外法術【操血術】
「ログイン」
小一時間ほど休憩して再びログインする。すると、見慣れない物が視界に映る。どうやら運営からのメールのようだ。
「なになに。ふむ」
どうやら設定ミスで本来最初から配られる、杯と解体用のナイフが配られていなかったらしい。それのお詫びとアイテムとしての配布か。
「うーん。どうするかね」
しかし、そうなると話が変わってくる。本来なら部屋の外に出てダンジョン探索にで向かうつもりだったのだが••••••。まぁ予定は未定だ。武器が全く無いというのもどうかと思うし、予定変更してアイテム制作に精を出すことにしますかね。
でもまぁ、そのために先ずは、アイテムの確認をしなければ。
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解体用ナイフ
レベル:ー
耐久度:ー
攻撃力:100
特性:1
不壊
敵対生物の解体時に用いるナイフ。戦闘用では無いため、大した攻撃力もなく、普通の武器として使われるのは殆どない。
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空の杯
レベル:1
耐久度:ー
特性:1
不壊
何も入っていない質素な作りの杯。液体状の物なら基本何んでも入れる事が可能
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「ほう」
杯は丁度良いな。器として十分大きさもある。ふむ、丁度いい器ができたんだ。アイテム作成を試すか。
とは言ってもこの部屋にアイテムになりそうな物は一切ないんだが。可能性があるとしたら俺の血肉くらいか。
敵の素材でアイテムを作れるんだ。それなら自分の血でも大丈夫だろう。
しかし、どうやって取ろうかね。流石に腕を引きちぎるのはやだし。何か刃物でもあればいいんだが。ん?刃物?そう言えばさっきナイフもらったばかりだな。それ使うか。
取り敢えず、杯を置いてと。そして自分の腕を切りますと。
「っ!」
流石に痛いな。まぁ多少の代償は必要であろう。血が止まるまでは杯の上から動かさずにいるか。
どうやら血が止まったみたいだ。
下を見るとそこには、血が溢れんばかりに入っている杯があった。こうして見ると中々にホラーな画像だな。取り敢えず鑑定してみるか。
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人外者・修羅の血
レベル:1
耐久度: 97/100
特性:0
プレイヤー修羅から取れた血。人外者から出たとい事以外は何の変哲も無いもの。
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ふむ。さてさてさーて。これをどうやって変化させるかね〜。
まぁ悩んでも仕方がないか。取り敢えずは思ったままに想ってこれを加工しますかね。
では私の血が入った杯を台に置きまして、いっちょ始めるとしますか。
「我、享楽を求め未知を探す者。我が心を満たす物を求めて幾星霜。」
取り敢えず口に出したほうがいいかと思って、口に出すが、どうやら良かったらしい。幾何学模様的なものが出ている。
ふむ、このまま続けるか。
「しかし、幾ら求めど我が心満たす物未だ現れず。ならば、此度は此方から探そうではないか。」
少しずつ杯の中の血が吸い込まれていく
「その第一歩として、我新たなる力求めん」
杯の中の血が完全に吸い込まれ、気幾何学模様が血の赫く染まる。
「我が血を意のままに操る力を。我が血を以ってして求めん」
赫く染まった幾何学模様が再び杯へと吸い込まれていく
「与え給へ。寄越し給へ。我、力を欲する者。新たなる力を我が手に!」
「出来たか」
模様が完全に吸い込まれると、目の前には血の時よりも、明るく輝く赫色に染まった液体が満ちた、杯があった。
今までに無い感覚だ。どこか吸い込まれそうな感覚がある。今まで体験してきたゲームの中でも随一の危険さだろう。
だが、だからこそ俺には鑑定をしないという選択肢は存在しなかった。
「鑑定」
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外法術【操血術】の杯
レベル:2
耐久度:ー
特性:2
不壊 外法術【操血術】取得
効果:杯の中身を飲む事で外法術【操血術】の取得が可能
【操血術】を取得できる杯。
しかし、使用する時は覚悟を決める事だ。体の変化に耐えられなければ、死あるのみ。
耐える事ができれば貴様が望む力が手に入るであろう。
さぁ、覚悟を決めた時飲みたまへ。
※このアイテムを使用した時、キャラロストする可能性があります。
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「マジかぁ••••••」
どうやら、思っていたよりもやばいのが出来たらしい。どうしようかね。HPが持つかどうかも分からないが。
「飲むか」
第一これを求めて作ったのは俺だ。それなのに死ぬのが怖くて使えませんでした。は、笑い話にもならん。
それに死んだ後のことは死んだ後に考えるといい。今気にしていても仕方がない。
「それでは、頂きます」
「っっっっっっ!?」
「がああああああああああsjcいsーsmcうdywbfーーーーーー!?」
飲んだ瞬間感じたのは、今まで感じたことがないような痛み。そして気づいた時には言葉にならない叫びが出ていた。
「ーぢgywbそwhfなうfgqmsーーーー!?」
しかし!しかしだ!素晴らしい!!今までに感じたことのない痛み!それなのに減らないHP!身体的にではなく精神的にくる痛み!
もっとだ!もっと寄越せ!!俺の知らないものを!心を満たす物を!!
ははははははは!!ふはははははは!!こんな体験は早々無い!!
もっと寄越せ!もっとだ!もっと!もっと!もっともっと!
≪外法術【操血術】を獲得しました≫
≪称号: 猛り狂う者 を獲得しました≫
≪称号: 血を操る者 を獲得しました≫
≪プレイヤー:修羅のレベルが2になりました≫
「ぅwkdんちゃおfmぁぁぁぁぁぁ••••••」
どうやら終わってしまったみたいだ••••••。しかし素晴らしかった。このゲームを始めて良かった。
「っと」
満足感に浸るのも此処までにして得た力の確認をするか。俺は自らに鑑定を使う。
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プレイヤーネーム:修羅
レベル:2
HP 120/120
満腹度 1,000/1,000
特性:15
不老 不死(不完全) 増腕×4 増眼×7 増口×2
特殊技能:
鑑定
外法術: 【操血術】
称号:血を操る者 猛り狂う者
所持アイテム: 埃被った腰布 空の杯 解体用ナイフ
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ふむ、見覚えのない物が増えているな。どうやらまた確認しないといけないことが増えたらしい。
恒例の補足 外法術とは
この作品ではスキルや生まれ持つ能力、魔術などは別のものとして設定されています。
で、今回出てきたのはその魔術に当たる外法術。外法術は人外者以外は原則使えず、現地人で使えるのは、修行を積んだごく一部の人のみです。
外法術とは空気中にある魔力や呪力を使ったものから、或いは信仰、はたまた己の体を使ったものまで存在します。
今回主人公が作ったのは己の肉体を介するものの分類に入ります。
まぁ、言ってしまえば外法術とは某有名なダークでソウルなゲームで言うところの魔術や呪術、奇跡といったところです。