最終話 それはいつの日かに願い
エステナと別れてから、図書館で調べ物をしていた。
図書館の司書に色々と見繕ってもらい、魔導書を読む。
「深淵の魔法かぁ.....これだけ使えないんだよなぁ」
ため息と共に独り言が聞こえてくる。
後ろの本棚からの声の様だった。
深淵魔法か、闇魔法の上位互換でロストテクノロジーにまで匹敵する威力を持つ魔法か。
「この術式なんなのよおおお!」
大声が図書館中に響き、司書が声をあげた人のとこへいき注意している声が聞こえてきた。
「すみません」
「気おつけてくださいね。そうそうそれの術式ならこちらに書いてありますよ」
「あ、ありがとうございます」
「いえ、では」
司書が俺の隣を通り過ぎていく。
その時、司書は図書館の二階を指さした。
読んでいた魔導書を机に置き、二階へと続く階段を上る。
そこには、本に囲まれたルリがいた。
寝室に寝かしたはずだが.....
「何してんだ?」
声をかけた途端、慌てだし本を蹴り壁になっていた本が崩れ、顔が真っ赤なルリが見えるようになった。
「本、読んでるだけ」
「そっか」
崩れた壁になっていた本を見るとすべて恋愛小説や婚活についての本ばかりだった。
「あわわわわ」
本を両手で隠れ見えなくなってしまう。
結婚式控えているのにもかかわらず、まだ緊張しているのか現実逃避しているのだろう。
出来てないと思うが。
「皆待たせてるぞ」
ルリは本を持ったまま首を横に振る。
ルリの右手に触れていう。
「俺だってな。緊張してんだ」
鼓動が伝わったのか、座り込んでいた床から立ち上がり抱き着いてきた。
司書が呼んだのだろうか、メイド達が一斉に図書館に入ってくる。
「魔王様~! ルリ様~!」
大声で俺達を呼ぶ。
俺はルリの手を引っ張り一階のメイド達の場所へ向かった。
そしてそれは訪れた。
鐘の鳴り響く音、魔界ではありえない神々しい光、その光に当てられてルリがウェディングドレスを着て笑顔で泣いていた。
魔界ではご法度とされる白いウェディングドレスを身に纏い、光を連れて俺の隣に並ぶ。
「それでは始めましょう。婚姻の儀を」




