第19話 建国
城に戻り、客間のベッドにユイスを寝かせ、その日は俺達も寝ることにした。朝、起きた時そばにいつもいるはずのルリがおらず、少し焦りながら着替えを済ませ部屋を後にする。
「あ、魔王様。着いてきてください!」
「どゆこと?」
獣人のメイドに手を引っ張られ王座の間の扉の前にたどり着く。
扉が勝手に開き、中から大勢の人間や獣人、エルフ、そしてルリの眷属であろう吸血鬼たちが、拍手して俺を迎えてくれた。
何が何だか、わからないまま王座に座るルリと目が合い、俺のほうへ羽をはやして飛び跳ね、俺の目の前に降り立つと、そのままキスしてきた。
「どお?」
「鉄の味がしない」
「むーそうじゃない!」
「こいつら誰だよ」
「お客さんだよ?」
「一体なんで……」
俺はルリの背後にある王座の周りに共通語で「ヴァルガ連合国建国記念」と書かれているのがわかった。周りをよく見ると、城下町から逃げ出したはずの住民たちがその場にいたのである。少し驚きもしたが、周りの目線が痛くなり、俺に抱き着いていたルリを俺から離し、ルリの手を引っ張って赤いカーペットをたどり、王座に座る。そのあとルリが俺の膝に座る。
座った途端立っていたはずの皆がその場で一斉に膝間づく。
「よく集まってくれた。皆の者!」
ルリが俺の膝から立ち上がると拡音魔法が付与されたマイクと呼ばれているを小さな右手で持ち、口元近づけいった。
「私はここにヴァルガ連合国の建国を宣言し、5か国の王への宣戦布告を宣言する!」
「「「「おーーーー!」」」
その場の皆が一斉に立ち上がり、右腕を挙げ大声で叫んだ。男女関係なく。
ルリは俺にマイクを渡すと隣にあった椅子に座る。
心臓がバクバクと動く中、言葉が出ないのに困り果てルリのほうを振り向き、ルリが無言で笑顔を返す。
目線が集まる中、俺は、王座から立ち上がる。
「ヴァルガ連合国の王、魔王のヴァルガだ。とりあえず弟子たちを殺した国の貴族たちをすべて殺せ。それとできたら町の発展に協力してくれ」
俺はその場で頭を下げる。
皆のほうから同様の声が、聞こえるがルリが拍手したことにより、皆もそれにつられ拍手する。俺はルリにマイクを渡し、王座に座る。
「というわけ。とりあえず眷属達は人間の貴族の家族全部殺してきて」
「「「「「は!」」」」
その一言で、王座の間にいた吸血鬼たちがすべて霧になり、どこかへ行ってしまった。その様子を長々と見ていると、疲れたのかルリがまた俺の膝に座り、話を始める。
「人間たちはとりあえず生きて。あと獣人とエルフはいつも通りに城のことをお願いね」
「「「「「は!」」」」
一斉にいうと王座の間の扉から全ての者が外に出て行ってしまった。
すると、王座の間の扉が開きユイスが頭に手を押さえつけながらこちらに来た。
「先生。すみません、先ほどの者達は?」
「住民たちだ。戻ってきてくれたよ」
「そうですか、では後ほどの食事時にて」
「ああ」
魔族だから食事は必要はない。だが、住民がいなくなる前までは運ばれてきた食料をメイド達に調理してもらい食べたことがあり、その日からかなり興味を持ち、今では常に食事をとっている。ルリは甘いお菓子を中心にとり、主食は俺の血だ。




