一学期~二学期前編までのあらすじ
◆一学期編
十歳の誕生日に精霊王から魔法の祝福と前世の記憶が与えられたフロストは、この世界が前世でプレイしていた乙女ゲーの世界に酷似していることに気付く。
フロストとして前世の記憶が混じっていく中、魔法に強い憧れを持って食う寝る魔法の練習という好き放題の生活を送った。
結果、この世界ではとても珍しい無詠唱魔法の使い手となるのだが……食う寝る生活によって大層なわがままボディへと育ち、魔法の祝福を授かってから決まった婚約者からデブとは結婚できぬと婚約破棄を言い渡されてしまう。
泣きはらすことで考えたことは一つ、運命の人を見つけて幸せになること。
そうして、乙女ゲームの舞台となる王立貴族学園アデリオンへと入学する。
学院に入学するに辺り、子供の頃からの専属であるサラというメイド兼護衛を連れて。
入学早々、フロストは乙女ゲームの主人公であるクレアと出会う。
最初は関わることはないだろうと考えたフロストであったが、貴族社会のマナーを教えることになってしまい、次第に仲を深めていく。
右も左もわからず、学院に不安を抱いて入学してきたクレアはそんなフロストにとても懐き、お姉様と呼ぶ程に慕うようになる。
この世界では人間の脅威となる魔物が存在する。
その魔物を討伐するのは、国や各領を治める貴族達の役目だ。
学院では実戦経験を積ませるために、生徒達にバディを組ませ、さらにバディを三組集めて部隊とし、魔物を討伐させるカリキュラムがある。
フロストはゲームでもあったこのバディ制度を利用して、運命の人をゲットしようと画策する。
ゲームでは、好感度爆上がりシステムだったのだからっ!
そんな中、クラスメイトで攻略対象でもあるスイフト・パイソンという、商家の長男と商売の話で仲を深めていく。
貴族の間ではデブは忌避され、フロストは同年代の子供たちとは一線を置かれてきた。
にも関わらず、スイフトは最初こそ冷たく接してきていたが、商売の話ができる相手だとわかるとフロストにも分け隔てなく接してくれた。
そんなスイフトに恋をしたフロストは、彼とバディを組もうと心に決める。
バディと部隊を決めるために、一年生同士で様々人達と訓練をこなすフロストは、二人の生徒と出会う。
アニー・アプリコットという伯爵家の令嬢と、隣国からの留学生であるというハナビスである。
二人もデブだからとフロストと距離を取ろうとはせず、むしろ無詠唱魔法が使えるフロストに興味津々のようであった。
戸惑うフロストだったが、クレアを始め、彼らはフロストにとって初めてともいえる友人となっていく。
訓練や模擬試合を続ける内、ついにバディと部隊が決まる。
バディのお相手はスイフト、とはいかず、クレアとバディを組むことになってしまったのだが。
バディは組めずとも、部隊で行動していれば絶対にスイフトとの仲は深まるはず! そう考えて訓練に励む中、ついに魔物討伐が一年生全員に言い渡される。
討伐対象となる魔物は、クイーンロックホーンが統率するというロックホーンの群れ。
討伐に向かう途中、フロストはとある光景を目にしてしまう。
スイフトとそのバディであるアニーが仲睦まじく過ごす光景を。
その光景が目に焼き付いて離れないフロストは、魔物討伐の最中危険な状況に追い込まれてしまう。
先頭の最中、お互いを庇い合う二人を見たフロストは……。
もう嫌だ、そう思っても、二人はフロストにとって大事な友達だった。
悲しみを押し隠し、二人の窮地を救うため、フロストは無詠唱魔法によって魔物を倒して二人を救う。
魔物討伐が終わったかと思いきや、まだ魔物が潜んでいた。
クイーンロックホーンが複数おり、それを統率するキングロックホーンまでもが現れていたのだ。
他の生徒を救うために再度出撃するフロスト達。
救出するべき生徒の中には、攻略対象である二人が存在していた。
第二王子であるアルヴァン・アデザールと、騎士団長の息子であるジョルジオ・キットールである。
ジョルジオはアルヴァンを守るため、一人でキングロックホーンの足止めをしていた。
第二王子であるアルヴァンの安全確保とジョルジオの救援をどちらを優先するか悩むが、一人クレアが駆け出してジョルジオの元へと向かう。
