第38話 罪の代償は、死
焚火を消し、月明かりが荒野を照らす中、空を二人で飛んでいた。
月の方から人影がこっちにむかってくる。
俺達は途中でその人影の者と合流し、吸血鬼たちを殺しまわっている者たちのところへと案内された。
「死ねよ! このくそ悪魔め!」
「貴様、何が狙いなんだ!」
エルフが吸血鬼の腹を何度もきりつけ、その後ろにいる冒険者であろうものたちも、吸血鬼の首を切り落としていた。
その様子をみていたルリが、その場で泣き崩れている。
ここに案内して吸血鬼にルリを任せ、冒険者の前に俺は姿を現す。
「よう、何してんだお前ら」
「ち、バレたか」
剣士の一人が俺の方を見て舌打ちする。
「なんなのこいつ。人間が瘴気を発するなんてありえない」
「あ~すまん。俺人間じゃないから」
うでわの魔道具を外した途端、人間たちはその場で悲鳴を上げる。
そりゃそうだ。伝説上の魔王だもん。
「な、なんで魔王が……」
「ずらかるぞ!」
冒険者みたいなものたちが逃げ出そうとするも行く手をルリが止めた。
怒っているのかいつもより瞳の色が赤い。
「よくも我の子を達を殺してくれたな人間」
「こいつ、ありえねぇ、こんな仕事受けるんじゃなかった!」
ルリが怒ると人格変わるのは健在らしい。
一人冒険者の首を腕で斬り、また一人の冒険者を縦に切っていた。
「なーエルフ。お前が一番やべーんだが」
俺は冒険者が悲鳴を上げるなかで、死んでいる吸血鬼の死体から血を回収しているエルフの首を掴む。
「な、なにを……」
「ほほぉーじゃあね~」
その場で首を握りつぶし、地面に血が飛び頭が落ちる。
その頭を足で潰し、胴体を魔法で塵にした。
「こんなとこか? ルリ」
「すまない。デュルク」
「相変わらず人格変わるのなんなの……」
「表の私はそんなに違うのか?」
「天と地の差だな」
「そ、そんなにか……」
ルリが驚くも、人格が戻ったのか倒れこむ。
ルリを受け止め、そのままおんぶする。
「そこにいるか、フェル」
名前を呼んだ途端、空間がさけ、次元の狭間から巨大なフェンリルが姿を現す。
「主、なんだ?」
「ルリ頼めるか?」
「構わんが、主は……」
「野暮用かな」
「分かった」
フェルは、背中にルリを乗せそのままでてきた次元の狭間に入っていった。
起きたら困るからな……。
「さてと始めるか『ジャッジメント』」
そう唱えた途端、天から光の矢が降り注いだ。
悪の感情を持つものすべてを焼き尽くす禁忌の魔法。
創造神の代行者ないかぎり使用することが許されていない。
「こんなもんか、あとは……」
ユイスの元へと転移し、説明。
裏ギルドの連中をすべて殺し、吸血鬼殺しの冒険者もすべて殺し、冒険者に依頼した貴族を民衆の前で殺した。
「よし終わり」
全身人間の返り血姿で王宮の中をうろついていたため周りからのうわさがすごい。
「せ、先生……」
「ユイス、風呂どこだ……」
「こ、こっちです」
ユイスに手を掴まれそのまま脱衣所に入った。
「服脱いでください。返り血すごいですよ」
「あ~そうだな」
服を脱ぎ棄てそのまま風呂に静かに入る。
一瞬で風呂が赤色に染まる。
少し鉄の味がする風呂になってしまった。
「先生、ルリ様は……」
「あ~家に送ったわ」
「家ですか」
「ああ、あいつ自身子供を目の前で殺されてるようなもんだからな。相当ショックが大きくて気絶してしまった」
「眷属ですからそうなりますね」
「まぁ殺された奴らは、蘇生させたけどな」
「相変わらず常識外れですね……」
ユイスが隣に入ってくる。
湯が波紋を広がり、血の匂いが少し広がる。
「あとで冒険者全員殺していいか?」
「な、なぜでしょう?」
「いらんだろ? 俺の国民殺す奴らなんて」
「た、たしかに......ですが、殺すのは……」
「多分もう遅いけどなぁ」
「そ、それはどういう……」
「おれに殺意があるものすべて殺したからだけど……」
「なんということを……本当に先生、あなたは本当に魔王ですね」
「今更だろ。まぁ安心しろ、悪意あるやつだけだ。善意の者は殺してない。あとは、わかるよな?」
「は、はい!」
「じゃあな」
俺はそのまま脱衣所に向かい、服を回収。
転移でヴァルガに戻った。




