お兄ちゃんと出かけたら視線を集めてしまったみたいです
家族揃っての楽しいバーベキューの時間が終わり、後片付けの時間になりました。
私とお母さんは汚れた食器や鉄串などを台所に持っていて洗い、お父さんとお兄ちゃんはタープやテーブル、椅子、ガスグリルなんかを物置にしまっています。
「あー美味しかった。
それにしても仕事人間のお父さんが家族オロってバーベキューみたいな家族サービスしてくれるなんて珍しいよね」
私がそう言うとお母さんは笑っていました。
「そうね。
あなた達が春休みで、暇を持て余しているみたいだからって張り切っていたわ。
多分あなたが頑張って勉強して東京学芸大学附属高等学校に合格したから、そのお祝いも兼ねてるんだと思う。
それに口には出さないけどお父さんはあなたのことが大好きなんだから」
「えへへ、それなら嬉しいかな」
東京学芸大学附属高等学校の 偏差値は72と高く、東京でも最難関レベルの学校のはずだからね。
もちろんただの倍率なら”前”の男子がいる学校より低いとは思うんだけど。
”前”では母に期待され、愛されていた優秀な”姉”と同じように、母に私を見てもらいたかったからやっぱり頑張って勉強していたけど、この世界では兄が勉強を教えてくれたおかげで勉強が捗っていたみたい。
ちなみに私の家は大田区の田園調布の中にある多摩川駅の比較的近くだから、東急東横線を使えば学校まで電車でそんなに遠くはないんだよね。
ただ、服とかの買い物だと結構不便で品川にも渋谷にも川崎にも微妙に遠いのが欠点かなあとは思うけど、基本的には閑静な住宅街だから過ごしやすくていいところだと思う。
片付けが終わったら私はお兄ちゃんに声をかけた。
「お兄ちゃん、入学前にある程度の復習や予習もしておきたいから勉強を教えてくれないかな?
私がそう言うとお兄ちゃんは爽やかなイケメンスマイルで言った。
「ああ、可愛い妹の頼みだしちょっとなら教えられるぞ。
まあ、俺も今年受験だから自分の復習・予習もしながらになるけどな」
「あ、うん。
それは当然だよね。
お兄ちゃん、大学はどこに行く予定なの?」
私がそうきくとお兄ちゃんは答えてくれた。
「やっはり就職に有利なところに行きたいし、早稲田か慶応かなって考えてる」
「でも、東京学芸大学ならエスカレーター式で上がれるんでしょ」
「うーん、学校の教師って、拘束時間から考えるとそんなに給料は良くないみたいだしな」
「確かに学校の先生のお給料は高いというほどではないけど、低くもないくらいとは思うんだけど」
「まあ、お前が教師になりたいならそれもいいと思うぞ。
とはいえ教師は完全な年功序列で若いうちはかなり給料安いし、部活動の顧問何かをやっても残業手当とかもないしな」
「うーん、なるほど。
少なくとも男性にとってはお給料で魅力がある職場じゃないってことなんだね」
「まあ、俺はそう思うってだけだがな」
その後は私のお部屋でお兄ちゃんから勉強を教えてもらったけど復習や予習がすごく捗って助かった。
持つべきは優秀で優しいお兄ちゃんだね。
”前ならもし兄がいたとしてもやさしく勉強を教えてくれるなんてことはほぼあり得なかったはずだし。
そして翌日。
今日は昨日と違ってちゃんと学校へ行く時間に起きて朝の支度をしたら朝ご飯をお母さんやお兄ちゃんと食べた。
ちなみにお父さんは今日は普通に会社に働きに行ってる。
”会社員であろうと公務員であろうと働くって大変だよね。
「あ、そうだお母さん。
せっかく高校生になったんだし、今日可愛い服とか買いにいっちゃ駄目?」
、
私がそう言うとお母さんは笑顔で言う。
「ふふ、別にいいわ。
ただ私は共用時があるから一緒にお買い物にはいけないけど大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ。
私、もう高校生になったんだよ」
そうしたらお兄ちゃんが言った。
「じゃあ、俺がついていこうか。
かわいい服を買えるような店がどこにあるか、とかお前は多分わからないだろ?」
「あ、うん、そうしてもらえるとうれしいかな」
「渋谷に行けばいい服も見つかると思うぞ」
「でも、そう言うお店の服ってお高いでしょう?」
「まあ、店やブランドによるな。
そこそこ安くてもデザインのいい店だってあるさ」
「じゃ、じゃあお願いできる?」
「ああ、もちろん」
そしてお母さんがお財布から一万円札を取り出すと4枚ずつ私とお兄ちゃんび渡してくれた。
「折角だからそれで服だけじゃなくて、靴やベルトにバッグなんかの小物も一式揃えて来なさい」
「確かにそれだと4万円ぐらいかかっちゃうのかな?」
私がそう言うとお兄ちゃんは笑う。
「まあ、春服の服に靴にバッグとかまで買うならそのくらいにはなるだろうな。
まだブラウスシャツやスカート以外にも薄手のジャケットは必要だ労使一種類だけってわけにもいかないだろう」
「それもそっか」
というわけで私達は電車で渋谷までやってきた。
ちなみに今持ってる服で一番可愛いのは高校の制服なので私は制服姿だ。
中学校のときも学校の制服はセーラー服だったけど、普通の公立中学の野暮ったいセーラー服だったから、同じセーラー服でも可愛さは段違いなんだよね。
「私は渋谷って言うと109ってイメージだけど、どこに行くの?」
私が荘きくとお兄ちゃんは笑顔で答えてくれた」
「まずはナーノ・ユニバースってことろに行ってみよう」
「うん」
というわけで渋谷駅を出て北の方に歩いて行った先にそのお店があった。
「ここの1Fはメンズカジュアルフロアで、2Fはレディスフロアだから先に2Fに行こうとしようか」
「うん、ありがとうお兄ちゃん」
お店の中にはおしゃれな服だけじゃなくて靴やベルト、腕時計や財布にカバンなどの小物も一式そろってて助かるな。
そして全体的に自宅の周りで身につけていても浮かないような上品で可愛いものが多い感じなのもポイント高い。
私が悩んでいたらニコニコした女性店員さんがすっと近づいてきて私に言ってくれた。
「いらっしゃいませ、今日は何をお探しですか?」
笑顔が素敵で丁寧な接客もさらにポイント高い。
「あ、えっと、今年高校生にいなったので一式服や靴小物を揃えたいなって思っ来ました」
「予算はおいくらくらいの予定ですか」
「あ、できれば4万円以内でなんとかしたいのですが」
「4万円あれば十分ですよ。
お客さの場合フェミニンな服のほうがお似合いでしょうし、こちらのリブIラインワンピースはいかがでしょう?
