2話 ~本書~ 異世界での少女との出会い
夢のような、そうでないような
『異世界(セイドリア)』
~???~〔カイside〕
あの魔法陣は転送の機能があるようで
それによって遺跡のような場所に転送されたようだ
しかしここはどこだ?
足元には似たような魔法陣がある
あたりを見渡してみたが見覚えなどあるはずもない
カイ「一体ここは…?」
そう呟きながらこの遺跡のような場所を調べようと体を動かす
すごく体がだるい
苦労してようやく立ち上がる
よく考えると俺が居る場所は遺跡の祭壇のようだ
老朽化した柱が目立つが足元の魔法陣は劣化など無く綺麗なものだ
光ってはいないけど
もう少しよく周りをみてみるとそこには誰かが倒れていた
俺はその人に近づく…
死んでないよな?
カイ「も、もしもし。大丈夫ですか?」
流石に怖い、知らない場所にきていきなり目の前に死体(仮)があるとは
どうしたもんかな…
少し待ってみたが反応がない
俺は意を決めて近づいてその手を触ってみた
カイ「あたたかい…生きてる」
自分に言い聞かせるように言ってしまったが、まぁいい
大丈夫この人は生きてる
触った感じ相当体は細く18以下の女の子みたいな感じがする
これで男なら相当…まぁいい
軽く声をかけながらその人を揺すってみる
カイ「おーい」
うつぶせに倒れたまま揺するのも流石にどうかと考えてきたところだったからひっくり返すために体を掴む
決していやらしい目的なわけじゃないからな
健全だ
少し顔が気になってたけど…それはそれだ
カイ「よいせっと…え?」
ひっくり返して軽く驚いてしまったがまぁ仕方がない
すごく懐かしい…人が目の前に居るが…そんなわけがない。
けど…もしかしたら…
もし彼女は死んでいないで今になればこれぐらいの年齢か
けど…いやでも
悩んでても仕方がない
名前を呼べば分かる…
けどどうしてか俺はその名前を呼ぶのをためらっていた
カイ「ああああああああ!!面倒だ!起きろ」
そう言って俺は目の前の少女の顔をかるくはたく
カイ「おい、起きろって」
体をゆすりながら顔をはたく
はたく
はたく
はたく
はたく
???「痛い!」
はたく
はたく
はたく
???「やめて!痛いって!」
はた…おお?やっと起きた
カイ「おお、起きた」
???「あんた何よ!寝てる少女を抑えつけて顔を叩くなんてサイテー」
いきなり人の顔を見るなりすごい睨みつけながらそんなことを言われた
ただ起こそうとしただけなのに酷い言いがかりだ
カイ「は?俺はただお前を起こそうとだな」
???「そうやって…やましい気持ちになってたんでしょ?」
やましい気持ち?お前なんか見てなるか
見た目があいつと似てるだけの変な奴め
カイ「なるかよ」
???「なってた」
なんでだかすごい懐かしい感じがする
カイ「ははっ」
だからつい笑ってしまった
???「なんで笑うわけ?」
カイ「ごめん、ごめん。俺はカイ。君は?」
謝るついでに名前を告げる
そのついでに名前を聞いておく
ハルカ「私はハルカ…あ、なんで名乗っちゃうの!私の馬鹿」
よくわからないけどハルカはすごい自己嫌悪になってるみたいだ
頭を抱えてわしゃわしゃしてる
だけどまぁ俺も聞きたいことがあって起こしたわけで
カイ「なぁ、ここどこだ?」
と聞く
そしてハルカの顔を見る
たたきすぎて腫れてないか…大丈夫だな
少し赤くなってるが…ほっとけば治るだろ
とか考えながら見つめてると…顔がますます赤くなる
カイ「大丈夫か?はたきすぎたか?」
ちょっと心配になってそう聞く
ハルカはうつむいて…
ハルカ「ばか」
そう言って俺の顔を…殴った
カイ「いってぇ!何すんだ」
ハルカ「何するの?それはこっちのセリフよ」
カイ「はぁ?いきなり殴られる方が意味が分からないが」
ハルカ「いきなり顔近付けてきて…なにするつもりよ!」
そう言いながらハルカは体を抱えながら奥に行く
カイ「いやちょっとはたきすぎて腫れてないか心配で」
ハルカ「腫れてないわよ!」
と言いながらどんどん下がる
俺はそれを追いかける
顔を見ると真っ赤になってる
カイ「でも顔、赤いし。大丈夫か?」
ハルカ「大丈夫!大丈夫だからそれ以上近づかないで」
と言いながらハルカは下がる…
俺は前に進む
ハルカが下がる
俺が進む
ハルカが下がる
進む
下がる
進む
下がる
進む
下がる
進む
下がる
ハルカの後ろに崖が見える
どうやら遺跡の一部が崩れているようだ
カイ「後ろあぶないぞ」
そう言って俺はその場に止まる
ハルカ「そういう手?乗らないんだから」
そういってハルカはますます下がる速度を上げる
カイ「あぶないっていってるだろ!止まれ!」
下がり過ぎて崖に気付かないハルカにそう叫んで俺は走り出す
それを見て驚いたのかハルカが俺の視界から消える
ハルカ「え?」
聞こえたのはそれだけ
俺は走る速度を上げてそのままハルカを追い俺は崖に飛び込む
カイ「馬鹿か、くそ」
そう呟きながら
落ちていくハルカを抱きかかえ…そのまま崖の下に落ちて行った