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第2話 大天使と出会い

 エステナは俺とルリの顔を見てその場に倒れた。

 無理もない。一万年以上魔界の瘴気のなか俺たちは暮らしてきたのだ。

 大天使としてのエステナには相当なダメージである。


「どうするの?」


 ルリが気絶したエステナの胸をぷにぷに触りながら聞いてきた


「とりあえず世界樹の麓にでも置いておくか」


 俺はエステナに、気絶したまま浮遊魔法をかけ、空中に飛ばした。


「お兄ちゃんておっきいほうがすき?」


 ルリがエステナの胸を睨みつけながら聞いてきた。


「いや? なんのことだ?」

「なんでもな~い」


 なぜか質問に回答しただけでルリが元気になっていた。

 よくわからないと思いながら世界樹の麓に進む。


『これ以上進むな! 化け物め!』


 脳内に男の声が響いてくる。

 世界樹の番人の声だろう。

 だが、この気絶したエステナを回復させるには世界樹の力が必要だ。


「すまん。だがこいつのこと頼みたい」


 俺は浮遊魔法で運んでいたエステナを世界樹の麓らしき場所に送った。

 すると番人がエステナの名前を叫ぶのが聞こえた。

 エステナが起きたのか悲鳴がここまで聞こえた。


「さてと、とりあえずここに住むか」

「はーい」


 俺とルリは世界樹の森であるはずのジャングルを片っ端から切り倒す。

 手とうで切り倒される木を見て快感を覚える。


「これ楽しすぎだろ」


 俺はまた独り言を言いながら木を切り倒す。


「お兄ちゃん。はいこれ」


 ルリがどこからか水が入った革袋を持ってきた。

 ルリのが狩っていた方向には川があったという。


「お、ありがと」


 もらった革袋の中身を飲み干すと、体中焼ける痛みが出始めた。

 ルリは、全身から湯気が出る俺を見て泣き出す。

 俺は泣き出すルリにキスして正常に戻した。


「あぶねー。あれ聖水かよ・・・」


 腕の肉が剥がれ落ちるが、すぐに周りの肉が集まり新しい肉が生成される。

 これが俺の不死の由来だ。

 聖水飲もうが、回復魔法かけられようが、生き残りすべて最初に戻ってしまう。

 これは真祖のルリもそうだが、ルリの場合は俺と違い、聖水や回復魔法は人間と同じ効果がある。

 だが、自分中心の知識しか持たないルリは俺には毒のものをいつも持っては、覚醒しようとする。


「ごめんね…デュルク…ごめん」


 ルリが回復した俺を抱きしめ、震え声で誤ってきた。

 俺はそんなおっちょこちょいなルリのことが好きなわけで、なんとも思ってない。


「大丈夫だ。全部ルリのやさしさ現れだろ?」

「でも…デュルクに逆効果なんて知らなかったから」


 ルリがついには自分を追い詰めてしまう。

 危機を感じた俺は、自分の腕に傷を入れ、滴り出る血をルリに飲ませた。

 しかし、ルリの周りにコウモリが集まり徐々に覚醒してしまう。


「デュルクあんたね!」


 ルリの姿で、人格が変わったかのように乱暴になる。

 俺を地面に倒し、その場で殴ろうとするが、俺はすべて受け入れる

 ぐふと血反吐を吐きながら何度も何度もルリに殴られる。

 一定回数殴ったのちにルリが手を止める。

 俺はその間に負った傷が治りかけていた。


「相変わらずうちのルリに何てことすんのよあんたは!」

「落ち着け! 俺は何もしてない!」

「嘘よ! じゃあなんで私あの子と入れ替えで出てきたの!」

「あーそれはだなぁ——————」


 俺は言葉を失ってしまう。

 彼女はルリでありながらルリでなはい。

 真祖のルリと吸血鬼のルリこの二人がいるのだ。

 だが、今出てきているのは吸血鬼のルリだ。

 俺が何かしたら回復すらままならない。多分一撃で死んでしまうだろう。


「ルリをいじめたんでしょ!」

「愛しいルリにそんなことしたら封印してくれてエステナに頼むわ!」

「あっそ、じゃあそうしてもらったらぁ?」


 だが、そんなルリが、俺の首元を噛み血を啜る。

 こうしないと真祖のルリは戻ってこない。

 ルリが首元から口を離す。


「ごめんね。心配かけて」


 その口調は、いつものルリに戻っていた。

 俺は起き上がり、ルリに手を伸ばす。


「俺はお前の夫だしな。これくらい朝飯前よ!」


 ふふとルリが笑う。

 俺はそれにつられ大声で笑っていた。

 だが、あちこちから魔物が集まって俺らをじっと見つめる。

 一匹がルリに捕まる。


「お兄ちゃんのペット?」


 ルリが、フォレストウルフをモフモフしながら聞いてきた。


「いや、多分。俺の魔力に気付いた奴らだな」


 フォレストウルフ達は、俺の前で座りる。

 何かを待っているかのように。


「すまない。お前たちの住処荒らしてしまって」


 俺はフォレストウルフ達の目の前で土下座する。

 するとフォレストウルフ達は、俺の顔をなめたりしてきた。

 とりあえず俺はお詫びとしてマジックバックからドラゴンの肉を取り出す。

 それを見たフォレストウルフ達は警戒する。

 俺が地面に置いてどぞと手まねきすると飛び掛かるように食べはじめた。


「やっぱりか」


 どうも、さっきの木を狩ったせいで獲物が逃げてしまったらしい。

 そこで、俺の魔力を感じこの場に来たようだった。

 ルリが触っていたフォレストウルフを仲間のとこへ離し、俺の側に来る。

 俺はおいしそうに食べるフォレストウルフ達を眺めながらルリの手を握った。

