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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

共存 〜ロボットと人間〜

作者: 兎にも角

転校生が来た。

それもとても変わってる転校生だった。

転校生は女の子だった。短くて黒い髪をして、目は少しつり上がっていた。

転校生が教室に入ってくるなり教室は騒がしくなった。特に男子が。彼女は端正な顔立ちをしていて、誰がどう見ても、かわいいと思える顔だった。

そして、転校生はもうひとりいた。こっちは男だった。短くスポーツ刈りを決めていた、いかにもスポーツやってます感半端ない人だった。

こっちは女子の反応が大きかった。というのも彼は誰がどう見てもイケメンの部類であった。


先生が教壇にたった。


「今日から、新しく入ることになった子たちだ。じゃ、自己紹介から始めてくれ。」


先生がそう言うと転校生たちは自己紹介を始めた。まずはスポーツ刈りのサワヤカイケメンが自己紹介を始めた。


「皆さん、はじめまして。今日から皆さんとともに勉学を一緒にさせていただく、月島康生つきしまこうせいです。好きなことはサッカーです。皆さんと仲良くしたいです。よろしくお願いいたします。」


そう言って、イケメンは自分の自己紹介をかんたんにして、締めくくった。


「次、君、自己紹介お願いできるかな?」


そう言って先生は女の子のほうを見て言った。


「…わかりました。」


彼女はそうつぶやくように言った。そして自己紹介を始めた。


「…ヒカリです。…よろしく。」


それだけ言って彼女は口を閉ざしてしまった。彼女はのあまりに短い自己紹介に教室の生徒たちは唖然としていたが、先生がすぐに話を始めた。


「みんな、二人と仲良くしてやってくれ。まだ入ってきたばかりで、緊張してると思うから優しく接してやれ。」


先生はそう言って一泊おいた。そしておもむろに違う話題を提示してきた。


「みんなは、ロボットって聞いたことあると思うが、どれくらい技術が進歩してると思う?」


先生がおもむろにそんなことを言ってきた。今それ関係あるか?と思ったが、クラスのみんなも同じようで、最初は困惑していたものの、「どれくらいって…二足歩行できるくらいか?」「今スマホにも人工知能が搭載されているからすごく進歩してるんじゃないの?」などなど、ちらほらと生徒たちが話し始めた。


「ロボットはあまり進化していない、と思うかもしれないが、実は違う。」


そして先生は一拍おいた。


「実は、ここにいるヒカリがロボットだ。」


え?あの彼女がロボット?

理解できなかった。動きもリアルだし、今のスマホに搭載されている、Suriなど合成音声でなんか無機質だし。

彼女の声は自己紹介のときにしか聞いていないが、それにしても人間の声と変わらないように聞こえた。というか、ロボットはいつ人間にこんなに近づいたんだ?

そんなことを思っているとイケメンの月島が喋り始めた。


「みんな、驚いてるかと思うけど、僕はヒカリの監視役?というか、お目付け役としてきた身なんだよね。でも、彼女がロボット…アンドロイドであるのは確かな事実だ。」


彼がそう言うと、先生が補足説明してくれた。


「あー、実は俺のクラスは国立ロボット工学研究所から話を受けてうちのクラスで実証実験をする事になった。そして月島はその研究所の職員だ。」


先生がそう言うなり、みんな混乱し始めていた。無理もない。俺も混乱している。国立ロボット工学研究所?アンドロイド?ロボットがうちのクラスで実証実験?

いろいろな情報が乱立してきて処理できない。

すると、月島が先生の説明に補足を入れてきた。


「我々、国立ロボット工学研究所ではこの実証事件を通してロボット…ヒカリがどう行動をするのかを見るための実験だ。よくあるSF映画とかにあるだろ?人間とロボットが共存しているやつとか。今回の実験は、ヒカリが学校生活の中で、どう行動するかを見るテストだ。みんなには実験に協力してほしい。頼む。これはロボットと人間の共存のために必要なデータ収集だ。別に、ヒカリと仲良くしなくていい。いつもどうり過ごしてもらえればそれで問題ないから、そこのとこは心配しなくて大丈夫。」



月島はそういった。


「とう言う事だ。そういうわけで、二人と仲良くしてやってくれ。」


いやいや、というわけでってなんだよ。

適当すぎないか?

