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7話
窓からは差し込んでいたはずの光が差し込まなくなっていた。電気を点けているのに、ものすごく暗かった。
時計を見るともう8時30分を過ぎていた。井波の家族が心配するだろうと思って俺は井波に帰るように促した。
「井波、もうそろそろ帰ったらどうだ?」
「・・・っあ、うん。帰るわ。うん、今日はありがと」
考え事、か。さっきあんなことがあったばっかだし・・・。
「気をつけて帰れよ」
「大丈夫だよ。俺、男だから」
そう言って、井波は玄関を出た。なぜか俺は怖くなって
「井波!家に着いたらメールして」
そんなことを言っていた。
「わかったよ。ホント心配性だなぁ、真冬ちゃんは。じゃあね」
そう言いながら井波は俺に片手を挙げた。
「おう」
俺も片手を挙げた。