9.問題発生とレベル上げ
仕事が忙しくて中々書けませんでした。朝7時に出社、夜7時に退社の毎日です。ああ、エータが羨ましい限りです。
少し更新頻度が落ちてしまうと思いますが、首を長くしていただけると幸いです。
あと1話が短いと指摘を受けました。自分的には他の方の作品も読んでほしいのと、単純に提供が遅れてしまうと思い、2000~3000ぐらいでやってましたが、もう少し長くしてみようと思います。
再びハーストン南部へと足を運んだエータは、レベルアップすべく魔物を探している。今まで攻撃手段がナイフでの斬りつけで、ダメージ的にはレベル1のスライムに2%ほどしか与えられていなかったが、新たに称号<回避を極めた者>による付与スキル<回避チャージ>によって、回避するごとに初回ダメージが蓄積していく優秀スキルを手に入れた。
しかし、回避を前提としているので、後手に回る点が強く、魔物が初見では回避は厳しいものとなりそうだ。常に敵の動きを察知し、どのように動き、そして自分もどのように動けば回避できるのか、そこに重点を置くような形になる。
その点は南口の魔物に何度もゾンビのようなレベルで死んではまた回避を繰り返したエータは、ほとんどの動きを熟知し、<回避>スキルのレベルアップにより、かなり楽に回避できるようになっている。
まだ夜型の魔物とは一度も遭遇したことはないが、朝・昼型の魔物となら余程のことがない限りは攻撃が当たることはないだろう。
周囲には俺と同じく魔物を探すプレイヤー、魔物と戦っているプレイヤーがちらほらいるが、俺みたいに時間をかけて倒しているプレイヤーは誰一人として見ていない。
その殆どが、スライムやホーンラビットを数発で葬っている。普通はこれこそが一般的で、大苦戦している俺は異端だ。経験値を得るスピードもうん十倍で、南口にうまみを感じなくなるスピードも同じ速度である。
暫くレベルを上げたら、次なる場所へ移動するのも早く、南の人口は思ったより少ない。旨みのないここ周辺に延々といるのは俺ぐらいなもんだろう。
さて、他プレイヤーより自分のことをしなきゃな。まずはテイムができるようになったので、テイムと言いたいところだが、まずは称号で得たスキルがどんなもんなのかの検証からやろうと思う。
目視できる位置にホーンラビットがいたので、さっそく戦ってみよう。武器を取り出し、ホーンラビットに近づく。ちなみにこいつの特性は頭部に一本の角が生えており、突進して刺してくる。ウサギなので、ピョンピョンしながら隙を伺い、隙ができたところを一刺しといった所だ。俺の戦績は0勝12敗だ。ここでリベンジといきたい。
【ホーンラビット Lv2】 テイム可能
【HP】120
【MP】15
足音に気づいたのか、耳をピョコピョコと動かし、警戒するホーンラビット。武器を構え、回避体勢をとる俺。目が合う。どちらもにらみ合ったまま動かない。
先に動いたのは――――ホーンラビットだ。やつは左右にピョンピョンしてきた。ジグザグに動いて動きを複雑に見せようとするが、動きの仕掛けとしては、これは隙をつくろうとしているだけだ。ならば、こちらから隙を見せればどうなるか?ヤツは突進して得意の得物で一突きしてくるのだ。
これは回避のスキルレベル上げで培ったホーンラビットの攻撃手段を完全に把握した結果であり、回避だけであるならば、簡単に躱すことができる。
ヤツはわざと隙を見せる度、愚直なまでに突進を繰り返す。それを回避し続けていく俺。最序盤だからか、学習能力がないだけかもしれない。
回避するたび、全身に力が溜まってくる感覚はするが、外見上はとくに変化はなく、実際のステータスも上がったわけではない。これがチャージしている感覚なのだろう。
回避すること20回。計算上は200ダメージがチャージされているはずだ。ホーンラビットのHPは120なので、一撃で倒せるはずだ。
