4話
「今日の晩御飯は何にしようか」そんなことを考えながら、冷蔵庫を開けると「ピンポーン」インターホンがなった。良いタイミングで来やがって、と心の中で悪態をつきながらも
「はいはーい。今、行きます。」
とわざとらしいほど明るい声で言った。玄関を開けると
「真冬ちゃーん。会いたかったよ」
そこには、満面の笑みで立っている井波がいた。
「フフッ、真冬ちゃん動揺してるでしょ。癖出てるぜ。動揺すると、前髪触る癖。何でお前が俺の家知ってんだって顔だな」
さすが俺の自称親友。俺の癖まで知っているとは・・・。恐れ多いな。
「で、なんでお前が俺の家知ってんの?」
「よくぞ聞いてくれました、真冬君。私、井波唯人、本日あなたを尾行していました!」
「尾行って、お前は俺のストーカーか!そんなこと堂々と言うな!」
「素晴らしいつっこみをありがとう。」
「んなことは、どうでもいいんだよ。なんで、お前は俺を尾行したんだよ。理由を答えろ。理由を」
井波は目を丸くした、と思ったら急に笑い出した。
「アッハハハ。そんなの聞くまでもないだろ、ブラザー。一緒にテスト勉強をするためさ」
「・・・は?」
俺は、記憶をたどった。テスト?てすと?tesuto?
「あああああああ。思い出した。今日、学校が早く終わったのは、テスト週間が始まったから、か」
「そんなことも忘れてたの?だから、一緒に勉強しようと思ってさ」
ここで断るのは俺の性格上無理だからなぁ。
「いいよ。一緒に勉強しよう」
「え、いいの?」
「何で、そんなこと聞くんだよ。お前が誘ったんだろ?」
「え、だって嫌そうな顔してたし・・・。ふーん、そういうことね」
「は?」
「早く家に入れて。」
「図々しいな」
完璧に井波のペースに乗せられてる。こいつは、鋭いところがあるから気を付けないと…。
俺の趣味のことは絶対にばれちゃいけない。