そんなことを思っていると、んじゃ、後ろの2席開いてるからそこに座ってくれ。


「…わかりました。」


「わかりました。ありがとう御座います。」


そう言って転校生たちは後ろの席ーー俺の隣に座ってきた。え、まじで?一応挨拶しなきゃな。そう思っていると月島が話しかけてきた。


「君は、國川くじかわ 駿輔しゅんすけくんだね?よろしくね。」


月島はそう言うと、手を突き出してきた。

俺も手を差し出して、握手をした。


「…そうですけど、なんで僕の名前知ってるんですか?」


なんとなく疑問に思ったことを聞いてみた。でも、誰でもいきなり自分の名前を言われたら警戒するか驚くと思う。有名人ならまだしも、俺みたいな、どこにでもいるような平々凡々な高校生の名前を知っている人はいるだろうか?いや、いないだろう。これだけは断言できる。


「一応、顔写真付きの生徒名簿を見させてもらったから。覚えた。」


覚えたって…。まあいいけど。そして俺は隣りに座っていた、ヒカリに目を向ける。


「よろしくおねがいします。」


そう言うと、彼女は


「…よろしく。」


と、素っ気無く返してきた。会話が完全に途切れてしまった。なんか話題がないか探していると、チャイムがなってしまった。彼女はチャイムの音を聞けばロッカールームに教材を取りに行ってしまった。結局今日一日中彼女とはそれ以降話さなかった。



彼女は最初の方はクラスのみんなから一目置かれていた。だが、それ故にやっかみなども増えた。彼女は成績も優秀であれば、運動能力もすごく体力テストではクラスのトップだった。だが、それを面白くないと思うやつがいた。そいつらは、彼女をいじめていった。最初の方こそ、ものや教科書を隠されたりする程度だったが、いじめは更に加速してゆき、体操着が切り刻まれたり、上履きが水浸しになっていたりした。

俺も、見ていられなくなって止めようとした。でも、いじめている奴らは「お前に何ができんの?」「今度はお前もいじめてやろうか!?」などと言われてしまい、それ以上食い下がれなかった。悔しかった。そして、情けない自分に怒りを覚えた。もうちょっと自分に度胸があれば。力があれば。何度思ったことか。それでも周りから省かれるのが怖かった。自分もヒカリのようにいじめられるのではないかと思うと体が動かなかった。



俺はある日月島に話しかけた。


「月島、ちょっと聞いてもいいか?」


「なんか用かい?」


俺は、彼に疑問に思ったことを聞いてみた。ヒカリのことだ。


「ヒカリがいじめられているけど、どうしてお前は止めない。お前は国立ロボット工学研究所のお目付やつだろ?」


そう言うと、彼はふっと笑い答えた。


「俺が転向してきた初日に行っただろ?ただのお目付け役だって。俺は護衛でもなければ、なんでもない。第一、彼女はただのアンドロイドだ。人間に使われるために生まれた道具でしかないください」


俺はそれを聞いた瞬間怒りが湧いた。それでも月島は俺のことを気にした様子もなく、さらに付け加えた。


「第一、アンドロイドは人間じゃない。だから痛みも感じない。所詮、物なんだよ。バックアップさえあればいつでも復元できる便利な道具でしかない。」


「ってめえ」


俺は彼に襟首を掴んだ。それでも彼は気にした様子を見せず、飄々とした態度で言った。


「だったら、君が止めてみなよ。俺はただたんに彼女の監視役であり、彼女の自主性を尊重するだけの存在だ。だから、彼女に介入するつもりもない。」


俺は彼の襟首を話して、彼に言った。


「ああ、俺がなんとかしてやるよ。いや、絶対に。」


そう言って俺は教室をあとにした。



そんなある日、事件が発生した。いつものようにヒカリをいじめていたクラスメイト達が投げ飛ばされたのだ。周りのクラスメイトは唖然としていた。


「…なんで。…なんで私ばっかりこんな思いしなきゃいけないのよ!私だってみんなと仲良くしたかっただけなのに。」


ヒカリはそう言って、駆け出した。周りの生徒たちはいまいち状況がつかめずにぽかんとしていた。そんな中俺は胸騒ぎを覚えた。何かはよくわからないが、ヒカリを止めないと一大事になる。そんな気がした。そして俺は迷うことなく、彼女を追いかけて、走って走った。



