幕間 手紙
お父さん、お母さんへ
お元気ですか?
夏休みに帰らず、手紙も送らないでごめんなさい。
私は元気で楽しく過ごしています。
というのも実は今、ベルガモット領に来ているんです。
前に手紙に書いたフローレンシア・ベルガモット様の領地です。
夏休みに入る前、お姉様に誘われて、一緒に過ごさせて貰えることになったんだ。
そのことを先に二人に伝えなきゃいけなかったのに、遅れてごめんなさい。
でね、ベルガモット領の中心であるベルモの街はとてもいい場所なの!
町全体に活気があって、住民の皆さんがとても気さくで……。
なんだかちょっと村を思い出しちゃうくらい。
それに、ご飯や果物もおいしいんだよ!
ベルガモット領には特産品はないらしいんだけど、色々な作物があって、それを使った料理が一杯あります。
今後はもっともっと収穫量を上げて、みんながお腹いっぱい食べれるようにしようとしているんだって。なんでも作物の植え方を変える試みをしていて、ベルガモットの農業はこれから伸びるから! だって。
結果が出るのは何年も先って言ってたけど、お姉様ならきっとうまくやるんだろうなって思う。
もし本当にみんながお腹一杯食べられるようになるなら、ウチの村でもできるように勉強するね。
美味しい果物と言えば、梨!
初めて食べた時はビックリしちゃった。
シャリと少し歯ごたえはあるのに、すごく瑞々しくて甘いの!
それを食べたらね、梨で色々なお菓子が作りたくなっちゃって、今こっそり練習しているんだ。
うまくいったらお姉様やベルガモット家の皆に食べてもらおうと思ってるの。
勿論、お父さんとお母さんにも作るからね。
私、今がすっごく楽しい。
全部、お姉様と出会えたおかげ。
学院に行く前は不安ばかりで、二人には言えなかったけど、本当は行きたくなかった。
でも、お姉様に出会えたおかげでそんな気持ちはなくなっちゃった。
色々なことを教えてもらって、魔法も一杯使えるようになって、同い年のお友達が沢山できたから。
そういえばね、魔物を討伐もお姉様と二回も行ったんだけど、全然怖くなかったんだよ。
だって、お姉様凄いんだもん!
ベルガモット領で魔物と戦う前には一緒に戦う仲間を鼓舞して、誰も傷つけさせないなんていうの。
お姉様はまだ私と同い年なのに、本当に先頭に立って、まるでお伽噺みたいに戦っていたの!
貴い人って言うのはこの人のことだって、私は思うんだ。
そんな素敵な人と一緒にいられるおかげで、私は元気でやっています!
だから、心配しないで下さい。
次の休みに帰れるかわからないけど、手紙はまた出すね。
それじゃ、二人のことをいつも祈っています。
クレアより
「なぁ、母さん。クレアがこんな風に楽しそうにしているのなんて初めてだな」
「そうね、同い年の子なんて村にはいないですしね。嬉しいんでしょうね」
「それにしてもフローレンシア様は先頭に立って魔物と戦うくらいだから、細く、しなやかで貴族然とした方なのだろうなぁ」
「こんなに褒めるんですもの、もしかしたらクレアよりも可愛くて、スタイルもいいかもしれないわね。そのうえで、聡明で、お優しい方に違いないわ」
「もしそうだとしたら、クレアと二人で並んでいたらそれはまるで絵画のようだね?」
「ふふふ。あなたは本当に親バカね」
「母さんこそ」
「「ははははは」」
フ「圧倒的勘違いもの! あ、いやなんかすいません……」
ク「次回は来週日曜日更新予定です」




