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日本刀のような剣を持った、ヒーローショーの
ヒーローの格好をした男【ブラック】が雅らの
前から立ち去った後……
「す、すみませんでした……」
ヒーローショーのヒロインの格好をしている 女性【ピンク】は
ヒーローショーのヒーローのような格好をしている雅にそう謝った。
「いや…… 私こそ、ごめんなさい……
それより、何かありましたか?」
雅はその女性【ピンク】にそう訊いた。
「いいえ…… 今日は本当にすみませんでした」
その女性【ピンク】は雅にそう言うと逃げるように
雅の前から立ち去った。
雅はどうして良いのかわからず、その女性【ピンク】が
立ち去った後、その場にそのまま、立ち尽くした。
雅らの前にヒーローショーのヒーローの格好をし、
日本刀のような剣を持った男【ブラック】が現れて、
数日後が経ったある日……
雅が住んでいるボロアパートの空き室に近くの大学に通う
青年・緑川が絵里の隣に引っ越してきた。
雅は好青年でイケメンな緑川に絵里が取られそうで
少し不安だった。
案の定、緑川はすぐに絵里と親しくなり、
二人きりで食事を行くようになった。
『何でアイツと……』
雅のイライラが募り始めると同調するかのように
完全に忘れられていた秘密結社・ガオンダの
本部から送られてきたダチョウの卵のような
怪人の卵に変化が起こり始めた。
バリバリ……
という音と共に怪人の卵の殻にひびが入り、
その卵の中から怪人らしきモノの頭と手足が出てきた。
その卵の中から出てきた怪人は驚いた顔で
自分の事を見詰めている秘密結社・ガオンダの者らを
睨み付けるように見ながら
「てめぇら……」
と言うと秘密結社・ガオンダの者らは畏まったように
卵から現れた怪人を見ながら
「は、はい……」
返事をするとその卵から出てきた怪人は偉そうに
「腹減った! めし!」
秘密結社・ガオンダの者らにそう命令をした。
突然、怪人の卵から現れた、怪人が食べ物を要求してきたのに
秘密結社・ガオンダの者らは慌てて、その怪人の前に
あるだけの食料を並べた。
「いただきます!……」
その怪人はそう言うとむしゃぶりつくように
秘密結社・ガオンダの者らが用意した食料に喰らい付いた。
その怪人の食欲に秘密結社・ガオンダの者らが呆気に取られ、
暫く、見惚れていたが
「あの…… そろそろ、街に行き、暴れてもらえませんか?」
秘密結社・ガオンダの者らを率いている リーダーらしき男が
そう言うとその怪人は今まで食べていた手をぴたりと止めると
冷や汗をダラダラと流しながら
「後でなぁ…… 寝る!」
と言うと手に残っている食料を食べると
再び、殻の中に戻り、いびきをかきながら、眠ってしまった。




