幕間 上位の魔法と物理な魔法
「お姉様は上位の魔法を使わないのですか?」
クレアと二人で魔法の訓練をしている休憩中、そんな質問を受けた。
「ん~そうねぇ。特に覚える予定はないわね」
「もしかしてお姉様でも魔力が足りないんですか? 学院でもお姉様の魔力量ってトップクラスですよね?」
そう、私の魔力量は入学時から比べてかなり伸びている!
同じ学年の中で、最初から多い方だと思っていたけど、最近は中位の魔法をギリギリ七回は発動できる。
一年生平均の二倍近いのだ!
なにせ、魔力は限界まで消費すればするほど多くなると言われている中、この半年で何度もも魔力切れで気を失っているからね!
一学期にクイーンロックホーン、キングロックホーン戦で二回、夏休みにはワオーンドッグ戦で。
二学期はダンジョンアタックで一回と軍隊サソリで一回気を失っている。
キングロックホーンの時はクレアも魔力切れになっていたんだっけか。
魔物と戦っている時にそんなに気を失って、よく今まで生きてたな、私。
「魔力量はトップ争いをできると思うんだけど、私って魔力切れで気を失いすぎじゃない?」
そういえば私達以外で魔力切れで気を失った人って聞いたことないや。
「え? いまさらですか?」
「え? 当たり前に受け入れられている?
ま、まぁいいわ。それで上位の魔法よね。
そもそも上位の魔法って一般には公開されてなくて、詠唱を知ることもできないのよね。伝えられている魔法の数自体も少ないみたいだし」
「なんで公開されてないんですか?」
「魔法の威力が高すぎるのよ。
魔物を倒すための詠唱魔法は中位まででほとんど完成しているの。
それでも、存在するからには以前は使う必要性があった。
お伽噺のような大昔、超大型の魔物がいた頃と、戦争が頻繁に行われていた頃。
そんな物騒な物だから一般人には公開されていないの。まぁ上位の祝福を受けている人も稀だしね」
「そうなんですか……。上位の魔法も見てみたかったんですけど、機会はなさそうですね」
「そんなことはないわよ。土魔法の地形を変える魔法なら可能性はあるわ。
大規模な治水工事や土木工事で今でも使われることがあるみたい。
それと、武闘会の会場作りにも使われてたって噂も聞いたことあるし」
「そうなんですね! その時は一緒に見に行きましょう! お姉様!」
「そうね。約束よ。
じゃ、休憩は終わり。今度はクレアの新しい詠唱魔法を見せて頂戴」
「はい!」
クレアはエド先輩の所に通い、いくつかの新しい光属性魔法を覚えている。
休憩前はナインテイルレイという魔法を見せてもらったんだけど、もう一つ中位の魔法を覚えたらしい。
「ホーリーウィング!」
詠唱を終えたクレアが魔法を発動する。
すると、クレアの背中から光輝く大きな翼が二つ現れた。
こ、神々しい!? これが主人公の力かっ!?
って、そうじゃない! これはまさか……。
「ク、クレア……。もしかして、空、飛べるの……?」
私が必至に無詠唱魔法を改良していたというのに、先を越されてしまうのかっ!!
「いえ……。飛べないんです……」
ズコーッ!!
「え? ま?」
「はい……。魔力を注いでいる間は操作は難しいんですけど、翼は自由に動かせます。
だから私も試してみたんですけど、まったく浮きませんでした……」
ナインテイルレイもそうだけど、光属性の中位魔法って変わってるなぁ。
通常魔法を発動したら継続して魔力消費しないけど、光属性は維持している間魔力を消費し続けるみたいだ。
「えと、じゃ、じゃあ何ができるの、その魔法……」
「翼が届く範囲なら剣や槍、魔法も防ぐことができます! あと、岩を持ち上げることもできます!」
「へ、へ~」
「あとあと、翼で攻撃することもできるんです!」
あ、なるほど。
光の翼(物理)ってことね……。




