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4.本世界

ジョブスキルについての簡単な説明が抜けていたので修正しました。

2/5　通貨を金銀銅からDIL（ダイル）に変更しました。

一部誤記を訂正しました。

「じゃあ最後は私からのプレゼント。いきなり路頭に迷わないように支度金といくつかのアイテムを入れておくよ。アイテムや装備はウインドウからも操作して取り出せるし、そのアイテムを念じても取り出せるようになってるよ。ちなみに、装備は俗に言う初期装備だから期待はしないでね」

「ありがとう。短い間だったけど世話になったよ」

　1時間15分の出会いが終わりを告げると共に、俺の体が光の粒子になっていく。それと同時に視界もぼんやりしてきた。

「君の冒険に祝福あれ」

　最後にコピの言葉が聞こえたが、俺は返事をすることができず、視界が暗転した。

――――――――

――――再び意識がはっきりする頃には目の前にコピはおらず、代わりに大きな噴水が目いっぱいに広がっている。周りを見れば人、人、人。

　目に見える限りで一言で言うならば、ベタな中世ヨーロッパな雰囲気を纏った造り。

　NPCの中に、僅かばかりにいるプレイヤーが俺と同じようにキョロキョロと不審者のように周囲を見ていた。プレイヤーが少ないのはきっとまだキャラメイク中だからだろう。

　俺はメニューウインドウを開き、マップを開く。俺がいる所に緑の光点が表示されている。そして、目の前にある噴水を中央とし、全貌は360度の円形の街…いや、城塞都市か。この都市の周囲は真っ黒だったので、マッピングあるいは周辺地図が売っているのかもしれない。前者ならマップ開拓する必要があるな。

　先ほど城塞都市といったが、それは建物越しでもわかるほどの大きな壁が、360度囲うようにしてそびえていたからだ。まあ、こんな壁があるぐらいだから、イベントか何かで大型の魔物が出るのだろう。巨人が出ないことを祈る。

　ちなみに、この都市の名前はハーストンだった。

　次にステータスを開く。ついでにレイアウトを弄って表示を分かりやすくしてみた。

【名前】エータ　Lv1

【種族】ヒューマン

【職業】テイマー Lv1

【所持金】50000DIL

【所有スキルポイント】0

【所有ステータスポイント】0

【HP】150/150（150/300）

【MP】37/37(37/75）

【STR】5(+0)+0(5)

【VIT】5(+0)+0(5)

【INT】5(+0)+0(5)

【MND】5(+0)+0(5)

【DEX】5(+0)+0(5)

【AGI】5(+0)+0(5)

【LUK】55(+50)+5(60)

【ジョブスキル】＜テイム Lv1＞

【アクションスキル】＜付与:LUK Lv1＞＜ギャンブルアーマー LV1＞＜脱兎 Lv1＞

【パッシブスキル：適用3/10】＜幸運 Lv1＞＜弾き Lv1＞＜回避　Lv1＞

【パッシブスキル：控え0/99】

【称号：適用0/3】

【称号：控え0/99】

【称号スキル】

【装備】

　メインウエポン：なし

　サブウエポン：冒険者のナイフ

　頭：なし

　体：冒険者の服

　手：冒険者の指貫グローブ

　足：冒険者の靴

　装飾：なし

　正式にAAOに入ったことにより、項目が色々と増えていた。一応、単語とかに意識を集中すると、補足説明がされる。より詳細なことは物なら＜鑑定＞スキルを取ると良い。こういった単語などは鑑定要らずなので、非常に助かる。

【テイムモンスター】…自分がテイムしている魔物。＜テイム＞レベルによって保有数は変わる。

【所持金】…自分の所持しているお金。通貨はダイル。

【所持スキルポイント】…自分の所持しているスキルポイント。基本1レベル上がるごとに1ポイント付与される。イベントや特殊な行動などでも付与されることがある。

【所有ステータスポイント】…自分の所有しているステータスポイント。基本1レベル上がるごとに5ポイント付与される。特殊な場面にて付与されることがある。

【ジョブスキル】…自分の就いている職業の固有スキル。職により、様々な特徴を持つ。

＜テイム＞…魔物をテイムするのに必要なスキル。対象を選んで発動し、条件をクリアするとテイムできる。テイムできる魔物はテイム可能と表記される。

【称号】…自分が所持している称号。中には効果のある称号もある。イベントや特殊な行動などで得ることがある。

【称号スキル】…称号による付与スキル。称号適用時、スキルを適用。称号を外すとスキルが外れる。なお、パッシブスキルのOFFは無いので注意。

【適用】…パッシブスキルや称号などの効果を適用させる。スイッチでいうON。

【控え】…パッシブスキルや称号などの効果を適用させない場合にこちらに移る。スイッチでいうOFF。

【装備】…自分の装備。要求ステータスをクリアして初めて正しい装備扱いされ、装備性能が適用される。要求ステータスをクリアしていない場合、攻撃力1の装備扱いとなり、装備性能は全て適用されていない状態となる。