彼女についていって、走った先は屋上だった。屋上は普段は閉鎖されているが、さっき見た感じだと壊されていた。多分ヒカリが壊したんだろう。


「私が何したっていうのよ…。どうして私ばかりこんな目に合わなくちゃいけないのよ。私がアンドロイドだから…?私がずるしたように思うの…?もう、やだこんな世界…。」


彼女はそうして独り言を言うとおもむろに立ち上がった。


「そうだ…。いっそのこと壊れてしまえばいいんだ。私なんて所詮アンドロイド。人間に道具として作られただけの存在。だったら、消えても誰も文句言わないよね?確か、バックアップは取ってないし、復元もできない。人間には痛くも痒くもない…いや、少しの損害は与え得られるかな…?」


そう言って彼女はフェンスに手をかけた。そして登ろうとした。フェンスの先は、地上…すなわち落下しようとしていたのである。流石に見過ごせなくて、俺は走ってーー彼女の手を掴んだ。


「一体何をするつもりだ。死ぬならやめとけ。」


「死ぬ…?何いってんの?私アンドロイドだよ。第一死ぬんじゃなくて壊れるだけだから。そんな心配しなくていいよ。」


彼女はつきものが取れたような笑顔で、言ってきた。


「そんなの、俺が許さないよ。」


「きゃっ」


そう言って俺は彼女の手を思いっきり引っ張った。


「何すんのよ。」


「それは、こっちのセリフだ。」


そう言うと彼女はキョトンとした顔で見てきた。


「…どういうこと?」

「隣の席だし、第一いじめられてたのを見ていて胸糞悪かったし…とりあえず、クラスメイトが死んだら、俺が気分悪くなるんだよ。


「あなたには関係ないでしょう?第一いじめられても痛くはなかったし、人間と違って私はアンドロイドよ?お名谷心配される筋合いもないし、しかも、あなた私がいじめられているのに助けてくれなかったじゃない。」


「…。それは、俺は怖かったんだ。自分もヒカリみたいにいじめられんじゃないかって。」


「ほら、そうやって言い訳を作って、『自分偽善者ですよ』風情を装う。そういうのやめて。余計に腹が立つわ。」


俺は何も言えなかった。というよりから言い返せなかった。


「…確かに、俺は偽善者風情かもしれない。でも、助けたい気持ちは本当だ。」


「んじゃ、なんでーー。」


「怖かったんだよ。俺もヒカリみたいにいじめられんじゃないかって。そんなふうにとどまるたんびに思ったよ。そして、自分はなんて臆病で、弱いんだって。自分に力があったら。自分に度胸があれば…。何度思ったことか。自分は臆病で弱くて、ダサいやつさ。そしてそんな自分を何度も呪ったよ。何度も何度も。」


俺は自分の感情をすべて吐き出してしまった。でも、後悔はない。ないと言ったら嘘になるが、少なくとも後悔をしてるつもりはない。そして俺は続けた。


「俺は弱くて卑怯だ。今回ヒカリがいじめられてて学んだ自分の裏側だ。でも、こんな俺でもお前の力になってやりたくてしょうがないんだよ。お前を助けたくてしょうがないんだよ。アンドロイド?人間?そんなクソッタレな境界はいらない。俺たちは正真正銘、意思とか感情を持ってる。生きてるんだよ。そんな、死ぬんじゃなくて壊れるだけだからとか虚しいこと言うなよ。」


彼女は目を見開いていた。それでも俺は続ける。


「なあ。人間とアンドロイドって違うといえば生まれや体の作りぐらいだろ?考え方とか理性があるんだったら、人間でもアンドロイドでも関係ない。」


そして俺は一回深呼吸して言った。


「人間だのアンドロイドだの関係ない。俺たちは手を合わせれば可能性は無限大だ。境界なんてないんだ。俺たちが手を結べば一つになれる。こんな俺で良ければ、俺と友達になってくれないか?」


そう言うと彼女は涙を流していた。


「…本当にいいの?私アンドロイドだよ?人間じゃないんだよ?それでもいいの?」


彼女が聞いてきた。そんなの最初から答えは決まっている。


「ああ、人間だのアンドロイドだの関係ない。改めて俺と友達になってくれないか?」


「うん…!」


そう言って彼女は涙を流し続けていた。

2時間で書いた文なのでおかしな部分があるかもしれませんが、気に入ってもらえれば幸いです

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