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絵里は自分がいる、通路の一番奥の部屋を
指差しながら
「えっと…… あの部屋、私の住んでいる部屋なの……」
と雅に言った。
『え?……』
雅が驚いていると雅の住んでいる部屋から
あの怪しげな秘密結社・ガオンダを率いている
リーダーらしき男が雅と絵里の前に現れ、
「ああぁ…… は、始めまして……
この部屋に引っ越してきた。 無道【むどう】と言います!
他にもむさ苦しい連中らが迷惑をかけるかもしれませんが……」
と言い、絵里に雅にしたような引越しの挨拶を丁寧にした。
絵里も目の前の男が怪しげな秘密結社とは思っておらず、
丁寧な挨拶をし、自分の部屋へと帰っていった。
しょうがなく、雅は怪しげな秘密結社・ガオンダと
戦うはめになったが仕事中だろうがなんだろうが
秘密結社・ガオンダが現れると雅は呼び出しを受け、
仕事などが手がつかなくなった。
いつものように雅は呼び出しを受け、ヒーローショーの
ヒーローのような格好に変身し、秘密結社・ガオンダを
追い払った後、雅にチャンピョンベルトのようなモノを
くれた背広を着た少年に
「なぁ…… 奴らはちゃんと、退治するけど……
こう度々、呼び出されると俺は会社をクビになるんだけど……
パートタイムじゃダメか?……」
と言った。
「はぁ? パートタイム?……」
突然の雅の発言に背広を着た少年は驚いた顔をし、
雅のことを見詰めた。
「パート?……」
背広を着た少年は困った顔をし、雅の顔を見詰めていたが
自分で判断が出来なかったのか、急に雅に背を向け、
何処かへと連絡を取った。
「はい…… はい……」
背広を着た少年はそう言って、あいづちをうち、
連絡を終えると再び、雅の方に向くと
「まあ良いでしょう! ……で、どの時間帯にするのですか?」
と雅に訊いた。
意外な背広を着た少年の答えに雅は驚きながらも
「じゃあ…… 夜で……」
と背広を着た少年に夜の時間帯で秘密結社・ガオンダと
戦う事を告げた。
仕事が終わり、雅は正義の味方のヒーローとして
ヒーローショーのヒーローのような格好で
秘密結社・ガオンダと戦う日々が始まった。
初めは戦いに慣れずに秘密結社・ガオンダに負けて、
ボロボロになっていた雅だったが戦いを重ねていくうちに
戦いに慣れ、秘密結社・ガオンダと互角に戦えるようになった。
そんなある日。
雅が疲れた躯を引きずりながら、自分の住んでいる
アパートの自分の部屋に戻って、ベットで束の間の休息を取ろうとすると
ピンポーン……
雅の睡眠を妨げる、玄関のチャイムの音。
雅はとても面倒臭かったが
「はーい……」
ベットから起き上がり、玄関のドアを開けると
そこには秘密結社・ガオンダを率いるリーダーらしき男が
菓子折りを手に立っていた。




