6
ファーストフード店の店員の格好をしている絵里は
自分の目の前で驚いた顔をしている雅の顔を首を傾げ、
不思議そうに見詰めていたが
「ご注文は何に致しますか?」
と言うとメニューが書かれたモノを雅の前に差し出した。
「え~っと…… じゃあ。これを……」
雅は絵里が差し出したメニューを一通り、目を通すと
メニューに書かれていたハンバーガーセットを指差した。
絵里は雅が指差したハンバーガーセットを確認すると
「ハンバーガーセットですね! 店内でお召し上がりですか?
それともお持ち帰りですか?……」
雅にそう聴いた。
「えっと…… 店内で……」
雅は慌てて、絵里にそう答えた。
だが、注文した品物が出来る間、雅の心臓は
バクバクで止まりそうだった。
雅は出来上がった品物を受け取るとカウンターレジーにいる
店員姿の絵里が見える席に座ると自分が注文した
ハンバーガーセットを食べ始めた。
だが、雅は働く絵里のことが気になり、
食事があまり喉を通らず、働く絵里の事をチラ見した。
雅が食事を終え、店を出ようとしたその時……
突然、店の自動ドアが開き、一人の若い男性が入ってきた。
雅はその若い男性に見覚えがあった。
その若い男性は秘密結社・ガオンダの者だった。
その若い男性は絵里がいるカウンターレジーの前に立つと
「ハンバーガーセットを20セット!」
と店員の絵里に注文した。
ファーストフード店の店員の絵里は突然、目の前に現れた
自分とあまり変わらない秘密結社・ガオンダの一員の若い男性が
ハンバーガーセットと20セットも注文した事に
『えっ?……』
と驚きながらも、奥にいる他の店員らと共に若い男性が注文した
ハンバーガーセットを作り始めた。
待つ間、暇だった秘密結社・ガオンダの一員の若い男性は
店内を見廻しているとちょうど、店内から出ようとする雅を目が合った。
若い男性は一度、雅と会った事がある事を思い出し、
慌てて、挙動不審のように雅から目を逸らした。
チラ見する若い男性に雅は怖い顔で睨みつけ続けた。
その秘密結社・ガオンダの一員の若い男性は
ハンバーガーセットが出来上がると料金を支払うと
店員の絵里からそのハンバーガーセットを受け取り、
逃げるようにその店から立ち去った。
『に、逃がすかよ!』
雅は今、自分が変身できないのも忘れ、
絵里が働くファーストフード店から逃げるように立ち去った
秘密結社・ガオンダの一員の若い男性の後を追い掛けた。
すると、その若い男性はある建物の中へと入っていった。
その建物は雅が住んでいる古びたアパートの一室だった。
おまけにその若い男性が入った一室は雅が住んでいるすぐ隣だった。




