八十二話 未だかつてないほど祈った結果
「白盾チーム」
来るな来るな来るな来るな!
「スージー・パンジー、サファル・カルミア」
セーフ!
名前呼ばれた二人は、移動をしていく。
次は?
「黒剣チーム」
来た! 頼む頼む頼むぅ!
私は手を頭上で握りながら必死に祈る。
もうホントめっちゃ祈る。
「アニー・アプリコット、コマール・ネーム」
ちくしょぉ!
アニー様めぇぇえ!
「お姉様、先程からどうかされたんですか?」
アニー様に八つ当たりしてました。
「え? あ、いや、せっかく部隊で連携も取れてきたし? ジョルジオ様達と同じ黒剣チームに入りたいな~と思いまして。ク、クレアもそう思わない? あは、あはは、あはははー」
ただいま武闘会のチーム決め真っ最中なのです。
決め方は簡単。
白盾、黒剣、銀杯というアデザール王国のお伽噺にちなんだ三つのチームが書かれたクジと、バディ二人分の名前が書かれたクジを教師が引いて所属チームとメンバーを決めるというもの。
そして私は黒剣チームの時にクジが引かれることを祈っています。
なぜなら、ジョルジオ様が先に黒剣チームで確定しているからっ!!
話は逸れるけど、今日のチーム決めに先だって武闘会の概要や詳細なルールは昨日、発表された。
武闘会の開催は二週間後になり、今日決まるチームと昨日発表されたルールを確認して、訓練や作戦を立てることになるだろう。
武闘会の概要はこんな感じ。
一年生、二年生の全生徒をランダムで三チームに分け、優勝をかけて争う。
試合は複数回に分けて行われ、試合毎にチーム内で部隊を作り、三つの部隊が同時に入り乱れて戦う。
試合中、失格となった選手は以後試合には参加できなくなり、他チームの選手全員を失格にし、最後まで選手が残っていたチームが優勝となる。
なお、優勝チームには学院から学食での一定期間お食事無料の権利が与えられる。
学食のお値段はそれなりに高価なので、かなりお得な権利と言える。
あれかな? 大盛は当然だよね? おかわりも自由かな? デザートもいいのかな?
これは頑張らざるを得ないよね!
とまぁ、概要については大体わかっていた通りなんだけど、詳細ルールも発表された。
◇試合の基本ルール
・チームで選出する部隊は、三人以上、十人以下で試合開始直前まで自由に編成可とする
・試合時間は最大で三時間
・敵チームを全滅させるか、三時間経過すると試合終了となる
・試合は一日に二回、午前・午後で行われる
・試合数は最大五日間、十試合とする
◇参加選手について
・一度試合に参加した選手は、次回試合への連続出場は基本不可
ただし、次回試合の出場選手が三名に満たない場合は連戦可(ただし、護石の修復はできない)
・一度失格となった選手は、以後の試合への参加は不可
◇失格条件
・出場者は護石という配布される石を必ずに身に着け、護石が破壊されると失格となる
・三時間経過時、敵チームの護石を一つ以上破壊していない場合、護石が無事でも破壊していないチームは全員が失格となる
◇護石について
・ダンジョンアタックで入手したシールダイトを学院が加工して護石というお守りを作り、各生徒に配布する
・護石は結界内では所持者のダメージを肩代わりし、破壊されると所持者を結界外にはじき出す性質を持っている
・護石は所有者が攻撃されるとダメージが蓄積していき、一定以上のダメージを受けると破壊される
・最後に攻撃を当てて護石を破壊したチームに破壊数を加算する
・味方の誤射等による攻撃で護石が破壊された場合、一番ダメージを蓄積したチームの破壊扱いとする
味方の攻撃のみで破壊された場合は、破壊数のカウントはされない
・護石が破壊され、所有者が結界からはじき出されると、破壊したチームの色に結界表面の色が変わり、破壊したチームが明示される
・護石が耐えられるダメージ量の目安は、中位魔法直撃程度
・試合終了後、護石が破壊されていなければ、学院側で修復を行う
◇装備について
・護石により身の安全は保障されているため、生徒は一律制服で参加とする
・武器は公平を期すため、学院が用意した物を使用する
・特殊な形状の武器を使いたい場合は生徒が用意し、学院側で確認・許可した物のみ使用可能とする
◇試合を行うフィールドについて
・一試合毎にフィールドは変更される
・フィールドは試合直前に発表となる
・結界が張られた内側がフィールドになり、内外からの魔法による干渉は全て無効化される
◇特殊ルール
・武闘会の最終日までに決着が着かない場合、最終試合は決着が着くまで試合続行となる
◇その他
・試合は学院関係者以外も観戦可能となる
このルールを見て、ゲームとは結構違うなぁと思った。
何せゲームでは、『敵を全て倒せ!』みたいな目標だったから。
