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第4話 魔王と真祖と5人の王

 5人の王たちを城の中へと向かえる。

 それぞれの従者は連れず、7人だけなのでかなり静かだ。

 五人を連れ、城の食堂へ案内する。


「俺からの用件なんだが」


 五人が一斉に、唾をのむ。


「とりあえず、ここをお前たちの国と独立させ、連合国家として世間に公開したいと思う」

「先生。それでは先生が連合国家の王にでもなるつもりですか!」


 サイムが、必死に反論してきた。

 彼はこの中で一番若く、18歳でベーメル王国

 第45代国王の座を受け継いだ者だ。

 サイムは10年前に弟子となった。


「いや?ルリになってもらおうかと思っている」


 その場で、皆口を開けて固まる。

 そんななか、ルリが俺の首をへし折る。

 横に折れた俺の首を見た5人の王が、ぎゃあああと叫びだす。


「悪かった。ほんとすまん」


 俺はルリの目の前で土下座する。

 ルリは俺の腹を足で蹴る。

 血を吐き、苦痛に襲われる。


「俺が補佐するから。ルリの騎士になるから……」

「そう」


 ルリが血でできた無数の針を作り出し、すべて俺に刺す。

 まだ怒ってるらしく、刺さった血の針を抜き、俺の心臓に突き刺した。

 俺は死んだ。


「お兄ちゃん。ごめんね」


 ルリは、回復しきった俺の体に跨り大きな針で俺の頭をさした。

 俺は再度、死んだ。



 目が覚めると、ルリが俺にキスしていた。

 俺はルリと目が合う。


「ルリ。すまん」


 ルリはほっぺを膨らませる。

 ルリの膨らんだほっぺを人差し指で押し、甘い匂いが広がる。

 その様子を五人の王がニヤニヤしながら眺めていた。

 五人に気付いた俺は、すぐにルリに降りろという。

 だが、ルリは俺に抱き着いてきた。


「わかったから、謝らないの」


 ルリはそう言いながら、俺の腕をつねる。

 痛がる俺をルリが観て笑っていた。


「しかし、ルリ様であれば我々と見た目は、区別がつかない。なによりも先生が王になるより、ましだと思うぜ?」


 大柄の男が語りだす。

 彼は、アルベスター。見た目は完全に中年のおっさんだ。

 だが、実力でインフェルノ帝国の帝王になった男だ。

 俺が弟子に取ったのは、帝王になる二年前だった。

 その二年間であらゆる知識と、技術を彼に教え、帝国の革命を成功させた。


「たしかにアルベスター殿のおっしゃる通りだ。先生はそこまで考えていたいらっしゃったのですね」


 俺の前で眼鏡をかけた老人が頭を下げる。

 この中では最年長だ。

 ブリテン王国の国王としての実績が数えられないほどある。

 彼は、アーサー。五千年前の勇者の血を代々引き継いでいる。

 会ったのは、五十年前。泣いていた彼を王宮に連れ帰ったのがきっかけだった。

 前王が俺の弟子であったこともありアーサーの指導を受けることになったのだ。


「まぁそういうわけだ」


 俺はルリの頭を撫でまわす。

 ルリは、その手をつかみ自分の胸元に置いた。

 すると、ルリの胸元に魔方陣が浮かびそれが砕け散る。


「はーい」


 笑顔でルリは、食堂から姿を消した。


「先生。先ほどの魔法陣は……」

「あ~。リミッターだな」

「え?」


 ルリが姿を消した途端、突然島全体が揺れる。

 地震だと思い窓の外を観る。

 そこには、血のドレスを着たルリが城の前に城下町を作り上げていた。

 リミッターを外すことでルリの真祖の力の一つ。

【創造・建造】を発動することができていた。

 みるみる城下町ができ、海岸まで町がすでに完成していた。

 あちこちには、少し大きめの館や城に続く大きな道が作られ、魔石ランプが辺りを照らしていた。


「どお?」


 ルリが、俺が観ていた窓の外の目の前に現れ聞いてきた。

 驚きのあまり、言葉が出ない。


「すごいな」

「えへへ」


 夜の城下町は、まるで夜空の様だ。

 だが、誰もいなしせいか、とっても静かだ。


「素晴らしい。さすがルリ様」

「女神だ......」

「我らの女神だ......」


 城下町に感動した王たちがルリを崇める。


「これで設備は完成か。あとは人だな」


 真祖のルリでさえ、人間を作ることはできない。

 それに似たホムンクルスなどは俺も作ることができるが寿命が短い。


「では、私が各国の代表として人材を集めてきましょう!」


 そういいだしたのは、ユイスだった。

 エブリスタ商業公国。30年前ほどに王族のユイスが築き上げた王国だ。

 俺はユイスが一番頑張っているとよく褒めている。

 何せ彼は、国王をしながら農民の真似をしているのだ。

 まだ作って30年の国ではあるが、土地が広く、海に囲まれているため、「商業するならエブリスタ」と呼ばれるほど有名になった。


「ああ、頼む。ついでに城の使用人も募集かけてくれ」

「はい!」


 ユイスは、さっそく紙に何かを書きはいじめたいた。

 ルリが突然、俺の血を吸い始める。


「あ、使用人は獣人やエルフ。で頼む」

「はい! 加えておきます」


 ユイスがそのことを加えたおかげか、ルリが血を吸うのをやめ、俺の膝に座ってきた。

 ルリの行動の理由としては考えられるのは一つ。

 食欲で使用人の血をむさぼり、ルリの評判が悪くなるからだろう。


「では私は早速各国の商業ギルドに移民募集かけますね。では」


 ユイスがそう言って城から逃げるように去っていった。

 金には目がないので即行動を起こすのがユイスだ。


「さて、そろそろ俺達も帰るか」

「ですね。行きましょうアーサー殿」

「ああ、ではな。先生」


 と言ってアルベスター、ユイス、アーサーが退場した。

 だが、あと一人そこには残っていた。

 ミリオンだ。

 バルファルク王国、砂とダンジョンと遺跡で栄えている国だ。

 冒険者の国と呼ばれ、各国から冒険者が集まる。

 バルファルク王国、5万年前に俺が作り俺が滅んだ国の名前だ。

 だが、今でもミリオンは俺の意思を引き継ぎ国王として5万年の間国を守っている。


「ミリオン。お前はよかったのか? あいつらとしゃべらなくて」

「いいです。彼らとはそりが合いませんから」


 ミリオンは結構ネガティブな性格で、引きこもりがちだ。

 今回出てきたのが不思議なくらいだ。


「まぁいい。力を貸してくれるよな?」

「はい。我が主」


 ミリオン。彼は、俺が作ったAI搭載人型兵器なのだから。

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