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第1話 世界樹が守る孤島

  俺とルリは、手を繋ぎながら大空を舞っていた。

  そのとき、次元の空間が歪み二人はそれに吸い込まれてしまう。

  抜けた先は、大きな木が生えた孤島の上空だった。

  大きな木に近づこうとする。

 だが、世界樹の結界で守られ、近づくことがままならない。

  俺は、魔法を使うことにした。

  左手の甲にルーン文字が現れ、ガラスのように結界が割れた。


「世界樹か」

「だね」


  本来人の前では姿を見せないと言われていた世界樹。

  だがこんな孤島に生えているとは誰も思うまい。

  人間界の世界樹だけあって、その大きさ、世界最高峰と言えるほどの巨大な大樹だ。


「お兄ちゃん、あそこ」


  ルリが指を指した方向に、何か輝いているのを見つけた。

  光っているものを見つけるべく、二人は孤島に降りる。


「あー、肩痛い」


  俺は、独り言でまたブツブツと言ってしまった。

  それを聞き取ったのか、ルリが両肩になにか魔法をかける。


「これで大丈夫」

「今何かけた……」


  俺は、中腰になり肩を回す。

  ルリが魔法をかけた両肩がますます痛みが増していく。


「治癒魔法。だめだった?」

「真祖のルリなら普通に効果あると思うが、俺の場合は逆効果なんだ……」


  俺がさらに苦しみ出すと、ルリは俺の肩から血を吸い始める。

何故か、血を吸われると痛みが引いていた。


「ごめんね」


  ルリは血が口周りに付いたまま謝ってくる。


「痛みが引いたから大丈夫だ。それに―――」

「それに?」

「ありがとな、治癒魔法かけてくれて」


  俺が、ルリの口周りをハンカチで拭きながら言った。

  ルリは、お礼を言われたのが嬉しかったのかまた俺の血を吸い始める。

 ―――いくら俺が不死とはいえ、血の生成には限界は無いが、度々吸われるのがなぜか嬉しい。


「えへへ」


  ルリが俺の方から口を離し、笑顔で笑っていた。

  俺は、調子が戻った両肩を触りながらルリと手を繋ぎ光輝く場所へ向かう。

  途中に世界樹の根が道を塞ぎ通れなかったものの、何とか到着する。


「遺跡か?」


  石造りの古代の遺跡が目の前に広がっていた。

  世界中にあるとされるダンジョンと同じ高度の技術だった。

  遺跡のあらゆる物は、八千年前に作られ、ある日突然文明は滅びた。

  その年は、俺とルリがちょうど出会った時だ。懐かしい。

  しかし、この文明は魔界に存在していたのだ。


「お兄ちゃん。これ」


 ルリが、遺跡の中心にそびえ立つ石柱の麓に古代文字で書かれたものを指さしていた。


「魔王と真祖を出会わせてはならぬ。この世が滅ぶだろうか。」


 懐かしい。

 ルリと出会った時何故か大地震が起き、そこにあった全ての文明が滅びた。

 だが、俺にとってはいい思い出だ。何せ、ルリとはじめてあったのだから。


「いつの話してんだこれ」

「全く姿隠してるやつに、預言されてたなんて………」


 ルリがいつものとは違う口調で喋る。

 あんまり喋らないルリだが、長いこと喋ると何故か偉そうになる。偉いのだが。


「その通りだ。実の家族でもあるのに………」

「アイツが悪いの!」


 ルリが拗ねた顔をしながら俺に抱きつく。

 俺はルリの頭を撫でる。


「うるさいよ2人とも!こっちだって忙しいだから!」


 背後から声が聞こえ、振り向くが誰もいない。


「私だって頑張ってるもん! 二人のこと応援してたもん」


 突然その声は泣き出す。

 ルリが、柱に埋め込まれた宝石をもぎ取り、何かが姿を現した。


「え?」


 それは背中に数十を超える羽をはやし、天使のような輪を頭に浮かべ、金に輝く紙に羽のブローチをつけ、白いドレスの少女だった。


「な、何故降臨したの………」


 少女は地面を見ながら言った。


「久しぶり。エステナ」


 ルリが、見たこともない怖い笑顔でエステナの顔を見つめる。


「わわわ、ルリお姉ちゃん」


 エステナが、ルリの顔を見て顔が徐々に青くなってゆく。


「あんまり怖がらせるな」


 俺は、エステナに顔を近づけるルリを止めるべく、ほっぺを人差し指で刺した。


 ―――柔らかい………。


 すると、膨らませていたほっぺが空気が抜けどんどん縮んでゆく。

 ルリが、やり返しと言わんばかりに俺のほっぺをつまむ。

 エステナは、俺の方を観ると恐怖の顔から絶望の顔に変わる。


「ま、ま、魔王…………」

「おう、久しぶり。2000年ぶりか?エステナ」

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