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世界の終末は何処からともなく…  作者: エルスト・レイ
第一章 終わりの始まり
3/11

3話 ~本書~ 少女の想いと開いた扉

異世界は少しばかりいじわるなのかもしれない



~ダールドノース砦~〔ハルカside〕


ハルカ「ん…」


どうやら気絶してたみたい

痛い

体中が痛む…

頭も痛いしどうなってるの

手を地面を付けようとするとやわらかい

どうなってるのと思って下を向くと…


ハルカ「きゃあ」


人がいた

正確には人に乗っかっていた

えーと…落ち着いて状況整理

先生も言ってたじゃない何事も落ち着いて対応しろって

そう落ち着くの

深呼吸…


ハルカ「はーふー」


よし落ち着いた

えーとたしか私は気絶してて…変な男がほおを叩いて起こしてて

そいつにびっくりして、私は後ずさって…

いきなり体が軽くなった…ような…もしかして落ちた?

落ちた…?ええええ?

なんか急に体が軽くなったから落ちたってことだよね…うん

上を見るとそこには遺跡が見えた

大体30~40メートルぐらい?

多分あそこから落ちたみたい

よく生きてるな…と考えてたそこで


カイ「う…」


私が乗っかってた人がうめき声をあげた

あ、そうだったまず降りないと


ハルカ「ごめんさい!!」


私はすぐに降りて謝る…

・・

・・・

・・・・

・・・・・

・・・・・・

あれ?何も言ってこない

呆れられちゃった?

でもなにか反応くらいあってもいいよね


ハルカ「ちょっとなにかいいな…」


カイ「う…うう」


そう言いかけたところでまたこの人がうめく

そしてこの人をよく見ると…

あれ?

え?この人の胸元…服に血がついてる!


ハルカ「大丈夫!?ねぇ!」


もしかして落ちた私をかばって…まさか…でも…

じゃあ私のせい?

私のせいでこの人死んじゃうの!?

ま、まだ生きてるよね

呼吸はある。大丈夫、うん

取り敢えず傷を見ないといけないよね

傷を見るってことは服を脱がせないといけないからね

うん、私は別にいやらしい気持ちとか…あるわけじゃないもんね


ハルカ「よいしょ」


そうやって彼の服を上にあげると…

下から貫通しているのか胸のあたりからとがったものが見えた


ハルカ「え?うそ…どうしよ…」


簡単な治癒魔法は使えるけど、これは治せないかも…でも


ハルカ「やるしかないんだ」


そう自分に言い聞かせるように言う

まずはとがった岩から彼の体を抜く

ちょっと重いけどなんとかなる重さ

抜いたら抜いたで血が吹き出る

今まで岩で止まっていた血が出てきた

致死量の血が出る前に私は治癒魔法の詠唱を始める


ハルカ「癒しの風よ、今、傷つくものを癒せ《ヒール》」


少し傷がふさがる

けどまだ足りない

力を込める


ハルカ「ダメ…死んだら許さないんだから」


マナが尽きても…この人を助けたい

私のために誰かが死ぬなんてもう見たくないから


そうして治癒魔法を繰り返す

一応傷はふさがったけど…失った血まで戻りはしない…

魔法は万能じゃない、師匠の言葉だけど…

私をかばってくれた人一人救えないなんてそんなのって、


傷がふさがったらこれ以上魔法をかけても無駄…それはわかってるけど…

うう…マナが尽きてきてめまいが…

どうしたら…でもまだ…


マナが尽き、私はそこで意識を失った

どうしてこんなことになったんだろう、そう考えながら



~スターリア王国 王城~〔ハルカside〕



ハルカがカイと会う1月前



私の名前はハルカ・エリムイ・スターリア

スターリア王国の第三王女

お母様は二年前に事故で死んで…

どうしてももう一度会いたい

そして聞きたいことがある

だけどそれは叶わないそんなことわかってる

分かってるけど


ある日こんな噂を耳にした


「死んだ人をこの世界に召喚出来る魔法があるらしい」


それはありえない


「なんでもとある遺跡の魔法陣を使うだけでいいらしい」


その遺跡って?


「《ダールドノースの砦》」


推定1000年前の大戦で使用されていたとされる山に埋まる形で建てられた遺跡

隣国ダルカマイズンとスターリア王国の間のダールドノース山脈にある

幸い入口などはスターリア王国が管理してる


ありえない、けど調べていくうちに遺跡もある

その祭壇には今も魔法陣はあるらしい

過去の文献を調べると詠唱も分かった

必要となる物がほかにあるかなんてわからなかった

でも急がないといけない


母上が死んでから2年

王様、父上が政権を握りダルカマイズン帝国と戦争が始まり目に見えて国民は疲弊している

戦況も好ましいとは言えない

ダルカマイズン帝国は機械の発達により世界的な国家として成り立っている

この魔法の時代にしては異質なものだった

眠ることなく動き続けることが出来る帝国の機甲兵団

人であるために疲弊する王国兵士

長期化した戦争という観点からみればその劣勢は当然だった

それでも狂ったように攻撃を命令する父上

母上の事故は帝国が仕組んだものだなんて噂が流れたこともあるぐらいでそれを信じてしまっているのか父上は帝国との戦争に簡単にも踏み切ってしまった

多くの悲しみを生んだ戦争

スターリア王国はどうなるんだろう

戦う必要なんてないのに

母上さえいればこんなことには…

生きていてくれれば…ううん、せめて真実が分かれば…


だから私は誰にも秘密で一人でダールドノース砦に向かう

道は険しかった

国を出て半日隣の町へ辿り着く

その日はのこで宿をとって眠った

次の日また私は歩く

その道中は決して平穏じゃなかったけど

全部は国のため

そう思えば進んでこれた

たった一人だけど確実に近づいていく


そうして1月

ダールドノース山脈のダールドノース砦へと足を踏み入れた

そこはとても神秘的で

1000年前の建物とは思えないぐらい綺麗でいまはもう止まってしまっているけど…

入ってすぐのところに転移の魔法陣が描かれていた

その近くの台座に手を触れると…遺跡が起動した

起動した遺跡はまるで主が帰ってきたと歓喜しているように魔法陣が起動する

私は祭壇へと転送される


ハルカ「え?どういうこと」


ついそう呟く

だけどすぐに気を取り直す

目の前の祭壇

そこに書かれている魔法陣、これが召喚の魔法陣

これで母上と再開できるそう思ってた


ハルカ「《私が望むその人を今ここに、希望を、力をその姿、形となりてこの世界へ顕現せよ》」


精一杯の魔力をこめて叫ぶように言う

召喚の魔法を

世界の理を曲げ異次元への扉を開くために

リンクする世界、その先は死後の世界


ハルカ「《ワールドリンク》」


その瞬間、祭壇は眩い光に包まれた


光はとても温かいもので


とても懐かしくも感じて


だからかとても安心しちゃって


祭壇の前で私は意識を失った





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