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第7話 人間種の戦い方

 「──それで、魔獣をハンティングって言ってたけど、魔獣って何?」


 茂みに隠れ、獲物を待つ二人。

 周囲を見渡すイリスを見ながら、魔獣という存在がどういったものなのか疑問に思う。


 「魔獣って言うのは、その名の通り“魔力を持つ獣”のことだよ」


 「魔力を持ってるってことは、魔法が使えるってこと?」


 「それは個体差があるかな? それに、霊魔種以外が魔力を持っていても、魔法は使えないの。使えるのは魔術」


 「魔術……?」

 

 「そう。魔法の劣化版みたいな感じかな。魔獣の中には、魔術が使える固体もいるし、魔力で肉体を強化されてるだけの個体もいるし、バラバラかな」


 イリスは、狩りの準備をしながら、シオンへの説明を続ける。


 「まあ、今回はシオンもいるし、魔術が使えるような危険な固体は狙わないから、安心して」


 「……オレのせいで、ごめん」


 「もう……大丈夫だから気にしないで?それに、私一人でも、魔術が使える固体となんて戦いたくないし」


 申し訳なさそうにするシオンに困りながら、イリスは獲物を見定める。


 「──いた。今日のターゲットはあれだよ」


 「え……何あれ? ライオン……?」


 イリスが指差した先を見たシオンは、目を丸くする。

 そこには、ライオンに似た漆黒の獅子が悠然と歩いていた。


 「あれは、オルバスだよ。魔術は使えないけど、魔力で剛力と俊敏性を兼ね備えた魔獣なの」


 彼女の説明したような力を備えているようには見えないが、ライオンも見た目以上の速度と力を有している。

 自然という弱肉強食の世界を生き抜いている獣に、弱い獣などいないのは当然のことだろう。


 「……それで、そんな魔獣をどうやって狩るの? 人間種は何の力もないって」


 「うん。私たち人間種は無力な種族だよ。──でも、無力には無力なりの戦い方がある」


 そう言いながら、イリスは荷物の中から折りたたまれた金属を取り出した。


 「──葬具そうぐ、起動」


 彼女の声に呼応するように、金属は翡翠色の光を放ちながら姿を変えていく

 眩い光が収まると同時に、イリスの手には翡翠の大弓が握られていた。


 「私たち人間種は、この葬具と呼ばれる武器で戦うの」


 「あれ……? 弓なんだ」


 その武器を見たシオンは、彼女の持つ武器が出会った時と違うことを不思議に思った。


 「あー……えっと、あれは……まあ、ちょっと色々あって……」


 彼女の言葉に、イリスは言葉を濁しながら、誤魔化して答えようとしなかった。


 「その話は、魔獣を仕留めてからね」


 そう言って、彼女は改めてターゲットに視線を戻す。

 魔獣は、二人の存在に気が付く様子もなく、悠然と歩いていた。

 イリスは、深呼吸をし、言の葉を紡ぎながら、弓を引き絞る。


 「──風よ。我が声に答え、星を穿つ矢となれ」


 彼女の呼びかけに従うように、風は弓に集い、不可視の矢を形成する。


 「大神の息吹ヴァン・ブレス!!」


 矢は放たれ、地面を抉りながら、オルバスに迫る。

 異変に気が付いた漆黒の獅子も、回避を試みるが時すでに遅し。

 矢は深く突き刺さり、解き放たれた暴風が、獅子の身体を切り刻んだ。


 「す、すご……」


 初めて目の当たりにする超常の力に、シオンは息を呑む。


 「でしょ? 精霊術も魔法も使えないけど、この葬具があれば私たちは戦える」


 その声は、どこか震えているようにも聞こえたが、それは自分の気のせいだろうとシオンは決めつけた。


 「さあ、ご飯の準備しよっか」


 弓を仕舞いながら、イリスは立ち上がり微笑む。


 「……うん、分かった!」


 少し戸惑いはあるが、その話はあとで聞けばいいかと思い、彼女も立ち上がり、魔獣の回収に向かった。


 数時間後、シオンは自分の決めつけが気のせいではなかったことを知ることになる。


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