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第3話 孤島への進行と弟子

 城を作ってから1週間後。

 ついに清掃魔法の効果が切れてしまった。

 俺は城全体に再度清掃魔法をかける。

 しかし、気づいた時には手遅れだった。

 城内は埃まみれになり、通路の角には蜘蛛の巣が出来ていた。

 さすがにまずいと思った俺は、あちこちに念話を掛け出す。

 しかし、全て繋がらなかった。


「まじかぁ。どうすんだこれ」


 目の前の埃の山を見ながら呟いた。

 俺は両手に掃除道具を持ち、溜まった誇りを箒で集め、塵取りでそれらを黙々と片付ける。

 腰が痛くなり、途中で作業をやめた。


「お疲れ様、お兄ちゃん」


 ルリが赤い色の回復ポーションとタオルを持ってきた。


「ああ、ありがとな」


 俺が座っている場所にルリが座ると肩を寄せてきた。

 口を閉じたままルリは、黙ってしまう。

 そんな時、城に貼ってあった結界が一枚割れた音が聞こえた。


「結界こわれた?」

「多分な」


 俺はルリの手を握り、城の外に出る。


「撃てぇ——————!」


 その大声と共に砲弾や魔法の球が飛んできた。

 なんだと焦りながら、城の城壁から外を見る。

 そこには百万は超える人間の兵士が集まっていた。

 その後ろの海岸には、巨大な船がこの島を囲んでいたのである。


「うわ、めんどくなってきた」

「そお? 全員食べちゃえばいいじゃん」


 ルリは口の右端から舌を出して人間たちを見つめる。

 彼女には人間はただの餌としか考えてないのだろう。

 俺はそうでないが…。


「門が開いたぞおおおお!」

「突撃いいいいいい!」


 人間どもが、俺が開けた城門に気付き進行を始めた。

 だが、一人結界に触れ全身丸焦げになって倒れこむ。

 その様子を見た兵士は、一歩後ろへ下がっていた。


「ルリは俺の後ろにいろ」

「うん…」


 ルリが俺の背中のマントを右手でしっかりと握っていた。

 俺は、その状態で空いた門へと向かう。


「おい、俺たちはいったい誰の城を攻めていたんだ…」


 俺達の姿を見た一人が言った。

 それを聞いたほかの兵士が俺たちを見て、嘔吐し始めた。


「やっぱこうなったか」


 強者の魔力に触れると魔力酔いを起こすことがある。

 だが、それは人間の魔力の話である。

 俺とルリの魔力は、全く別物であり、人間の魔力の数万倍の魔力を持つため、見ただけで魔力酔いを引き起こすのである。


「き、貴様。なにを……」


 目の前で吐きながら聞いてくる兵士の頭を足で踏んずけた。


「は? なにもしてないけど? 何君たちなんか用?」


 俺が言い放ったその言葉はすべての人間が恐怖を思い出す。

 四千年前に終結した魔王と勇者の戦い。

 人間は勇者の死亡と共に魔界への進行断念することになった。

 その四千年前に勇者が殺された時とのセリフとまったくもって同じであった。


「何もしゃべんないかよ。あーめんどくせ。とりあえず死ぬか?」


 俺は右手から深淵の炎と呼ばれる。究極魔法を見せびらかす。

 それを見た人間たちは、その場から慌てて逃げ出す。

 強者であろう指揮官が先に逃げる。


「不老不死の魔王だああああああ!」

「こんなの勝てるわけねえええええ!」


 そんなこと言いながら逃げ帰る人間たち。俺はルリと城の中へ戻ろうとする。

 だが、足で踏んでいた人間が、ルリを殺そうと仕込みナイフで振りかぶる。

 俺は、その一瞬の殺気に気付き、そいつに脅しようでだした深淵の炎を使う。

 たちまちそいつは、肉から骨へ、骨から塵へと消えていった。


「馬鹿だなぁ。あいつら逃げられないのに」


 俺はそう呟きながら島全体に多重結界を張り、何百万人の兵士を島に拘束した。

 あちこちから悲鳴が聞こえる中、俺とルリは城に戻る。

 城門が閉じた音を聞いた兵士たちが更に焦りだし、結界を一枚壊す。


「いいの?」

「あーまぁ馬鹿どもが来たら帰してやるさ」

「ふーん。そっか」


 三日後——————


 俺は眷属達を召喚し始めた。

 だが、誰も出てこない。

 最後の希望で、竜族を召喚する。

 魔法陣が光り、魔方陣から王座の間をうまるほどの大きさのドラゴンが姿を現した。


「狭いな。誰だ! この我暗黒龍ヴァルガをこんな狭いとこに呼んだのは」


 ヴァルガは、あちこちのものを焼き払う途中、俺の顔を見てヴァルガが黙り込む。

 数秒過ぎた時、俺の前に頭を下げた。


「すまん。知らんかったのだ。許してくれ主よ」

「あーうん。あとでお前の肉もらうからな」

「やめてええええええ!」

「骨にでもなってろ!」


 俺はその場で魔法で剣の刃をヴァルガに無数をぶつけた。

 なぜかそれすべて回避される。


「いやああああああああ!」


 叫んだままだったヴァルガが人型の老人なって俺を抱きしめ全く離れない。


「やめでぐれぇ、まだいきとうない…」

「はいはい。今から肉そぎ落とそうねぇ~」


 俺は魔剣を手に持ち、老人となったヴァルガに向ける。

 ひぃぃい!と言いながら扉のほうに下がっていく。

 その扉がひらき、ルリが入ってきた。

 扉の端が頭に当たったのか、ヴァルガが気を失っていた。


「お兄ちゃん。餌来たよ」

「お、馬鹿弟子共きたか」


 俺は気絶したヴァルガを王座の間に放置し、後にする。

 ルリに手を引っ張られながら、城門の扉が勝手に開く。


「せんぜぇ、許してくれええええ」

「お願いします。先生」

「どうかどうか、許してくだせぇ」


 城門の前には、5人の王が土下座していた。

 俺はその光景を見てどこから入ってきたのか気になって仕方がなかったがまぁいい。


「邪魔だ。馬鹿弟子共」


 俺は城門の上から5人の王に言い放った。

 俺の姿をみた二人は、気分がそがれたのか従者に支えられていた。


「先生。すまなかった」

「すまねぇ先生」

「すみません。先生」


 そんな様子をみてイライラしてるのか、ルリの握っている手が力が入っているのがわかる。


「とりあえず。そこで反省してろ」


 俺はルリの手をひっぱりそのまま城の中へと戻る。


 一日後——————


 俺は窓から城門をじっと見つめていた。

 そこにルリが来ると、俺の隣に来て右腕にくっつく。


「心配?」

「まぁな」

「見に行く?」

「そうするか」


 城門を開けると、土下座のまま固まっている五人の王が目に入った。

 何か言いかけようとした王たちを手で止め、五人の側による。


「老けたな、アルベスタ―。ユイス。ミリオン。アーサー。サイム。」

「「「「「先生」」」」」


 俺に五人がとびかかる。

 暇な五十年の間、魔界を離れルリと共に人間界を旅行していたとき、幼かった王たちの家庭教師を言えたいたことがあった。

 ルリは、女性主義である人間界の各国の王の許嫁たちに指導をしていた。


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