四十七話 ドキドキ! 二学期はバトルの予感!
「はぁぁああああ!」
私は思い切りジャンプして、渾身の力を込めて訓練用の木剣を上段から振り下ろす。
カンッ! と軽い音を鳴らし私の攻撃は盾に完全に防がれてしまう。
それだけでなく、そのまま相手の盾で弾き返されてしまった。
「はははは! 早いな! だが、軽い!」
まぁ、ジョルジオ様ったら私のことを軽いだなんて、嬉しいことを言ってくれるわね。
でも、おかしいな。
思いっきりジャンプしたはずなのに、私の視線はジョルジオ様の顔にも届いていなかったような……。
どこいった? 私のジャンプ力。
「次はこちらから行くぞ!」
「お姉様!」
ジョルジオ様の切り替えしが早く私に斬りかかってくるが、私の態勢が整わない所はクレアが光の盾でカバーする。
光の盾がジョルジオ様の攻撃を弾いている間に私は距離をとって仕切り直す。
どちらも決め手がないまま、一進一退の攻防を繰り返していた。
「ぜっ、ぜぇっぜぇっ……」
「よし、二人とも休憩だ」
私とクレア、そしてジョルジオ様は騎士団が所有する訓練場で訓練をしていた。
学院外なのでサラも一緒だ。
事の始まりは二学期の始業式が終わり、たまたま偶然ひょんなことからジョルジオ様とお話しができた事に端を発する。
うん、教室の外に最速で出て行って、ずっと待っていたとかじゃぁないんだよ?
とまぁそんなわけで、お茶をご一緒するついでに訓練することになったのだ。
お茶のついでに訓練? と思わないこともないが。
こまけぇことぁいいんだよ。
大事なことはジョルジオ様と新学期早々一緒に過ごせることさ。
「私、こんなに体力なかったかしら……。魔物討伐の時とかはもっと動けた気がするのだけど……」
「お嬢様、鏡をお持ちいたしましょうか?」
サラがタオルを渡しながらそんなことを言う。
いや、鏡持ち歩いてるんかい! この世界ではなかなか高級品ぞ?
「ぶっひー! いらないわよっ! っていうかそんなの持ってないでしょ!」
「冗談です。体重のことはともかくとしてお嬢様は元々スプリンター型ですし、回避面ばかり鍛えていましたからね。 瞬発力は高いと思うのでそれはそれで問題ないかと思います」
体重言うたな? おぉ?
「魔法使っている方が楽しいしね。でも進化したワオーンドッグに飛び掛かられた時、もうちょっと鍛えておけばノルとクレアを危険に晒さなくてすんだのかなって思って」
「あの個体相手では生兵法は逆に危険だと思いますよ。お嬢様ならやはり捌くだけの技術を身に着け、魔法で対処した方が確実だと思います」
「やっぱりそうかなぁ~。ちなみにさ、サラなら倒せたと思う?」
「どうでしょうか。間近で見たわけではありませんが、あの時の私では討伐することはできなかったでしょう。今なら、とは思いますが」
サラは魔物討伐の後、熱心にお母様と修行していたから強くなった実感があるのだろうか?
「二人とも、何の話しをしているんだ?」
魔物討伐の話しに興味を持ってくださったのだろうか、ジョルジオ様が話しの輪に加わる。
「お姉様が凄かったんですよ!」
もちろんクレアも加わる。
クレアが情緒たっぷりに一連の流れを語ってくれた。
クレア自身の活躍が成功に大きく寄与していたのだが、誰だかわからない超絶かっこいい女性の話しに終始していた。
クレアが語るフロストは絶対私じゃない。
ジョルジオ様は熱心にクレアの話しを聞き、がっはっはと笑いながら私の背中を叩いていた。
まったく~スキンシップが激しいんだからっ!
そして、訓練を再開する。
サラの言葉を間に受けたわけではないけど、瞬発力を高めるために新しい無詠唱魔法を使うことにした。
「ジョルジオ様、申し訳ありません。開始前に少々無詠唱魔法を使うためのお時間を頂けないでしょうか。実戦や試合ではそんなことはできないことは承知していますが、今は訓練ですので試させて下さい」
「俺に魔法を受けろと、そういうことか?」
「いえ、魔法を使うのは私自身にです。魔法の力で今の私の最速の一撃を受けて頂きたいのです」
「はははは! いいだろう、俺にお前の全力を見せてみろ!」
「はいっ!」
私はジョルジオ様が待ってくださることに感謝し、研究してた無詠唱魔法をイメージする。
優に五分以上は時間がかかったと思うが、準備が整ったためジョルジオ様に合図を送る。
ジョルジオ様が頷いたことを確認して、無詠唱魔法を発動する。
――アクセル!