アルヴァンの安全を確保すると、すぐにジョルジオとクレアの元へと向かうフロスト達。
そこにはボロボロになり、今にも止めを刺されそうな二人がいた。
ギリギリ間に合った一行は、キングロックホーンと対峙する。
追いつめられるフロスト達だが、フロスト、ジョルジオ、クレアの連携でついにこれを討伐する。
無事魔物を討伐した後は、一学期の期末試験を向かえる。
討伐中は考えないで済んでいたスイフトとアニーのことを思い出してフロスト落ち込み、試験は散々な結果となる。
そこにジョルジオがフロストを励まそうと声を掛けてきた。
彼はキングロックホーンとの対峙中に掛けた「お前を守る」という言葉を再びフロストへ掛ける。
その言葉が再びフロストの心に暖かい感情を呼び起こした。
――だから、私はまた恋をする。
フロストの物語は始まったばかりだった。
※用語補足
・魔法 … 魔法といえば通常詠唱魔法を意味する。無詠唱魔法は使い手自体が非常に少ない
・詠唱魔法 … 詠唱魔法は長い魔法の歴史で最適な詠唱内容が確立しており、燃費・威力のバランスが良い
。また、誰が使っても必ず同じ現象となる。
ただし、詠唱内容を変えることで威力や範囲を変化させることができるが、魔力消費量が多くなる
・無詠唱魔法 … 使用者のイメージと魔力で祝福を得た属性で様々な現象を発現することができる
ただし魔力消費量が多く、詠唱魔法とまったく同じ物を再現するには通常、三倍の魔力が必要と言われる
・魔物 … 多種多様だが、人間を見つけると必ず攻撃してくる習性を持っている
動植物と基本的には同じ見た目をしているが、眼球全体が赤く、どこかの部位が異常発達している
◆夏休み編
夏休み、フロストはクレアを連れて実家であるベルガモット領へと帰っていた。
何気ない日常を過ごしていたある日、突如として魔物が現れ、領の中心であるベルモの街が襲われてしまう。
魔物の名はワオーンドッグ。
その名の通り、ワオーンと相手の三半規管を狂わす程の吠え声を出す魔物だ。
過去、ベルガモット領では現れたことのない魔物に苦戦を強いられるベルガモット家。
その苦境を救ったのは、クレアと各地に教会を建立している教国の関係者であるエド助祭とリズという僧兵だった。
エドという名前に、フロストは心辺りがあった。
ゲームで攻略対象となるエルドレウス・ハーツである。
ただ、ゲームでは司祭であったこととエド助祭が顔を隠していたことから、考えすぎたと考えた。
クレアはワオーンドッグの吠え声対策のために、とある無詠唱魔法を作り出した。
光の耳栓である。
一学期に使えるようになった光の盾という物をアレンジした物で、衝撃を吸収する性質のあるその無詠唱魔法のおかげで真っ向から戦えるようになる。
そして、魔物討伐作戦決行日。
街の人々に見送られ、出発するベルガモット家、クレア、エド、リズ、ベルモの守備隊、傭兵。
フロストの作戦立案でワオーンドッグをおびき寄せ、演説を持って出陣の号令を掛ける。
士気高くワオーンドッグと対峙し、作戦通りに追いつめていったのだが、予想外のことが起こる。
ワオーンドッグが進化したのだ。
ゲームでは存在しなかった現象。
だが、この世界では報告例も滅多にないが、極稀に魔物に起こるとされていた。
その強さに追いつめられ、同行していたフロストの弟であるノルが襲われてしまう。
その窮地を救ったのはクレアだった。
ピンチを凌いだとはいえ、窮地には変わらない状況を覆したのは母アリシアだ。
アリシアは父であるトーマスと結婚する以前は、岩穿つ女剣という二つなで呼ばれ、傭兵稼業をしていたのだ。
無事、ワオーンドッグを討伐したフロストは、勝鬨の声を上げてベルモの街へと凱旋した。
そして、エド助祭の正体がやはりエルドレウス・ハーツである事実をフロストは知る。
その後は部隊の面々が別々ベルガモット領に訪れて、忙しくも楽しい日常を過ごすフロスト。
デブだからと冷遇されていた時と違い、人生で一番楽しい夏休みを過ごしたのだった。
そして、二学期。
ジョルジオと会えることを楽しみに、学園生活が再び始まろうとしていた。
◆二学期 前編