よろしければ試着してみてはいかがですか?」
店員さんが勧めてくれたのはすっきりとしたIラインシルエットが大人っぽく見える、リブワンピース。
「あ、じゃあ試着してみますね」
というわけで試着室で服を着替えて出てみる。
「ど、どうかな?
私に対して店員さんは満面の笑みで言った。
「すごくお似合いですよ」
そして私はお兄ちゃんにも聞いてみる。
「お兄ちゃんはどう思う?」
「俺も似合ってると思うぞ」
ちなみにお値段は10000円。
「今はまだすこし肌寒いですし、暖かめのときはこちらを羽織り、肌寒いときはアウターのジャケットとしてはのがおすすめですね」
そう行って店員さんが勧めてくれたのは黒のVネックカーディガンとアイボリーの金ボタンツイードジャケット。
「あ、たしかにこれがあればあったかいかも?」
こちらのお値段は4000円と6000円。
その他、ワンピース用ベルトが3000円くらいに靴が2000円くらいにバッグが6000円。
これで合計31000円。
「うーん、これはこれでおしゃれだけっどもう一セットクタイトップスとボトムスがほしいかなぁ」
まあ制服姿でいることのほうが多いとは思うけど、至福も一種るの着たきり雀はちょっと悲しい。
「なら足りない分は俺がもらった金から少しだそうか」
「あ、ありがとうお兄ちゃん」
「では、トップスはジャガード素材のブラウスにボトムスはコットン素材の丈長フレアスカートはいかがでしょうか?」
「でもお高いんでしょう?」
「いえいえ、上下合わせて8000円です」
「あ、それなら40000円で間に合いますね」
「ですがこの際ですのでブラ・ショーツにレでシウ用の腕時計も財布なども揃えておいたほうがよろしいかと思いますが」
「うう、たしかにそうかも?」
「結局ブラが7000円ニショーツが3000円、腕時計が3000円に二つ折りのお財布が5000円だから2万円位かかっちゃうね」
私がそう言うとお兄ちゃんは優しく言ってくれた。
「まあ、それくらいはいいさ。
俺が20000円以内にすればいいし」
私はお兄ちゃんにお金を出してもらって一式買い揃え、その後1階でお兄ちゃんも服を買って、買ったばかりのワンピースなんかに早速着替えてからお店を出た。
そこでいきなり知らないきれいな女の人に声をかけられたんだ。
「あ、あの!
そこのお二人、少しお話できる歯間はありませんか!?」
「え?
私たちですか?」
その女性は、名刺を取り出して言った。
「わたしは冴羽美奈子と言います。
モデル事務所のスカウト兼マネージャーをやっています」
「モデル事務所?」
私が首を傾げているとお兄ちゃんが私の前に立って視線を遮るようにしながら言った。
「路上での声掛けスカウトは今は禁止されているはずですが?」
お兄ちゃんのことばに冴羽さんは恐縮したように頭を下げてから言った。
「あ、はい。
たしかに街角などで声をかけるのは基本禁止されているのですが、こういったショップのお得意さまがとても可愛いという口コミだよりにショップでの声掛けや、ファッションショーなどのイベントに来ていた女の子に声をかけたりすることは実際あるんですよ」
「そうなんですか?」
お兄ちゃんは不審者を見るような目だ。
「ええと、具体的に言えばこちらのハイティーン向けのファッション雑誌のモデルさんをお願いしたいんです。
お兄様と妹さん一緒で」
しかしお兄ちゃんはフウとため息を付いてから答えた。
「僕たちは未成年の高校生ですし、まずは両親にも相談し承諾を得ないと駄目でしょう」
冴羽さんは頭を振った後に言った。
「それは、そうですよね。
では、もし承諾していただけそうであれば名刺に書いてある会社の固定電話に直接電話していただければと思います。
業界ではそれなりに有名なのですが住所なども調べていただければ信用していただけるかと」
「わかりました、では名刺はお預かりします」
お兄ちゃんは名刺だけは受け取って、それから渋谷の駅に歩き出した。
そういう事もあってか駅まで歩く相手に周りからの視線を集めていることに今さら気がついてしまいました。
まあ、お兄ちゃんはひと目見ただけでわかるイケメンだし、こういう繁華街だとそんなこともあるのかもしれないね。