私の両足に風が渦巻く。
そして、五メートルは離れていたであろうジョルジオ様との距離を一瞬で詰め、さっきと同様に飛び上がりながら木剣を振り下ろす。
この無詠唱魔法のからくりは、私の足から風を噴出させ、それをコントロールしているのだ。
夏休みに結成したKPTの会で研究を進めていた魔法を、瞬発力強化のために応用したものになる。
飛び上がった距離はさっきの比ではなく、威力は随分と上がったはずだが、またも私の攻撃はジョルジオ様の盾に防がれる。
ただ、今回は反応するのがやっとだったためか、はじき返されることはなかった。
今度は自分から離れ、両手を上げて降参のポーズを取る。
色々と呆気に取られているジョルジオ様だが、この魔法は効果時間が極端に短いのだ。
ワンアクションか持ってツーアクションのみ。
しかも、魔力をごっそりと持って行かれる。
コストパフォーマンスは悪いけど、使いこなせれば相当強力な選択肢になると感じている。
足だけじゃなく、腕に使えばダガーや剣を早く振ることだってできる。
使い方ではなく、効果時間そのものを長くすることができればもっと選択肢は広がるんだけど、これも無詠唱魔法の性で消費魔力量が多いし、慣れない内は発動時間も長くかかる。
諸々克服できればいずれ空を飛べることもできるようになるんじゃないかと期待はしているのだけど……。
何にしろ先は長そうだ。
「よし、今日の訓練はここまでだ。しかし、さっきの魔法は面白かったな。さすがに反応が遅れそうになったぞ」
「ふふふ。ジョルジオ様も無詠唱魔法に興味が出てきましたか? さっきの魔法のことが知りたいのであれば、KPTにご参加頂いても構いませんのよ?」
「け、けーぴーてぃー?」
「はいっ! 風魔法のパワーで飛ぼう! の会ですわっ!」
「お、おぉぅ……。いや、俺は遠慮しておく……」
「なんと!?」
「お嬢様、食い気味すぎです」
「あははは。楽しくて、斬新な会ではあるんですけどね……」
「そ、それよりもだな、先程はサラであれば件の魔物を倒せるかもと言っていたな? 是非俺と試合をしてその力を見せてもらいたい。どうだ?」
サラが私を見てきたので、少し考えて頷いて置く。
ジョルジオ様との繋がりは多い方がいい!
「私でよろしければ。ただ、ルールをこちらで決めても問題ないでしょうか?」
「ん? あぁ、問題ない」
「私のスタイルは一撃がそれほど重いものではありません。ですので、私の攻撃がジョルジオ様に五回当たれば私の勝ち。逆にジョルジオ様の攻撃を一度でも私が食らえばジョルジオ様の勝ち。それで如何でしょう」
「ほぅ、面白い。それでいい」
ジョルジオ様はニヤリと笑い、先程までと打って変わって迫力を感じさせる表情になる。
私達との模擬試合はあくまで訓練の一環。
今度は本気ということなのか。
私達は後衛だから仕方がないとはいえ、自分の実力不足が恨めしい。
それにしてもジョルジオ様はプレイヤーキャラ最強と言われていた。
そんなジョルジオ様に軽い挑発を入れるなんて、ウチのメイドは一体どうしたのかしら。
でも、私に恥をかかせるようなことをサラがするとは思えないから、本当にあの条件が妥当だと思っているか、それともあの条件ですら勝てる自信があるのか。
サラとお母様の訓練は私とクレアとノルが魔法の研究や訓練をしている時にしていたみたいだから、実際どんな訓練かどれくらい強くなったのかはわからないのよね。
まぁ、こうなってしまっては今更止めることもできない。
二人の模擬試合をじっくりと観戦させてもらいましょう。
フ)ごめんなさいすいませんまいにちこうしんはむりですすいきんにちでこうしんします。
ク)キリの良い所まで更新しますが、もしかしたらまたお休みを挟んで投稿させて頂くかもしれません。
今回はサラさんが大活躍する場面が多いので、楽しみにしていてください!
サ)二学期編待ってたよ!と思って下さっていたら、是非ブックマーク・☆を押して評価をお願いします。既にブクマ評価して下さった愛しき方々はいいね!をして頂けると大変嬉しく思います。
フ・ク・サ)というわけで、二学期編かいまくかいまく~!




