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第24話 焼き菓子が入った不思議な箱

 しかし、予想通りとは行かず、夜となった途端すべての光が島中から消え去り、城に見知らぬ配達員の人間の様な者が、従者にある手紙を入れた箱を持ってきてそれを受けちとったのだった。

 蓋の裏には、「ごめんね」と書かれている。

 中身は、たくさんの焼き菓子が入っていた。ルリはそれを上品に手に取り食べだす。相当美味しいのか頬に手を当てながら口元がたるんでいるのがわかる。


「おいひぃ~」

「なんでお菓子はそんなに食べるんだよ。普通の飯は食べないのに」

「甘いから~」


 ルリは再度、箱の中にある焼き菓子を取り美味しそうに食べ始める。薬でも入っているのではないかと疑うほどだ。だが、この焼き菓子の送り主は、母さんだ。手紙が箱の奥のほうに入っており、その手紙にはお詫びと書いてあった。よくルリは実家に泊まりに来ていて、その時作っていた焼き菓子をいれて許してもらおうという算段らしい。間違って光のほうの力だけを使ってしまったらしく、島が光り輝いたのはこれが原因だという。


「母さんが許してだってさ」

「なんのこと?」

「完全に買収されてやがる」

「ん?」


 最後の焼き菓子を取ろうとするルリに手を止め、俺は最後焼き菓子を半分に割りお互い分け合い食べる。母さんの特殊な味付けなため匂いですぐわかってしまった。邪神ではなく、料理神にでもなればいいのではと思ってしまうほど格別にうまい。


「そろそろ、寝るぞ」

「はぁ~い」


 俺は箱の旗を閉め、タンスの上に置いた。

 この箱はいくら壊そうが焼こうが復活する代物なため処分ができない。ナノで保管するしかないのだ。

 ルリが、俺の目の前で寝間着に着替えると寝室の扉を開けたままベッドに飛び乗った。跳ね上がり、床に落ちそうになるところキャッチする。


「ごめん……」

「いいから寝るぞ」

「はぁい」


 ベッドに二人並んで寝転がる。

 ルリは俺を抱き枕にするかのようにしがみつき、絶対離れないようにしている。こうしないと寝相が悪くよくベッドから落ちていることがあったからだ。


「母さんに今度会ったらなんかお礼しないとな」

「なんで?」

「なんでて、今日の島が光ったの母さんの仕業だからだ」

「そっか」

「お菓子で許したのか? あんなに泣いてたくせに」

「うるさい!」


 ルリは俺を抱きしめる力を強める。俺はそれに反応して肉体強化をして、何とか耐える。本気だったのか、そのまま何も言わなくなり小さな息遣いが聞こえてくる。俺は、大きなため息を吐き、隣で寝ているルリの顔をじっと見つめるながら言った。


「そこにいるんだろ? 母さん」


 すると、窓の近くに黒いドレスをきた母さんが姿を現す。

 この姿は月の女神とも呼ばれ、邪神とも呼ばれている姿だ。


「今日はごめんなさいね」


 母さんは、ルリが寝ていることを知っているのか小声で話す。


「良いって、それに礼を言いたかったし」

「そお? ならよかった」

「明日光が無かったらルリが庭に住民呼んでパーティーでもしたいていって」

「じゃあそのパーティー私も呼んでね?」

「いいけど、姿変えろよ? 他種族が混合した町なんだから」

「ええ、そうするわ。ルリちゃんにも言っておいてね」

「へいへい」

「おやすみなさい」


 母さんは、その言葉を最後にいなくなってしまった。

 なぜパーティーのことを嘘ついたのは、俺がやりたいと思ったからだ。

 建国日以来、住民との接点がない。あるとしたら報告ぐらいだった。


「パーティーするの?」


 寝ていたはずのルリが、上目遣いでこっちを見つめる。

 俺は驚きもせず、ルリの頭を撫でる。


「ああ、母さん来るし」

「そっか、よかったね」

「ああ、ルリは興味ないのか?」

「お菓子くれるなら………」

「また買収されるぞ」

「むー」


 拗ねるルリの頭を撫でながら、いつの間にか俺達は眠りについていた。

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