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8話

　井波が帰った。アイツは何かを絶対に隠している。そして、それを誰にも話していないと思う。俺もそうだから、よくわかる。だからどうしようってわけではないが、あまり抱え込まないでほしい。どんなに大きな奴でも抱え込みすぎたらいつかは壊れる・・・。俺は、今は「タウンインフォ」で紹介された街を紹介するという趣味があって、それに大分支えられている。というか、俺がその趣味に縋っている。でも、井波には縋れるものがないはずだ。さっき感じた恐怖はここからきていたのか、俺はそう悟った。井波が自分の前から消えてしまうんじゃないか、そう思ってしまった。いつの間にか自分の中で井波の存在が大きくなっていることに気が付いた。

「俺は、もしかしたら井波に縋っていたのかもしれないな・・・」

その呟きは誰にも届くことなく散った。