【冒険者のナイフ】…攻撃力：8　耐久値：∞　要求ステータス：なし　装備性能：なし　カテゴリー：サブウエポン

【冒険者の服】…防御力：5　耐久値：∞　要求ステータス：なし　装備性能：なし　カテゴリー：防具（体）

【冒険者の指貫グローブ】…防御力：3　耐久値：∞　要求ステータス：なし　装備性能：なし　カテゴリー：防具（手）

【冒険者の靴】…防御力：2　耐久値：∞　要求ステータス：なし　装備性能：なし　カテゴリー：防具（足）

　ここで初めてジョブスキルが出た。説明を見る限り、戦ってゲットがテイムというわけでもないらしい。色んなパターンがあるんだろう。

大体ステータスについて把握できた。レベルあげて、スキルやステータス上げもいいが、イベントでももらえたりするので、積極的に参加していきたい。

　ちなみに、装備はこれが最強装備である。お試しにステータスを振るとき見せてもらった装備の中で最弱のものでも要求ステータスが5では足りなかった。見た中で要求がLUKの装備はなかった。それが見つかるまで俺の装備はこのままである。もしかしたら永劫このままの可能性なまである。

「よし、まずはフィールドに出てみるか」

　武具などは買わないので、とりあえず南口に向かうことにした。向かう途中で、コピからもらったアイテムを確認することにした。中には2種類の液体の入ったビンが入っており、緑色と青色だった。とりあえず調べてみる。

【初級HPポーション】…回復量：HPの20％分を10秒間回復。　CT:10秒

【初級MPポーション】…回復量：MPの20％分を10秒間回復。　CT:10秒

　緑色がHPで、青色がMPのポーションだった。青はともかく、緑は若干毒々しいから抵抗があるな。そんなポーションが20本ずつ入っていたが、俺の場合、使うとしたらMPポーションだけになる可能性が高いな。

　それにしてもやたらと南口まで遠いな。都市なだけあって面積も広い。単純にAGIを挙げていない弊害かもしれないが、俺にはこれがあった。

「＜脱兎＞」

　発動した瞬間、俺のHPが15になる。最大HPが15になるので、HPバーは全快状態だが、これが20秒経つと、最大HPが150に戻り、残りHPが15になることだろう。その20秒の間、俺のAGIは105となり、体が軽くなった感じがした。

　走りだすと、リアルな俺では出せないほどの速度で走ることができた。道行くNPCを潜り抜け、20秒経つころには最大HPが戻り、現在HPの影響なのか、結構疲れがでていた。もう一度使うことで、HP満タンになり、疲れがとれ、また体が軽くなるという味わったことのない感覚になる。

　というか、CTは20秒なのでループはできる。しかし、俺のMPは37しかない。7回しか使えないのだ。

　自然回復はできるが、休止モード、いわゆるリラックス状態の場合に限る。回復速度は2秒毎に1と、俺のMPなら1分ちょっとで回復できる。HPはMPの倍の速度って所だった。

　脱兎ループを7回ほど繰り返すと、やっと南口が見えてきた。長いよ、広いよこの都市。南口の近くに来ると。門の横に淡く発光している板があった。何だと集中してみると。

【転移板（ハーストン南口）】設定地点：ハーストン北口　ハーストン西口　ハーストン東口　ハーストン中央噴水　発動コスト：50DIL

　どうやら転移できるらしい。設置個所は東西南北と中央で、最初にいた噴水のところにもあったらしい。転移代金が50DILということなので、金はかかるが一気に外の近くや中央に行けるので、これから使っていこう。

　南口に視線を戻す。木製の巨大門があり、門は開かれていた。申し訳程度に衛兵が一人暇そうに立っている。NPCが門を出入りしているが、引き留めることもしていない。仕事しろ衛兵。

　まあ、今は警戒体制でもないんだろうし、外に出たら自己責任なんだろうけど、住民管理が雑な気もしてくるな。

　NPCの心配をしてもしょうがないので、俺も門を出る。衛兵を通過するが、やつは欠伸をかいていた。

　もう一度言う。仕事しろ衛兵。　

次回、初戦闘になります。