとお店の中に入ってしまった。


 流石にお店の中で声をかけるのはまずいだろうということで、1時間半ほど待っていると店で買ったらしい服に着替えた彼女たちが出てきた。


 制服姿も可愛いけど、私服姿もいいわね。


 私は二人を呼び止めモデルにならないかと声をかけた。


 そうするとお兄さんのほうが妹さんをかばうように前に立ってたらしとやり取りをしたのだけど最終的には名刺を受け取ってくれたのでホッとした。


 瞑想家取ってくれたなら興味は持ってくれたと思う。


 後は名刺の情報をパソコンなどで調べて私に事務所が怪しいものではないとわかってくれればいい。


 むろん高校生がモデル事務所に所属するためには保護者や所属する学校の許可が必要だし、それをクリアできたとしても本来は事務所の面接・オーディションを受け、それに合格してからようやく所属できるようになり、ウオーキングやポージングのレッスンを受けた後、クライアントのオーディションに合格してようやくデビューとなる。


 そもそもモデルになれるのは、1000人に1人くらい。


 さらにモデルだけで食べていけるようなレベルになれるのは、そのモデルになれた人のうちの20人に1人、つまり5000人に1人くらいとこの世界はとても厳しい。


 もちろんこれはタレントやアイドル俳優といった芸能人やニュースキャスターなども同様だけど、ほんのひとにぎりの人しか表舞台で活躍できない世界、それが華やかなモデルの世界の現実。


 でも彼女はきっとモデルとして成功できると思うのよね。


 ・・・


 電車で家に帰ってきた後お兄ちゃんは私に言いました。


「ちょっと名刺の会社について調べてみる」


「うん、お願いね、お兄ちゃん」


 お兄ちゃんと私はそれぞれ自分の部屋に戻りました。


 そして私は服を部屋着に着替え、買った服はクローゼットにしまって、制服にアイロンを掛け直しながらお兄ちゃんの調べ物が終わるのを待ちました。


 そしてしばらくしてお兄ちゃんが私の部屋に来て調べた内容について話してくれました」


「調べたところちゃんと名刺に書かれている住所に本社がある、それなりに名前の知られたモデルプロダクションみたいだ。

 まあ、スカウトしてきたほうからちゃんと名刺を渡したうえで固定電話の電話番号に連絡をくれといっていたから、少なくともさほど悪質なスカウトではないとは思ったけどな」


「そっか、それならよかったね」


「で、どうする?

 雑誌のモデルをやってみるか?」


「うん、お兄ちゃんと一緒ならやってみてもいいと思ってるよ」


「わかったあとは父さんや母さんに許可がもらええるかだな」


「そうだね、でもだめだったらすっぱり諦めるけど」


 というわけで夕ご飯の時に家族全員が揃ったところでお兄ちゃんが両親に言ったのです。


「父さん、、母さん。

 今日渋谷に行ったと時に俺と美紀で雑誌のモデルにスカウトされたんだ。

 その時のジョセ詠のスカウトから名刺をもらったんで、ネットで調べてみたんだけどそれなりに有名な中堅どころのモデル事務所みたいだし受けてみてもいいかなと思うんだけど、ふたりは許可してくれるかな?」


「なんだって?

 モデルにスカウトされた?」


 それを聞いてお父さんは驚いていたけどお母さんはあらあらと言って笑って言った。


「あらあら、そんな事があったのね。

 私はあなた達二人一緒でやるなら反対しないわよ。

 美紀ちゃんだけだったらちょっと心配だけど、あなたが一緒ついていればそつなく対応できるでしょう?」


お母さんの言葉にお兄ちゃんは頷いて言いました。


「まあ、大丈夫だとは思う。

 モデルなんておれもやったことはないから容量はわからないけどな」


 そしてお父さんもいう。


「まあ、社会勉強にはいいかもしれないな。

 必ず二人一緒でやるのなら私も反対はしないよ」


 二人の答えを聞いてお兄ちゃんはホッとしたように表情を緩めて笑いました。


「うん、母さんも父さんもありがとう。

 早速食事が終わったら電話をしてみる」


 まだなれると決まったわけじゃないけど私たち雑誌のモデルになれるこもしれないです。

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