第23話 祝福の光
「しかし、どうみても悪人の城にしか見えなくなったなぁ」
と俺は独り言のようにいうと城壁に飾ってあった生首がドロドロになって消え去り、真新しい城壁に苔が一斉に生え始めた。その影響は城の庭にも反映され、城を囲むかのように色鮮やかな花が咲き誇り、世界樹が突然光出した。すると、直接脳内に声が聞こえてくる。
『とりあえずのことはやったみたいね』
『母さん……この光はなんだ』
『とりあえず私たちからの祝福とでも思っておいて、それと外にはでないで。この状態の島は貴方にとって危険だから』
『わ、わかった。とりあえず後のことは頼んでも?』
『ええ、もちろん。じゃあ、またね』
一瞬の出来事だったが、島全体が世界樹のように輝き、窓の外をみるとルリの眷属の吸血鬼が、苦しみだし、全身から湯気が出ながら城の中へと入っていったのがわかる。母さんが行ってた祝福の事だろう。先ほどのことは、その前兆だったのか、城下町で驚いた声と喜びの声がここまで聞こえてきた。
「すごいね」
ルリが隣の寝室の扉から書斎へ入ってきた。
寝る準備をしていたのか寝間着姿だ。
「だな、すごいけどすげーいてぇらしいぞ」
「ほんと?」
ルリは俺の警告を無視して、窓を開け右腕を外に出す。
だが、何も起こらない。さすが混種、皮一枚も焼け焦げていない。
俺もルリの横で右腕を窓の外に出す、すると腕に火が付き燃え上がる。
すぐ、部屋の中に戻し、窓を閉め左手で水魔法で右腕を冷やす。
だが、たちまち炎が強くなり水を蒸発する。
ルリが、炎の上から氷魔法で氷を降らせる。
すると、鎮火したのか炎が見えなくなり肉が焦げた匂いが部屋の中に充満する。火が消えたことで、再生能力が発動し、焼け焦げた右腕が元に戻る。
「これはダメだな」
元に戻っていく、右腕を見ながら独り言のようにつぶやくとルリが俺を抱きしめ、大声で泣きだす。俺もさすがにヒヤッとしてしまいルリをさっきまで燃えていた右腕と左腕で思いっきり抱きしめた。
「泣くなって、ほらもう治っただろ」
俺はルリに再生した右腕を見せる。
だが、ルリは右腕を見た途端その腕に噛みつく。
牙が肉に食い込む感触があり、噛まれたところから血があふれ出す。
あふれた血を美味しそうになめまわす。
すると、突然右腕から口を離す。
「泣いてないから」
「うそつけ! 頬赤いぞ!」
「血だもん!」
「はいはい」
「なにもなくてよかった」
「そっか」
ルリの頭を噛まれた右腕でなでながら、窓の外をじっと見つめる。
まだ昼間だが、これが夜まで続くとなると寝れないだろうと勝手に想像してしまい、左手で机の引き出しからペンと紙を取り出し、この状況でわかったことを噛みにまとめようと机に出すも、ルリがそれらを奪い取り机でこの状況のことをまとめていた。
「とりあえず、お前の眷属に城の中にいろって言いたいからここに集めること手出来るか?」
「ちょっと待ってて」
というとルリが右腕の指を鳴らした。
すると、部屋の床から吸血鬼たちが生えてくるように現れた。
ルリは彼らに城内でこれから活動することを義務付け、夜になった場合の調査をその場で命令し、一斉に吸血鬼たちはその場で霧となりどこかへ消えていった。
「これでいい?」
「上出来。夜までこの光があったら徹夜しような」
「うん!」




