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12文字+季語

「そもそもアイカはこの俳句で何を言いたかったんだ?」

「それは『新しい年になっておめでたいねぇ』ってことなんやけど……」

「おめでたいからって『おめでとう』っていっても、はいそうですねとしかならないんだよ」

「だったらどうしたらええの?」


「そうだな……アイカは身の周りでなにかおめでたい事あったか?」

「うんあったよ!従姉いとこのお姉ちゃんが30目前で見事ゴールインしたんやて!」

「そ、それはおめでとう。じゃあそのことを12文字で言い換えてみて」

「12文字?ほやなぁ……」


二十九にじゅうくでゴールインだよ


「これで12文字やら!」

「……おまえその『だよ』っての好きだな」

「かわいいやら?」

「俳句はそんなかわいさ求めてねえんだよ!」

「じゃあ…………」


・二十九で従姉は嫁に


「こ、これでどうやの?」

「お、ずっとよくなったじゃん。従姉っていう情報まで付け加えられてるし」

「わたしすごない!?ねえ、すごない?」

「はいはい、すごいすごい(なでなで)」

「うぇへへへへ」


「ほれでこのあとはどうしたらええの?ここに季語入れなあかんのやら?」

「あとはアイカが言った『おめでたい』って気持ちにふさわしい季語を入れれば良いんだよ」

「え?じゃあこの『歳時記』読まなかんの?わたし辞書とか見ると目が回ってまうんやけど……」

「じゃあスマホで『新年 季語』で検索してみな」


「うわぁ、季語っていろいろあるんやねぇ。数の子に伊勢エビ、大福なんてのまであるよ!」

「食べ物ばっかり探してないで、その中から従姉のお姉さんを祝福するにふさわしい季語を選んでみなよ」

「祝福しゅくふく……あ、これ!でも……だめやよね……」

「なにか見つけたなら教えて」

「この『福笑い』ってやつなんやけど……」

「どうしてそれにしようと思ったの?」

「わたし小さい頃に、よぉ従姉のお姉ちゃんと福笑いして笑っとったもんで。でもそんなんだめやらぁ?」


・二十九で従姉は嫁に福笑い


「たしかにこれだと二十九歳の従姉が、嫁いできた子に福笑いをさせるシュールな光景になるな」

「やらぁ?ほんなんダメやってわたしでもわかるて」

「でもな、こうして少しだけ変えてやれば——」

「ええ!?これがほんとにわたしの俳句やの!?」

次回、アイカの俳句完成す!

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