3.キャラメイク スキル
「君は変わってるよ。まあ、僕としてはそんな個性の塊は大好きだけどね」
コピは呆れたような顔をして言ったが、口角が少しばかり上がっていた。
「さあ、これで最後だよ。好みのスキルを習得しようか。15ポイント与えたから使い切ってね。例によりアレだから」
ウインドウが大量に目の前に出てきた。いや、スキルは多いとは思ってたけど、これじゃあ逆に困るだろ、日が暮れちまうわ。
あと例によりアレって雑すぎ、分かるからいいけど。
軽く説明しておくと、スキルは大きく分けて2種類あり、アクティブスキルとパッシブスキルに分けられる。
アクティブスキルは任意で発動させるタイプで、パッシブスキルは常時発動しているスキルと思っていい。
特殊な状況下に常時発動するタイプや発動できるようになるアクティブスキルも存在する。
「あ、スキル多すぎるからカテゴリーから探したり、フィルターかけたり、直接検索した方が早いよ」
言われた通り、カテゴリーから探したり、検索したりしても結局は1時間はかかった。
俺が選んだスキルではないが、面白いスキルがあったので幾つか紹介しよう。
【死んだふり】 AS 必要SP:1 消費MP:100 CT:30分
死んだふりをして自分に向いたヘイトを0にする。さらに30分の間、ヘイト値の上昇率低下、全ステータス50%低下する。
【生きてるふり】 AS 必要SP:5 消費MP:全て CT:1時間
死亡時発動可能。7秒の間、HP1の状態で復活する。ただし、時間超過後は死亡する。
HPを時間内に100%にすれば回避可能。
【命枯れるまで】 AS 必要SP:15 消費MP:1 CT:1分
発動後、もう一度このスキルを発動するまで解除できない。発動中、MPの消費がHP消費に代わる。
HPを超えた消費をすると死亡する。
【愛想笑い】 PS 必要SP:1
うまく笑えない人に。愛想笑いができるようになる。
【あきんどスマイル】 PS 必要SP:10
NPCとの取引がうまくいきやすくなる。
さて、面白いとはいったがその実リスキーなスキルだ。自分のステータスにあまり入れたくないネーミングだ。【命枯れるまで】はかっこいいがその名の通り使いすぎると死ぬ。使いどころはMPがなくなりそうな魔法使いが苦肉の策として使う程度だろう。
あとはパッシブスキルだが、【あきんどスマイル】は生産職とかお世話になるかもしれない。もう一つ紹介したのが【愛想笑い】。それ以外にも表情シリーズがあってビックリしてる。
もうこれ取った人は人間関係うまくいってない人だと思う。ていうかゲームでさえ笑えない人が凄い。更に言えばこんな喜怒哀楽の表情にSP使うなんてどうかしてるぜ。
閑話休題。
俺が選んだスキルを紹介しようと思う。ステータスに沿った選び方してるから大体予想がつくと思う。
Name:エータ
Race:ヒューマン
Job:テイマー
HP:150/150(150/300)
MP:37/37(37/75)
STR:5(+0)+0(5)
VIT:5(+0)+0(5)
INT:5(+0)+0(5)
MND:5(+0)+0(5)
DEX:5(+0)+0(5)
AGI:5(+0)+0(5)
LUK:55(+50)+5(60)
AS:【付与:LUK Lv1】【ギャンブルアーマー LV1】【脱兎 Lv1】
PS:【幸運 Lv1】【弾き Lv1】【回避 Lv1】
【付与:LUK】 AS 必要SP:4 消費MP:10 CT:10秒
10分の間、対象にLUKの強化術を付与。効果値は術者のLUKに依存する。
【ギャンブルアーマー】 AS 必要SP:2 消費MP:10 CT:30秒
自分に一度だけ確率で受けるダメージ3倍か無効かの効果を与える。
【脱兎】 AS 必要SP:3 消費MP:5 CT:20秒
20秒間、最大HPが10%になるが、AGIが100加算される。
【幸運】 PS 必要SP:4
自分のLUKが1.1倍。
【弾き】 PS 必要SP:1
タイミングにより、攻撃を弾くことができる。
【回避】 PS 必要SP:1
タイミングにより、攻撃を回避することができる。
ASは運の底上げと、一か八かの保険、少なすぎる敏捷性を補うという構成とした。【脱兎】でHPが15になってしまうのでもし攻撃が当たれば死ぬ。
保険の【ギャンブルアーマー】により被ダメージ3倍か無効に。まあ、HPが低すぎるので等倍だろうが2倍だろうが当たれば死ぬことを考えたら破格のスキルだろう。
PSは【幸運】によりLUKに振れば振るほど有効になっていく。55に1.1倍は60.5なので小数点切り捨てということが分かった。
あとは俺の判断次第だが攻撃を逸らしたり、あるいは回避する確率が上がる構成とした。一撃でも加えられたらアウトだからだ。
というわけで、スキルは以上だ。確定を押して次に進める。
「ホントに後悔はしてない?作り直しできないからね?」
「ああ、俺はこれで行く。なんせラッキーマンだからな。」
リアルでもラッキーマンだからな。とは言わないが、構成だけ見ればホントにラッキーマンだ。偽りはない。
「ではアバターを確定させるよ。少し衝撃があるけど承知してね」
コピはそう言うと、俺そっくりのアバターを圧縮した。ああ…俺がぐしゃぐしゃに・・・はならなかった。かわりに光の玉になり、こちらめがけてものすごいスピードで向かってきた。
回避しようと思ったが、思った時点で俺の体に玉が吸い込まれたので、その衝撃で一瞬だけ呼吸ができなかった。
それ以外には俺に別状はなく、通常の俺かなっていうぐらいの感覚しかない。
「特に変わりないって思ってるでしょ?それはSTRとかAGIに振ってないせいだよ。いわば初期ステータスはリアルと一緒になってるぐらいの感覚だからね。まあ、ここではリアルがムキムキだろうがへにょへにょだろうがSTRが一緒なら同じだけの力になるから体格はあまり関係ないけどね」
俺はハッピーな感覚にならなくて良かったと思った。ある種やばいやつだと思われそうだ。
やっとキャラメイクおわりました。
これから現状が分かりやすいようにステータスをあとがきにて記入しておきます。
 




