表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/47

第7話 ヴァルガ連合国

 城の上空にたどり着くと獣人たちがヴァルガを見ておびえ、剣や槍を構えていた。

 だが、俺とルリが背中に乗っているのに気づいたのだろう、剣や槍をその場で下ろし、こっちに手を振っていた。

 城の中庭に降ると獣人たちに質問詰めされる。

 が、ユイスが城の中へと入ってきた。


「先生。すみません」


 ユイスが腰を九十度に曲げて謝る

 突然のことで困惑する俺とルリ。


「と、とりあえず理由を頼む」

「実は、全く移民が集まらなくて。世界樹のことは嘘だと」

「なるほどなぁ」


 世界樹は人間にとっては伝説的な存在だ。

 それが現実にあり、世界樹の麓に国ができるとか嘘だと思われても仕方ない。


「奴隷でも買う?」


 ルリが、いつものようにのほほんとしながら言った。

 結構なくらい内容だが、ルリの表情はなぜかいつもよりかわいかった。

 多分、血が飲めるからだろう。


「それいいな。とりあえず世界中の奴隷買ってきてくれ」

「せ、世界中の奴隷ですかあ!」

「ああ、その通りだ。すべて買い取ってこい」


 俺はマジックバックから、ユイスの手の中に黄金の延べ棒を十本乗せた。

 人間界の通貨は、黄金の延べ棒>白金貨>金貨>銀貨>銅貨となっている。

 黄金の延べ棒は、一本で巨大な城が5件買えるほどの金額だ。

 持て余していた金なので別に負担はない。

 たまにルリにプレゼントとして使うぐらいだ。


「延べ棒ですか……」

「不満か?」

「い、いえ」


 ユイスは黄金の延べ棒をマジックバックにしまうと走ってまた海岸へと向かっていった。

 弟子たちの中で一番働き者だと思っている。

 他の弟子たちは手紙を寄こしてくるがそれだけだ。

 持ってくるのはいつもユイスだ。

 とりあえずユイスが戻るのを待つことにしよう。


 二週間が過ぎたころ、ユイスが大勢の奴隷を連れ島にやってきた。

 ユイスが、奴隷を王座の間に案内する。


「よく来ましたね。皆さん」


 ルリがいつもとは違う口調でいう。

 王座に座るルリの横で、黒い鎧を着た騎士として参列していた。

 奴隷達とユイスがルリの前で膝間づく。

 なぜルリが口調変えるのかは、俺でもよくわかっていない。

 だが、俺と弟子たちにはこの口調なため人見知りなのだろう。


「ようこそ。我らヴァルガ連合国へ」


 ———ぜってぇ今考えただろ。


 ルリのほうを見つめると、こっちに見えるように下ろした手でピースしていた。


「我らの国はあの暗黒龍ヴァルガが守護する国。どうか安心してください」


 すると、王座の間の窓から、ヴァルガの姿が見えた。

 多分事前の打ち合わせでもしていたのだろう。

 ルリとは仲がいいからなぁ。


「あの王女様」


 奴隷の一人が頭をさげながら、右手を上げる。


「はい。なんでしょう?」


 彼が頭を上げる答える。


「俺たちは奴隷のままこの国で生きよてことでしょうか?」

「いいえ、あなた達もこれから来る方々も、すべて奴隷の身分から解放しますから、安心してくださいな」


 ルリは、精一杯の笑顔で答える。

 奴隷は大体は犯罪を犯すか、奴隷商に捕まるかで奴隷落ちになる。

 そのため、殺人をしている奴隷もいるのだ。

 だが、そいつらはこの国には必要ない。

 そのためここにいる彼らとは別に城の独房に彼らは保管されている。

 ルリの食事の保管庫として。


「まじか」

「感謝します」

「女神だ!」


 奴隷たちが騒ぎだす。


「あとはデュルク。おねがいしますね」


 ルリが王座から立ち上がり俺の背中に隠れる。

 緊張しすぎたのか俺の背中に張り付く。


「では皆聞いてくれ。ルリの言った通り君たちは奴隷ではなくなった。今その首輪を解呪しよう」


 指を鳴らすと一斉に奴隷たちの首につけていた首輪が床に落ち始める。

 皆それに感動し喜び合う。


「では、君たちをヴァルガ連合国の最初の国民として歓迎しようではないか!」


 俺がそう言うとみんなが大声を出す。

 俺はもう一度指を鳴らす。

 すると、王座の間が歓迎会の様に生まれ変わった

 奴隷たちの着ていた服は、ドレスやスーツなどに代わっていた。


「もう出てきていいぞ」


 そういうと背中に隠れていたルリが出てきた。


「ありがと」

「おう」


 お礼を言うと、階段を降り皆に囲まれているのを俺は眺めていた。

 ———やっぱルリを王にして正解だな。

 俺は囲まれているルリの笑顔を見て思ったのだった。 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