もはや作業に等しい回避行動を一転、攻撃へと切り替える。突進した直後の隙だらけのホーンラビットの背中にナイフを振り下ろす。
キィ…という鳴き声を発し、倒れるホーンラビット。数秒後には光の粒子へと変わっていった。どうやら一撃で倒せたようだ。初めての魔物討伐にようやくかと、達成感がこみ上げる。
しかし、まだここは序盤も序盤だ。狩場が変わればそれだけ敵も変わるし行動パターンだって違う。もっともっと強くなるには、ひたすらにトライ&エラーと経験の積み重ねをしていかなければならない。
そのためには手元にあるスキルをうまく使っていくしかない。偶然得た称号に強力なスキルがあったことで突破口が開けた。この他にもあると思うので、積極的に称号はとっておきたい。
しかし、俺が得た称号に取得条件すら表記されていなかったので、狙って得ることができるものは少ないだろう。仮に情報提供しようとしても、条件が不明なため、その時の状況を説明するしかない。
まあ、一切漏らす気はないけどね。そんなことしたら面白味が1つ無くなってしまう。取り扱い説明書ならいいけど、いきなり攻略本見て取るぐらいには面白くない。自分で見つけて取ることもゲームの醍醐味でもあるのだ。
さて、称号は一旦脇に置いて、敵も回避を続けて倒せるようになったし、とりあえずレベルを上げよう。
出来ればレベルの高い魔物を倒せれば経験値の入りもよく、レベルアップも早くなるのだが、リポップの際はランダムの為、狙って高レベルと遭遇はできない。なので目についた魔物をバッタバッタと斬り伏せてとは行かないが、回避をこなした後、一撃の下に倒していった。
魔物を倒すこと7回、遂に初のレベルアップが訪れた。レベルアップを告げるインフォがウインドウで出て、アナウンスも脳内に直接喋ってくる。
《レベルアップしました。ステータスポイントを5ポイント、スキルポイントを1ポイント獲得しました》
早速ステータスを確認、と行きたいところだが、いつ魔物が出るか分からないところで呑気にするほどバカではない。ひとまず街道の近くの並木で一息つくとしよう。
<脱兎>を使い、魔物に気を付けながら街道を目指すこと数分、並木まで到着した。周囲を見渡し、魔物がいないことを確かめた後、背を木に預け、腰を下ろした。
ステータスウインドウを開き、ステータスに変化が無いか確かめる。
あ、<回避>のレベルが上がってる。HPは10、MPは5上がってるけど、俺のHPMPは半分なので今はHPが155、MPは40となった。
HPはもはや無いようなものとして思っているが、MPはうれしい。ただでさえ低いMPなので、スキルの使用回数が増えるのは大変有難いことだった。
他は特に変化は無く、パラメータはポイントで振らない限りは上がらないようだ。スキルもレベルアップでは上がることはなく、回数をこなしていく上で上がる物だろう。
とりあえず、ステータスポイントは迷うことなくLUKに全て振り、スキルポイントは温存しておくことにした。レベルが上がりやすい今でポイントを使ってると、何かの拍子に高ポイントを要求するスキルが出たときに足りない、なんてことがあるし、現状はとりあえず何とかやっていけそうなので、行き詰ったら使おうと思う。
ステータスの確認と設定も済んだし、次はテイマーの十八番である、テイムをして、クエストを完了させようと思う。
現状ではテイムは一体しかできないので、テイムする魔物は適当にはできない。そこで何をテイムするかを考えた。
・ゴブリン…装備を扱えるが、あまり知能はないのか、単調な動きになっていることが多い。
・ラビットホーン…動きは速いが、攻撃に転じた際の突進は隙が多い。
・スライム…動きは遅いが、物理攻撃はある程度防ぎ、酸を飛ばしスリップダメージも発生する。
