9
菓子折りを持った秘密結社・ガオンダを率いている
リーダーらしき男は
「あの…… これ、本部から送られてきたのですが……
もし、宜しければ……」
と言い、自分らと今、戦っているのが雅とは知らずに
持ってきた菓子折りを雅に差し出した。
「あ、はい…… ありがとうございます!」
雅はどうして良いのか、わからなかったが とりあえず、
お隣さんとして、差し出された菓子折りを受け取った。
菓子折りを受け取り、部屋の中に戻った雅は手にした
菓子折りを見詰めながら
『これ、どうしよう?……』
と後悔した。
雅が秘密結社・ガオンダを率いているリーダーらしき男から
もらった菓子折りを手にどうしようか、迷っていると
いつものようにバイトが終わり、帰ってきた絵里の足音が
外から聞こえてきた。
「そうだ!」
雅は慌てて、外に出ると今、まさに自分の部屋に入ろうとしている
絵里に
「あの……」
絵里に話しかけた。
雅が絵里に秘密結社・ガオンダを率いているリーダーらしき男から
貰った菓子折りを
「もらい物のお菓子だけどいらない?……」
と絵里に言うと絵里は喜び、
「もしよかったら、私の部屋でお茶でも?」
と言い、雅を自分の部屋の中へと招きいれた。
初めて女の子の部屋に入る雅がドキドキしながら、
絵里の家に入るとイメージ通りのピンクを基調とした
可愛らしい部屋だった。
絵里は備え付けられている小さなキッチンに立つと
部屋の中央で立ち尽くしている雅に
「今、お茶を入れるからそこいらに座っていて!……」
と声をかけ、お湯を沸かし始めた。
数分後、沸いたお湯で珈琲を入れた絵里は
部屋の隅のように申し訳なさそうに座っている
雅の前に雅から貰ったお菓子と共に差し出した。
「あ、ありがとうございます!」
雅は絵里にそう言うと絵里が差し出した珈琲と
お菓子を頂きながら、絵里とたわいもない話をした。
絵里との楽しい話の時間は瞬く間に過ぎ、気がつくと
夕食の時間になっていた。
「いけない…… もうそろそろ、帰らないと……」
雅がそう言い、自分の部屋に戻ろうとすると絵里は
自分の部屋にある時計を見ながら
「そう…… もし良かったら、夕食を食べていったら?……
お菓子のお礼に私が何か、作るわよ!」
と雅に言った。




