表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/22

1話

 キーンコーンカーンコーン、予鈴がなった。

「じゃあ、ホームルームを始めるぞ」

担任である、満田が入ってきて言った。

「相川真冬」

「はい」

俺は返事をした。「真冬」という名前のせいでいつも女に間違われるが、俺は男だ。小学校の時から、名前を原因にいじめられていた。そのおかげで今は、演技をするのが得意になった。どんなに嫌なことを言われても「やめろよ」と笑顔で言っておく。そしたら、誰も俺のことをいじめなくなった。世の中は笑顔をどれだけ振りまくかで自分の身の安否が決まると、俺はひそかに思っている。素の自分なんてだしたら、世の中の餌になって終わりだ。なんだかんだ言っているが、今や俺はこのクラスの人気者だ。自分で言うのもなんだけどな。けど、たまに、ごくたまに、自分を見失う時がある。そんな時、俺を支えてくれたのが、「タウン・インフォ」だ。俺の将来の夢が「いろいろな街を旅すること」っていうのだって、本当の俺を探したいからだ。誰にも言えないけどな。

「今日は、授業がないから、帰っていいぞ」

先生の声が教室中に響く。

「真冬ちゃん、一緒に帰ろうぜ」

そう言って俺に話しかけてきたうるさい奴は、俺の自称親友の井波。席が前後で気が付いたら、仲良くなっていた。

「真冬ちゃんって呼ぶなって言ってるだろ」

俺は満面の笑みで答えられたはずだ。

「いいじゃん。可愛いんだし。な、一緒に帰ろうぜ」

「ごめん。今日は、用事があって」

丁重にお断りさせていただいた。今日は、予定はないが、準備があるからな。土曜日の恒例行事に向けて。

「ええー。あいかわらず、冷たいな、真冬ちゃんは」

そういう井波の声を後ろに俺は、教室を飛び出した。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