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第34話 洗脳?

 俺は転移魔法で魔族たちを城の庭に送った。

 皆世界樹を恐れるも、俺が笑ったことで落ち着きを取り戻していた。

 ゼノに皆を任せ、ルリがいるエブリスタ商業公国へと向かう。


「先生! どちらに行ってらっしゃったのですか?」

「洗脳された魔族をうちに届けただけだ」

「洗脳……古代魔法のですか……」

「ああ、皆にかけたのも現魔王だろう」

「現魔王……どんなお人ですか?」

「ただの馬鹿だ」

「え?」


 ユイスの後ろから飛び跳ねて、ユイスを飛び越え俺の腹にルリのキックが直撃する。


「ル……リ……」


 壁に埋まりながら、小声で言う。

 ほっぺたを膨らまし、俺のほっぺをビンたする。

 痛い……。


「ごめんなさい」


 しっかり謝ると、壁に埋まった体をルリが引っ張り出し、そのまま俺を抱きしめる。

 相当心配していたのか、涙を流していた。


「置いて行ってごめんな」


 ルリの頭をなでつつ言う。


「ばか」


 ルリはその一言だけ言うと、安心したのか眠ってしまった。

 ユイスに部屋に案内され、ベッドにルリを寝かせる。


「ルリ様は、ほんと先生のことが好きなんですね」

「そ、そうだなぁ」

「え、その反応……」


 黙り込む俺をユイスは睨みつけると、懐から何かを取り出し、俺の目の前にそれを置いた。


「なんだこれは……」

「先生へのお土産です」

「ふむ」


 薬のようなそれはなにか怪しげな香りを放っていた。


「おい、これ」

「ええ、精力剤です」


 ユイスの口を押さえ、その中に大量の薬を流し込み、コップに注がれていた、紅茶をユイスの口に流し込む。


「な、なにを……」

「アホなことするからお仕置きだ」

「そ、そんなぁ……」


 次第にユイスがもじもじし始め、部屋から出て行ってしまった。

 さすがにあれだけの量を飲んだのだ。一日中元気だろう。


「お兄ちゃん……」


 ルリが寝言で俺のことを呼ぶ。

 何の夢を見ているのか気になるも、やはり夢の中でも俺の名前は言わないらしい。


『聞こえてるか、デュルク』


 ゼノからの念話だ。


『なんだ?』

『実はお前に大天使が用があるといって俺の部下を殺す寸前まで追い詰めたんだが……』

『あーエステナかぁ』

『あーじゃない! 早くこっち来てくれ』

『それは無理だ』

『な、なぜだ!』

『今ルリとデート中だからな』

『な……このリア充め!』


 ゼノが念話を強引に切ったせいで、耳がキーンとなった。

 デート中は嘘だけどなぁ。


「エステナ?」


 ルリが眠そうにしながら起き上がり、聞いてきた。


「エステナが、ゼノの部下を殺しかけたんだとさ、俺に用があるとかで」

「ふーん、あの子がねぇ」

「そろそろデートするか?」

「うん!」


 支度をすませ、部屋から飛び出すかのように城下町へと向かった。

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