第39話 殺戮後
「おかえり」
転移先の寝室でルリに抱き着かれる。
血の匂いがついているのか、ずっと嗅いでくる。
「ただいま……なにしてんだ」
「人殺した?」
ルリが鋭い瞳でずっとこっちを見るめる。
「ああ、そうだな」
答えた途端、俺を抱きしめていた腕が解かれ後ろを向いてしまう。
「そっか」
暗い空気が部屋の中を充満する中、俺達は黙り込んでしまう。
返り血を浴びた服を選択するべく部屋を出る。
皆にバレないように透明化の魔法をかけて城から抜け出し、井戸水で服を洗った。
なかなか落ちない血にムカつきながらも、なんとか落とすことに成功。
服を魔法で乾燥させ、バレないようにマジックバックにしまった。
「おーい、そこでなにしてんだ?」
誰かがこっちに声をかけた来た。
夜中なのにもかかわらず、夜目が聞くのはすごい。
「て、なんだデュルクか」
「ゼノか、脅かすな」
ゼノが城内の廊下を歩きながら聞いてきた。
「なぁルリ様がご機嫌斜めな理由てお前のせいか?」
「そうとも言えるし、他にもあるといえるかなぁ」
「どっちなんだよ」
「こっからの話は王命使うけどいいか?」
「良いも何も、王命使うほどのやべぇことなんかよ」
俺はゼノにあの後起きたことをすべて話した。
最初は納得していたが最後の方の殺戮には猛反対だった。
「なんで殺した!」
「ルリの子供を殺したんだその意味は分かるだろ、俺と同じ魔族のお前なら」
「だが......」
「この話はもういい。じゃあな」
「ちょ......待て!」
俺は魔界へのゲートをほらき、魔王城に帰還した。
なぜか、誰もいない魔王城に違和感を感じながら自分の部屋へと戻る。
枕に顔を埋めながらベッドに寝転がる。
「ルリと少し距離を置きたいがために世界を超えてしまっていた......嫌われたなぁ確実に......はぁ......」」
コンコンと部屋の扉がノックされた。
誰かが入ってくる。
「魔王様......おかえりなさいませ」
枕に顔を埋めるのをやめ、声の方に首を傾ける。
そこには、メイド服姿のの魔族がいた。
「あ、ああ。ただいま」
「ルリ様とは一緒ではないのですか?」
「喧嘩してな......」
「け、喧嘩ですか……でしたら......こちらを」
メイドの声がだんだんと小さくなってゆく。
すると俺に手紙を渡すと部屋を出て行ってしまった。
何も書かれていない紙が中に入っていた。
どこかで嗅いだことのある匂いが封筒の中から広がる。
「『解読』」
何も書かれていない紙に解読の魔法を使うも効果がなかった。
魔道具によく使われる特殊な紙だということはわかっていたが、そもそもこれには文字が書かれていないのではないかと思い込んでしまう。
「駄目か......なら『理解』」
理解の魔法を使った途端、手紙から巨大な術式が現れ頭に入ってくるのがわかる。その内容は、魔法の詠唱のことばで書かれたルリからの手紙だった。
『こっちに来たてことは、私と何かやらかしたてことだよね? それならいつもの場所に来て。追伸 ついこの間にこっちへの術式完成させたのでお先に帰国しました。王妃の皆とここにいたのは内緒ね』
あの事件の前の手紙の様だ。
いるのなら会いに行った方がいいのか?
だが、なんて誤ればいいんだ……。
俺はただ、自分が正しいと思ったことを実行しただけだというのに。
「あー駄目だ。らちがあかん」




