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幕間 スイフトさんちのメニュー改革

「スイフト様! ハンバーグ、ハンバーグです!」


 前世でハンバーグという料理ができたのは、割と最近だったとかどこかの記事で見た気がする。

 合い挽き肉どころか挽肉すらあまり一般的ではないこの世界なら、なおさらあるわけない。


 なんでかって言うと、前世みたいな機械でミンチを大量生産! なんてことができないからだと思う。

 挽肉にしようと思ったら地道にお肉を潰していくしかないんだよね。


 お肉を凍らせれば切るのが随分と楽になってミンチも作りやすくなるけど、冷凍庫なんてないし。

 それなりに大きなお店なら魔法で氷室を用意している所もあるみたいだけど。


「ちょ、フロスト? 急に何のことを言ってるの?」


「だからハンバーグですって! 厨房をお借りしますね! サラ!」


「なんかもう色々はしたないです、お嬢様。

 スイフトさん、お嬢様考案のメニューを一度お召し上がり頂きたいのです。厨房をお借りします」


 私は今、スイフト様が経営されているお店に来ているのだ。

 以前にランチや値段について意見させてもらった店で、以降定期的に意見を求められているのだ。

 お友達価格とはいえ、お金を頂いているので前世の知識もフル動員してお答えしていた。


 そして今日はそんな打ち合わせの日。

 私はサラだけでなく、カラとララにも頼んでハンバーグの下準備をしてもらってからお店にきた。


「いや、フロスト? サラ? 今夜の仕込み中で……」


「稼げます! 絶対!」


「わかった! 材料も器具も好きなだけ使ってくれ!」




 仕込みは終わっていて、焼くだけだったのでそれほどお待たせせずにスイフト様にハンバーグをお出しする。


「どうですか? 美味しいですよね!?」


 前世の味を分かち合いたい私は少々食い気味に反応を確認する。


「ん! これは美味い!」


「驚きました。仕込みにかかる材料や時間にもよりますが、看板メニューになれますよ」


 スイフト様だけでなく、焼いている所を見ていた料理長みたいな人も試食をしていた。


「これは何の肉を使っているんだい?」


「豚とウィングブルの合い挽き肉ですよ!」


「「な、なんだってー!? あの固くて煮込み料理にしか使えないっていうウィングブル!?」」


 ありがとうお二人とも。

 スイフト様も料理長もとてもいいリアクションすぎて、ニマニマしてしまうではないか!


「ふっふっふー。如何です? レシピをお買い上げ頂けないですかー?」


「もちろんだとも! それで、金額は……」


「わたくしがお店に来た時、三皿まで無料にしてください! あ、サラの分もですよ!?」


「えぇ? それでいい、の……?」


「月に二回まで、来店していいですか?」


「あ、うん……」


「ではそれで! 後、いずれ他のお店もハンバーグを真似してくると思います。ですから……」


 前世でも何か流行るとこぞって色んなお店が真似をして出店、メニューに追加されることはよくあった。

 例えばタピオカとか。


 この世界にはハンバーグという料理の発想が今はないけれど、スイフト様が販売を開始したら、研究されつくしていずれは真似されてしまうに違いない。


 なので、私はソースやトッピングの開発も合わせてするよう提案した。

 他のお店が真似をしだしたら、ソースやトッピングを追加変更できるようにして付加価値を高めた差別化を図るのだ。

 スイフト様も料理長も私の意見を聞いてくれ、試食には毎回呼んでもらうよう力説しておいた。


「ありがとうフロスト。これでまたウチの店が繁盛するよ!」


 一通りハンバーグの話題が終わった所で、今日本来検討する予定だった議題に移る。


「それで、以前に君が言っていたメニューが多すぎてリピート率が悪い商品は止めた方がいいって話だけど、下位三つは廃止にしようと思う」


 地元にあるお店で、壁一面に紙でメニューが貼ってあるけど、一体誰が頼むんこれ? ってアレである。

 メニューにある以上材料は仕入れなきゃいけないけど、賞味期限の問題で廃棄かまかないになりがちなのだ。


 私はスイフト様から渡された三つのメニューに目を通して愕然とした。


「いつもわたくしが頼んでいたメニュー……」


「本当にごめん……。それ、フロストしか注文していないんだ……」




 私は肩をガックリしてスイフト様のお店を後にする。

 私とは正反対に、嬉しそうなスイフト様の声がお店から聞こえて、つい盗み聞きの無詠唱魔法を発動させる。


「これは絶対儲かるぞ! 本店にもレシピを共有しよう! 本店は素材にこだわった高級路線がいい!

 パイソン商会がハンバーグで天下を取るぞ!」


 ハンバーグにそんな力はありません、スイフト様。

 え? あるの?

フ)ハンバーグをきっかけにして売上を伸ばしたパイソン商会はやがて、とある陰謀に巻き込まれるのだった

サ)その話、いつ出てくるんですか?

フ)(リアルで)一年後くらい?

サ)それまで続いていれば良いのですが……

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