 その中の一匹片目が潰されたフォレストウルフこっちに近づき、俺の前で頭をさげた


『感謝します。魔王様』


 ウルフ語を俺は理解できたのか声が聞こえてきた。

 俺はウルフ語でそのまま返す。


『いいや、こっちが悪いしな。お前たちの獲物逃がしてしまって』


 片目が潰されたフォレストウルフは首を横に振る。


『いいえ、時期に戻ってきますのであまり気にしていません。なぜ魔王様と真祖様が人間界にいるのかが、気になってしまい姿を現した次第です』

『あー。部下に魔王の座降りろて言われて、ルリと隠居しようと思って城を離れたけど、なぜか次元の狭間に吸い寄せられ気づいたらこの島の上空だったんだわ』

『なるほど、とすると今魔王軍が人間の国を攻めているのはご存じないと?』

『なんのことだ?』


 俺は幻聴だと思いルリに確認を取る。

 だが、幻聴ではなかった。


『五千年の平和を崩したのは魔王様ではなかったのですね。安心しました』


 ウォンと後ろのフォレストウルフが鳴き始める。

 『魔王様ありがとう!』『さすが魔王様!』とウルフ語で聞こえてきた。


『お恥ずかしい。何せ若いものでして平和しか知らんのです』

『だろな、お前とは格が違う』


 俺とフォレストウルフが話している中、ルリは森の奥からぞろぞろ集まって魔物たちに触れあっていた。

 その中には、神話に伝わるフェンリルの姿があった。


『フェンリル様』


 俺としゃべっていた途中、片目が潰されたフォレストウルフが頭を下げた。

 俺はその頭を下げたほうを見つめるとルリが魔物に囲まれ、モフモフ天国になっていた。


「すげー数。ルリはどこだ」

「ここだよぉ~!」


 ルリが手を挙げてモフモフの中から出てくる。

 ルリが着ていた服が毛まみれになっていた。


「驚きました。我が子たちが騒ぐので様子を見に来たら魔王と真祖がここにいるなんて」


 フェンリルが共通語で話し出す。

 やはり美しい、何千年は生きてるであろう体格と、毛並みだ。


「まーなんだ。ここに住むことにしたからよろしくな」


 俺はフェンリルの頭をなでていった。


「解りました。ただし条件があります」


 フェンリルが俺の手から離れると森に帰りながら言った。


「この島を発展させなさい。世界に世界樹の存在を知らしめるのです!」

「おう! 生態系崩れないように頑張るわ」

「ふふ、お願いしますよ。不老不死の魔王」


 フェンリルが姿を消すと、他の魔物も姿を消した。

 その中にはフォレストウルフ達もいたのだった。


「発展ねー」

「どうするの?」


 ルリが俺の腕にしがみつきながら聞いてきた。

 俺はさっき狩った木たちを見ながら考えた。


「国でも作るか」


 俺はその考えにいたり、空いた土地に巨大な魔方陣を描き出す。

 それは四十重にも及ぶ魔方陣であり、古代の魔法でもあった。


「よし。これで完璧」


 俺は、魔法陣に触れる。

 すると、魔法陣が黄金色に輝き、周りの木や、岩を吸収し始めた。


「なんの魔法陣?」


 ルリが珍しく聞いた来た。

 真祖ですら知らない魔法。


「あー、魔王城作った時の魔法陣だけど?」

「内装付き?」

「もちろん」


——————1時間後


「できたな」

「ね」


 俺たちの目の前には、世界樹と並ぶ巨大な城が目の前にできていた。

 大きすぎて、日影が夜のようになってしまう。


「さすがにでかすぎたな。やりなおし」

「え?」


 俺は魔法陣に再度触れ、魔力を流し込む。

 すると、形が変わり。さっきの半分の大きさになった。


「こんなもんか」


 ルリがまたぽかーんととしている。

 俺はそんなルリをお姫様抱っこで城の中に運ぶ。

 王座の間の椅子にルリを座らせると一度正気にどもるがまた、ぽかーんととなってしまった。

 まぁ無理もない。魔王城より二倍ほど大きくしてあるためだ。

 それでも世界樹には負ける。


「おーい。ルリ起きてるかぁ~!」


 俺は寄りの目の前で呼ぶが気を失っているかのように反応がない。

 仕方なく、ルリのほっぺを俺はつねる。

 痛みを感じたのか正気に戻ったルリが、同じように俺のほっぺをつねるのだった。


「相変わらずだね」

「はは、そりゃどうも」


 ルリを連れて、城の中を回る。

 だが、従業員がいなく。徐々にほこりなどがたまっていくのがわかった。

 一応清掃魔法をかけてあるが、その効果は一週間だけだろう。

 そんなことを考えながら歩いていると、ルリが足を止めた。


「ここは?」


 ルリが巨大な扉びらを前にして聞いてきた。

 その扉の看板には俺とルリの部屋と書かれていた。


「俺たちの部屋だ。入るか?」


 ルリは首を横に振る

 気になっただけらしい。

 だけど、耳が赤いのはきのせいだろうか。


「図書館?」


 ルリは看板を読み上げると、突然扉を両手で扉を開く。

 その部屋には何十万の本をが並べてある本が天井まで並べてあった。

 ルリは、本棚から何冊か本を取り出し、一階にそれらを置く。

 どこからか持ってきたクッションに座り込み、複数本を同時に読みだした。

 本好きのルリにとっては一番居心地が良いらしく、いつも魔王城では図書館の虫になっていた。


「本すきだなぁ」

「えへへ」


 だが、そんな居心地の良いのは長くは続かなかった。

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