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ふたつの季節

・妹を月下に想う冬ぬくし


「この句のどこにミスがあるって言うや!?」

「アイカ、この詩の季節はいつ?」

「ほんなもん冬に決まっとるやら!『白夜』が夏やって言うからわざわざ冬の季語選んだんやよ?」

「ところがこの句にはもうひとつ『月下』って秋の季語が入ってるんだよな」

「『月下』が秋?そんなわけないやら。月は年がら年中みえとるんやし」

「じゃあお月見をするのはいつ?」

「えっと、月見だんごを食べるのは秋やもんで……え!?ひょっとして『月』自体が秋の季語やたっりする?」

「その通り。だからこの詩は秋と冬のふたつの季節を詠んだどっち付かずなものになっているんだ!こんなふうにひとつの句の中に季語をいくつも詠んでしまう事を季重きがさなりと言って、俳句の世界ではタブーとされているんだ!」


「でもほんなんやったら秋以外の季節で月に感動しても俳句にできんのやない?」

「そこは『春の月』『夏の月』『冬の月』と前に季節をつけてやれば問題ない」

「そんな大雑把でええの!?」

「細かく言うなら『春月夜』『月涼し(夏)』『月氷る(冬)』なんて季語もあるが、基本的に月が出たら秋だと思ってかまわない」


「ほぉしたら下五の『冬ぬくし』の代わりに『冬の月』を入れて……『月下』の代わりになる言葉を入れれば……でけた!


・妹を光に想う冬の月


「ドヤッ」

「ボツゥ!」

「なんでぇ!?」

「月が出てるんだから光と書くのは無駄だとか、月に妹を重ねれば想うのは当然だとかいろいろ言いたい事はあるけども——」

(妹を想うのが当然やって!?)

「このままだとお前の思い描いてた妹との明るい思い出なんてこれっぽっちも感じられないものになるぞ」

「どぉしてぇ?『光』って言っとるんやでそこから『明るい思い出』を読み取ってもらわな困るわぁ(笑)」

「(ビキビキ)おまえちょっと外で月でも見てこい!」バタン

「ちょ、ユート!!何をほんなに怒っとるの?こんな寒空に乙女をひとり放り出したら怖い人んたぁに攫われてまうよぉ?未来の嫁がキズものになってまうよぉ〜?」

次回、アイカはユートに見放されてしまったのか!?そしてユートは妹萌えなのか!?


「ほんなわけなぁやら!」「そ、そんなわけねーだろ……」

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