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1.キャラメイク 職業

 VR世界にダイブすると、数秒視界が暗転する。


 意識が鮮明になる頃には、もう見慣れた自分の部屋でなくなっていた。無事にAAOの世界に入れたようだ。手や足の動作を確認するように動かしてみたが、問題ないようだ。


 そこは、どこかの森のようだ。周囲を見渡すと、草木が生い茂っていた。微風が吹き付けて、草を、葉を揺らしていた。


 上を見上げれば、太陽の光だろうか、葉と葉の間から光が見え隠れしている。ふと視界を地面に向けると、いつの間にいたのだろうか、一匹の猫がいた。見た目はシャム猫みたいに体は白く、顔周りは黒色だ。


 その猫はこちらを見上げ、見つめてきた。こちらも見つめ返す。10秒経った頃だろうか、猫が喋りかけてきた。


「なんか言ってくださいよ。話しかけてくれるの待ってたのに。話変わって、私案内役のコピです。」


「…なんかすまん、こういう時は大抵人型のナビが案内すると思ってたからつい」


  ファンタジーな世界だから驚きはしないが、いきなりファンタジー感出されると反応に困る。


「ファンタジーなんですからこれぐらい慣れていただかないとダメですよ。さて、ここはまだAAOの入り口です。キャラメイキングをして、君の分身…もといアバターをAAOの世界に投入しますので、ここはアバター作成場みたいなものと思ってください」


 まあ、現実の俺が行ったとして、魔法なんか使えないし、限界が知れているだろう。


 その点は、アバターに力を投入することで、現実離れした能力を発揮することができるというものだ。


 わかりやすく例えるなら、今の俺を魂として、アバターは器だな。作成したアバターに魂を同化させることで、俺の意思で動かせるようになるのだ。


「では、まず君の名前を決めてね」


 コピが言ったあと、俺の目の前に半透明のウインドウが飛び出てきた。決まっているので、すぐさま入力する。


「エータっと」


 重複チェックボタンがあるので押すと、他の人が同じ名前を使ってないことが分かる。結果に満足し、確定ボタンを押す。


「エータ君ね。次はアバターの容姿を決定してもらうよ。一応君の身体データをベースに君そっくりのアバターを用意したから、そこから手を加えてもいいし、もちろんそのままでもかまわないよ。ただ、あまりにもかけ離れた容姿だとうまく動作できない可能性もあるので程々にね」


 先ほどのウインドウと違い、今度は出てくる数が多い。頭からつまさきまで実に豊富な設定と髪や肌の色まで変えれるようだ。


「めんどいから髪の色だけ弄ろう…栗色でいいや」


 適当に髪を黒から栗色に変えて確定を押した。一応俺の身長は174cm、体重61kg、容姿は…フツメンだと思いたい。


「ホントにそれだけでいいのかい?」


「大丈夫」


 この猫、暗にもう少しイケメンにしたほうがいいんじゃないと言っているのだろうか?いや、俺の耳のフィルターが汚れているだけだろう。


「じゃあ、次はメインとなる職業を選んでもらうよ。これはあとで変更できないから気を付けて選んでね」


 メイン職業は自分のスタイルの主軸となるので、変更はできない。その他にサブ職業というものがあるが今はキャラメイキングに集中しよう。


 ずらっとウインドウが並べられる。戦士や魔法使い、プリーストなどメジャーなものから農家や腹話術士などメインにしてはダメそうなものまである。自由度が高すぎて困るな。

 

 しかし、俺はやりたいものが決まっているので、それを見つけて確定を押した。


「テイマーだね。最初のうちは中々大変だけど頑張ってね」


 俺が選んだ【テイマー】は、魔物を調教し、共に戦うことを得意とする職業だ。他に似たものでは【召喚士】がある。こちらは圧倒的に人気。対して【テイマー】は不人気だ。理由は金がかかるのと、魔物の管理が大変という点で、対して【召喚士】は召喚術による魔物の出し入れを行い、管理はMPで済むという点。


 加えて、【テイマー】の魔物は戦闘不能に陥った際、最悪消滅してしまう。対して【召喚士】の魔物は戦闘不能に陥っても、ソースの回復により一定時間は再度召喚ができないが、それを超えるとまた召喚できるようになる。


 やはりこれを聞くと、【召喚士】のほうが魅力的だ。しかし、俺は【テイマー】を選んだ。

 

 理由は不人気だからだ。結局のところ、召喚士ばかりになってしまうと、個性が薄まってしまうからだ。


 我ながら潔い選択だと思った。



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