二学期が始まるとすぐに、クレアはフロストに内緒でとある目的のため暗躍していた。
その目的とは、二学期もフロストとバディを組むこと。
学院では、学期が変わるとバディ・部隊の変更が可能になってしまうのだ。
クレアは自分の他にもフロストとバディを組みたい生徒がいると考えた。
一学期に部隊を組んでいたスイフト、アニー、ハナビスや、夏休みに魔物討伐を手伝ったエドやリズといった面々だ。
下手に奪い合いになれば、心優しいフロストは誰かが嫌な思いや嫉妬をするくらいなら、と別の人と組んでしまうかもしれない。
そこで、クレアは一計を案じる。
先に、組むべきバディ候補を自分達で決めてしまうのだ。
第一回フロスト争奪戦の開幕である。
一学期の部隊員だった四人に加え、エド、リズ、ジョルジオを含めたメンバーで決めた決定方法は、模擬試合。
純粋な力比べでは結果がわかりきっているため、知力や財力などあらゆる方法を使っていいというルールで。
戦う力を持たないクレアが取った作戦は、フロストのメイド兼護衛であるサラと一緒に戦うこと。
サラはフロストの母であるアリシアの一番弟子を名乗っており、夏休みの魔物討伐でも活躍した強者であった。
知力・体力・魔力・財力・運・コネ。
様々な力を出し切って勝利したのは、クレアだ。
フロストのジョルジオとバディを組みたいという気持ちは押し隠され、クレアは無事にフロストとバディを組むのだった。
バディの次は部隊の結成である。
ジョルジオとバディを組めなかったフロストは、なんとしてもジョルジオと部隊を組むと心に決める。
そのために公爵令嬢であるマリアンヌやハナビス・スイフトと交渉してなんとかこれを成功させる。
そこに、二年生であるエリック、エリーゼという双子の姉弟を加えて部隊を結成した。
二学期はダンジョンアタック、魔物討伐、武闘会、魔物討伐の順で行われる。
結成した部隊で行う最初のイベントであるダンジョンアタック。
ダンジョン突入前、キングロックホーン討伐の時のお礼として、フロストはジョルジオからブローチを受け取る。
そのブローチを大事に抱きしめ、フロストはダンジョンへと足を踏み入れる。
そこで、トラブルに巻き込まれることになる。
比較的安全とされているダンジョンであったが、トレインという魔物の大群を他の部隊が発生させ、それに巻き込まれてしまったのだ。
トレインによって百を超えるネイルバットがフロスト達に迫ってくる。
全員を無事に逃がすため、ジョルジオとフロストは残ってネイルバットを抑え込んだ後に逃げる作戦を選ぶ。
だが、ジョルジオが別の魔物に足を攻撃され、逃げることができなくなってしまう。
必死でフロストを守り、逃がそうとするジョルジオ。
そのジョルジオの行動にフロストは否を叫ぶ。
「いやだぁあ!! わたくしを守ってくださるって言った! だったら最後まで守って下さい! わたくしがあなたの背中を守るからっ!」
その言葉に最後まで抗うことを決めた二人だったが、やがて追いつめられてしまう。
死んでもお前を守るというジョルジオの言葉に反応したのは、救援にかけつけたエドとリズだった。
ジョルジオとフロストが数を大幅に減らしていたネイルバットを殲滅すると、エドはジョルジオに辛辣な言葉をぶつける。
その言葉はジョルジオだけでなく、フロストの心にも突き刺さるのだった。
ダンジョンアタックを終えてしばらくすると、魔物討伐が言い渡される。
討伐対象はミーアラッシュ。
ミーアキャットの腕部が異常発達した魔物で、ボクサーのようにパンチのラッシュを繰り出す魔物だ。
フロスト達はエド達の部隊と一緒に、二部隊で行動することとなる。
討伐に向かう最中、フロストはゲームでのイベントを思い出す。
近くの村が、ミーアラッシュの主食となる軍隊サソリによって襲われてしまうことを。
そしてそのイベントがゲームでクレアとエドのフラグが立つきっかけになることも。
クレアがエドに対して、好意を持っていると勘違いしたフロストはなんとしてもこれを防ごうとする。
フロストはみんなに相談し、作戦を立て、準備をすることでミーアラッシュ、軍隊サソリの討伐に成功する。
そして、二学期のメインイベントとなる武闘会に向けて訓練に励むのであった。




