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♢第一話♢魔法界と人間界

キーンコーンカーンコーン。


下校時間を知らせるチャイムが、学校中に鳴り響く。


ここは第二魔法学校。(人間界で言う中学校のようなもの)立派な一人前の魔法使いになるために作られた魔法使いのための学校だ。


「ミホ〜!一緒に帰ろっ!」


「わーっ‼︎…なんだ、エミルかー。いいよ、一緒に帰ろ。」


友達のエミルが勢いよく飛び出してきた。


(心臓、飛び出ちゃうかと思った、)


私の名前は ミホ。十三歳。魔法学校の生徒なんだ。

(ちなみに一年生)こっちは友達のエミル。同じく十三歳の生徒だ。


「めずらしいねー。いつもならビョンビョン飛び跳ねてるのに。ぼーっとしてるなんてミホらしくないね。」


「考え事してたんだー。前から思ってたんだけど、いつか人間界に行けたらなーって。」


「え?人間界?急にどうしたの?」


「いろいろあってね。新しいことを始めたいんだ。なんか…もう…大変でさ。」


「???」


私がそう言うと、エミルが不思議そうに首を傾ける。


ここはフツーの人間では見つけることや入ることも不可能な異世界、「ファンタジア」。


変わった街並みや食べ物が多くあり、なんと言っても魔法を当たり前のように使うことができるのだ。


けど、そんなファンタジアの中でもまだあまり知られていないことがある。



それは、この世界、ファンタジアとは似て非なるもう一つの世界、「人間界」だ。



本当は人間界へ行くのはつい最近まで不可能だったけど、異世界への扉と魔法陣を使って人間界とファンタジアの二つの世界を行き来することが可能になったのだ。(一部の人しか知らないけどね)

正直、私は最近魔法界が嫌になってきた。


仲の良い友達だってたくさんいるし、学校には優しい先生もいる。


けど………


「そもそも人間界に魔法使いが行って大丈夫なの?バレたら大変そうだし…魔法学校卒業なんてほど遠いし…。」


「だいじょーぶ!そこら辺は魔法でどうにかするし。」


「本当に大丈夫なの?魔法だって完全じゃないし失敗したらバレちゃうんじゃない?」


うっ、痛いとこついてきた、エミルは頭いいからなぁ。


「うっ…い…いやいや大丈夫でしょ‼︎まぁ…まだ行くって決まったわけでもないし‼︎」


そう話しながら、見慣れた街並みを歩いていると、いつの間にか家に着いてしまった。


「じゃ、またね。」

そう言って、エミルと別れ、家の扉に手を伸ばす。  

ガチャッ…

「ただいまー。」


「……」                                                  勢いよくドアを開けて家に入ったものの、家中が暗く静まり返っていて、部屋の中には誰もいない。

                           「…何言ってんだろ、」 


私の家は、母と父が帰ってくることがない。


それも、数日や数週間のことではない。

ずっと。何年も。


私の母は一流ファッションデザイナー、父は大人気レストランのシェフとして働いている。


帰ってきたらいつも一緒にご飯を食べて、その日にあったことをたくさん話す。私はそんな毎日が大好きだった。


そして、優しく接してくれる家族が、大好きだった。


けれど、そんな優しい日々は、ある日突然に途絶えた。

4年前のある日だった。

その日、私が学校から帰ってきた頃の出来事だった。


学校といっても、今通う第二魔法学校ではなく、第一魔法学校だった。


第二魔法学校は13歳から15歳の生徒が通う学校だが、第一魔法学校は、7歳から12歳までの小さな魔法使いが通うところで、まだ私も9歳だった頃の話だ。


ドアを開け、二人に向かって「ただいま」

と言いかけた時だった。



———想像もしたことのない光景だった。



あの優しい父と母が大声で怒鳴り合っていたのだ。


いつもの様な暖かくて優しい空気は、いつの間にかピリピリとした張り詰めた空気へと変わっていた。


私にはこの状況が分からなかった。理解できなかった。


「二人ともどうしたの…⁉︎何があったの…⁉︎」

「うるさい‼︎お前は黙ってろ‼︎」

「お父さん…な…なんで…」

「ミホ‼︎あなたには関係ないの‼︎口を出すくらいなら出て行きなさい‼︎」

「…お母さんまで…‼︎そんな…ひどいよ…‼︎」

「もういい‼︎さっさと出て行け‼︎ 」


「……。」

私はただ、呆然と立ち尽くしていた。

そして、怒鳴りあう二人にこう言った。


「…ひどいよ…。ひどいよ…二人とも…なんでそんな事をするの…?」

「ミホ!口を挟まないで!」

やめて。お願い。もうやめようよ。

心で念じるだけじゃ分からない。伝わらない。


そんな事は分かりきっていた。だけど私は、こうすることしかできなかった。


二人の大声が部屋中に響き渡る。

そして、黙っていた私は声を上げた。


「…だ。」


「…こんな家…嫌いだ……!!」


私はそう言い残して、泣き叫びながら家を飛び出した。

もう、我慢できなかった。

もう、聞きたくなかった。


その数日後も学校が終わると街をただひたすら歩いて、現実を忘れようとしてたっけ。


それから、父と母は、家へ帰ってくることがなくなった。


お互い顔を合わせたくないのだろう。


今日も、昨日も、おとといも。


毎日毎日暗い家の中にただ一人。もう本当に泣きたくなる。泣きたい気持ちを必死に抑えながら自分の部屋に入り、

ベットに寝転がる。


「ふぁーあ。ねむいや。」


家に帰っても、考えてしまう。


人間界ってどんなところかな?きっと素敵な世界なんだろうな。まだ行かない、って言ったけど、ホントは、もう我慢出来ない。今すぐ走って抜け出したいくらい。



こんな家なんて大嫌い。嫌い。嫌い。

(私、どうすれば良いのかな、)


…そうだ。


明日、学校の図書館で人間界についての本を借りて、人間界はどんなところかを調べれば良いんだ。


その情報を元に準備して、計画し、その計画を実行する。

計画するのは得意分野だし、すぐ終わるはず。大丈夫。


行ける。あの人間界へ。憧れの世界へ。

今なら、手を伸ばしたら、あの世界へ届く気がする。


「行きたい……いや、行ってみせる、絶対に…!」



いつの間にか空は暗くなっていて、一番星が輝いていた。

空高く浮かぶ星に向かって手を伸ばし、そっと呟く。



   「早く新しい世界へ、出逢えますように。」


初めまして、「ふぁんたじっくマジカリア」著者のミオナです!この度は本作品をお読みいただきありがとうございます。まだ作者は学生なので言葉足らずな部分もあると思いますが、第二話以降も読んでいただけると幸いです…♫♪♬

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