第28話 酔った......。
「起きた?」
冷たいカウンターで目を覚ますと、隣に座っていた人が声をかけてきた。
俺は隣に座っていた人に手で合図を送りつつ、瞼を開ける。月に光が窓から入り少しまぶしい。
「ああ、おはよ、ルリ……あ……」
いつもの癖で、返事してしまった。
恥ずかしさと共に動揺が込みあげてくる。
「おはよ、お兄ちゃん」
お兄ちゃんという言葉に反応し、隣を振り返る。フードをかぶっているものの、コートの端にフリルが少し飛び出ており、ルリがよく来ていたドレスと似ていたのがわかり、そのまま靴を見つめ、見慣れたもの履いていた。ルリと確信し、そのまま正面に振り返る。
「…………なんで居るんだ……」
「いきなり誰かさんが飛び出したから、城下町の人たちに聞きまわったの」
その話を聞いた途端、フードの上からルリの頭を撫でる。
必死の探していたのか、そのコートは結構汚れていた。
「たまには息抜きもいいけど......ちゃんと行く場所教えてよ」
「悪かった」
謝るとルリは、コートを突然脱ぎ俺の肩にそれを羽織らせるとそのまま寄りかかってくる。だが、ルリの正体を露わにしたはずなのに誰一人として声を上げることがない。なぜなのかと不思議に思いながら、ルリの顔を見つめる。
「なんかしたのか?」
背後に指を指すとルリがその手を取るとその指を口に銜える。
何やっているんだと思い、後ろを振り返る。
だが、後ろには誰もいなかった。
「驚いた?」
「ああ、貸し切りにしたのか」
「違うけど?」
「じゃあなんでこの時間に人がいないんだ」
「今何時なのか分かる?」
時間の概念なんて気にしていなかった。ルリの問いを気にしだし、耳を澄ませ、何も聞こえてこない。
「深夜か……」
「正解! なんでわかったの?」
「耳をすませて何も聞こえてこないからな」
「なるほどね」
ルリは目の前にあったワイン瓶を取り、グラスにワインを注ぎ、そのまま一気に飲み干す。俺と同じく耐性があるせいか平気そうにする。
「おい、大丈夫か?」
「へいきぃ~」
「平気じゃないだろ」
「そお?」
酔ってしまったのかいつもより大胆になっている。
いつもより大人のような雰囲気を醸し出し、その場で俺の膝を枕にして倒れこむ。酔った生き酔いなのか、もしれないが色々と見えてしまっている。
「こらこら、ここで寝るな」
「やらぁ~ここで寝るの~」
「仕方ない……」
カウンターに置かれていた明細を見て金貨をカウンターに置き、転移魔法を発動させ、酔ったルリを城のベッドへ連れ帰った。大幅な魔力を消費したことでベッドにルリを運んだあと、俺はその場で力尽きてしまった。