南周辺の魔物は特徴としてはゴブリンかスライムだが…。他の方角ではどんな魔物が出るのか調べたが、西方面にウルフ・スパイダー・ウェストシープ、東方面にコボルト・モンクモンキー・イーグル、北方面にオーク・プチリザード・ファイティングブルのようだ。夜はバットやウルフ、コボルトなどの夜行性の魔物は群れとなっていることが多いらしい。
有名どころでいえばウルフがよさそうだが、西方面のレベルは5~10と今の俺にはきついな。ちなみに東は11~16、北は17~22のレベルになっている。レベル差があるほど与えるダメージが減り、受けるダメージが増える。経験値も差があるほど減っていくし、ドロップ率も悪いため、素直に適正の魔物を倒していた方が良い。
<回避チャージ>があればやれないことはないが、与えるダメージが減るし、レベルも高く、HPも高いことから、何回回避すればいいのか分からないな。回避練習にファイテイングブルを相手にしてみてもよさそうだ。名前からして闘牛だろうし、案外避けれそうだ。
そんなことより、テイムだ。結局南が無難ということになった。まだ未見の他方面はレベル高いしどんな攻撃するかも分からない。時間的にもより時間がかかるので、ミスして死んでしまう可能性も上がると踏んだ。
そして、テイムは迷った末、スライムに決定した。理由は酸攻撃と物理攻撃の軽減があるという点だ。ゴブリンに装備持たせて支援してもらおうとも考えたが、金がかかるし、見た目がちょっといやだった。
暫くは一匹のテイムしかできないし、必然的に旅の相棒となるだろう。やっぱりこういう迷いは楽しい。色々と考え、試行錯誤をしていくのもゲームの醍醐味の一つだろう。
テイムするモンスターが決まったので、立ち上がり、再び街道を離れてスライムを探した。数分で見つけたスライムはレベル3だった。
俺はテイムを発動させるため、スライムに近づいた。相変わらず動きが遅いが、こちらに気づき振り返ってきた。俺はすかさずテイムを発動させた。
「<テイム>」
一瞬魔法陣ぽいものが手から出たが、すぐに霧散した。おかしい、やり方を間違えてるのか?もう一度やってみた。
「<テイム>!」
ちょっと力んでみたが、同じような結果となった。なんで発動しないんだ――――
焦っていたのが悪かったか、スライムの行動に対しての対応が遅れてしまった。スライムに視線を戻したと思ったら、液状のものが飛んできていた。酸攻撃だった。
酸は俺に直撃し、僅かばかりのHPは…残らず、全損した。あれ、初めて食らったときは残ったのに…。
と思ったが、そういえば俺、前に<ギャンブルアーマー>を使ってたんだった。食らうまで効果は残るため、すっかり忘れていた。
LUKが仕事してくれないよ…。嘆きながら俺は光の粒子となった。
テイムできると思ったら発動ができませんでした。
【名前】エータ Lv2
【種族】ヒューマン
【職業】テイマー Lv1
【所持金】26450DIL
【所有スキルポイント】1
【所有ステータスポイント】0
【HP】155/155(155/310)
【MP】40/40(40/80)
【STR】5(+0)+0(5)
【VIT】5(+0)+0(5)
【INT】5(+0)+0(5)
【MND】5(+0)+0(5)
【DEX】5(+0)+0(5)
【AGI】5(+0)+0(5)
【LUK】60(+55)+6(66)
【ジョブスキル】<テイム Lv1>
【アクションスキル】<付与:LUK Lv1><ギャンブルアーマー LV3><脱兎 Lv5>
【パッシブスキル:適用3/10】<幸運 Lv1><弾き Lv4><回避 Lv6>
【パッシブスキル:控え0/99】
【称号:適用2/3】<回避を極めし者><死を恐れぬ者>
【称号:控え0/99】
【称号スキル】<回避チャージ Lv10><ペナルティカット Lv10>
【装備】
メインウエポン:なし
サブウエポン:冒険者のナイフ
頭:なし
体:冒険者の服
手:冒険者の指貫グローブ
足:冒険者の靴
装飾:なし