改めてルールを見ると、割と戦略的な部分がありそうかなと思う。
三時間って決まっていれば、相手二チームに争わさせて、自分達は逃げや守りに徹するとかできそう。
それで試合が動かないことを危惧して、一つも護石を破壊しなければ失格というルールがあるわけだけど、一つでも破壊すればいいのだからやりようはいくらでもある。
相手の参加選手を予想して参加人数やメンバーを変えるなんて戦略もあるだろう。
まぁ私が思いつくことなんて他の人も思いつくだろうし、貴族のメンツなんて物もあるので簡単には行かないんだろうけど。
色々考えて戦略がうんぬんと言ったけど、結局優勝するために一番大事なのはチームの総合力だと思う。
数は力だし、弱兵では強兵に敵わないなんてことは歴史が証明している。
もちろん、例外もあるけれど。
さてさてそんなチーム決めはすでに終盤なんだけど、今の所一番総合力が高そうなのは白盾チーム。
アルヴァン殿下を始めとして、マリアンヌ様、スージー様など一年生のAクラスメンバーを多数抱え、ロラン様を始めとした二年生のAクラスメンバーも多い。
一年生、二年生合わせてAクラスメンバーは一六人いるんだけど、半分近い七人もいるのだ。
一年生と二年生、BクラスとCクラスも半々くらいでとてもバランスが良さそうだ。
続いて、黒剣チーム。
ジョルジオ様、ハナビス様を筆頭としてスイフト様、ルビー様と一年生Aクラスが多いチームだ。
二年生のAクラスは一人しかいないようだけど、個人的に学院の最強格と思っているジョルジオ様とハナビス様がいて、それを指揮できるスイフト様がいるから、まさにエースが揃った粒ぞろいといった印象。
BクラスとCクラスのバランスも良さそうだけど、やや二年生が少ないかな。
最後に銀杯チーム。
このチームはエド先輩とリズ先輩がいる。
私は学院三強がリズ先輩、ジョルジオ様、ハナビス様だと思っているけどそれは個人として。
バディとしてみたらリズ先輩とエド先輩が学院最強なんじゃないかと思う。。
けど、そんな銀杯チームは他にAクラスメンバーがおらず、Cクラスメンバーも多いという現状。
正直、優勝は難しいんじゃないかな。
とまぁ散々好き勝手考えたんだけど、総合力とかより私は誰と組むのかの方が大事だ。
つまり、ジョルジオ様と一緒の黒剣チームに入りたい!!
絶対! 絶対にだ!
自分で言うのもなんだけど、黒剣チームに私とクレアが入れば十分に優勝を狙えると思うし。
ふと気づけば名前が呼ばれていないバディは、私達を含めて残り二組となっていた。
白盾チームは全二〇人に達したので、残るは黒剣チームと銀杯チーム。
黒剣チームは現在一八人で、銀杯チームは一六人。
一年生が全部で三〇人、二年生は二八人なので、どちらかのチームは一八人になる。
チームが書かれたクジは黒剣が一枚、銀杯が二枚か……。
頼む頼む頼むぅぅうう~~!!
教師がチームのクジを引く。
「黒剣チーム」
そして、クジに書かれていたバディの名前は……。
「はははは。フロスト、試合が楽しみだな!」
ジョルジオ様が笑顔で私に話かけて下さる。
「は、はい。そうですね……。あははは」
「お前と部隊単位でまともに試合をするのは一学期の部隊を組む前の模擬試合の時以来だな!
あの時は決着がつかなかったが、今度こそ思う存分戦うぞ!」
そう、私の祈りは届かなかったのだ……。
「そ、そうですね……。ジョルジオ様の胸を借りるつもりで頑張ります……」
「謙遜をするな。お前は強い。お前の全部でぶつかって来い! 俺が全て受け止めるぞ!」
え? え? 全部? つまり、私の思いも全部ぶつけていいんですか!?
「え? あ、は、はい! わたくしの気持ちを受け止めて下さい……」
恥ずかしくてちょっと声が小さくなってしまった……。
「ん?」
「ジョルジオ様?」
「いや、わかった! 全力で受け止めてやる!」
ジョルジオ様は元気よく笑いながら、私の肩をバシバシ叩くと黒剣チームの方へと戻っていった。
全く~、今日もスキンシップが激しいんだからっ!
ジョルジオ様と同じチームになれなかったのは確かに残念だ。
でも、ジョルジオ様が私の全てを受け止めてくれるというなら全力でぶつかろう!
そして、優勝したらきっと私の気持ちに答えてくれるに違いない!
さらにさらに、学食のお食事無料の権利もゲットしてやるんだぁぁあ!!!
ク)お待たせしました!
フ)武闘会編、は~じま~るよ~
ク)各チームの情報など簡易ですが、どこかでアップできたらなと思っています!
サ)各試合が終わるまでは更新は予定通り行いますが、試合の間で少しお休みを頂く予定です。
フ・ク・サ)というわけで、武闘会編かいまくかいまく~!




