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第5話 付き合い始めたんじゃないのか?

危ない危ない

更新を忘れるところでした


GWで気が緩み過ぎているようです

「では、これで今日の会議は終了です。お疲れ様でした」


冬菜に本を勧めてから数日経った放課後、体育祭実行委員会の会議を終えて竜輝は宿題を提出して自分の仕事は終わったと安堵していた。

彼の意見は普通の二人三脚があるからと却下され、他の1年生が考えてきた変則的なリレーが採用された。自分の案が採用されたら面倒だったろうし丁度良いと思っていた。しかしそのリレーも備品や安全面での検討が職員たちに認められなければ採用はされないのだ。


竜輝にとって本当に面倒なのは冬菜と本を買いに行った後に起こっていた。

冬菜に頼まれて本屋に行った翌日、竜輝の教室は冬菜と竜輝のデートという話で賑わっていた。

引っ切り無しに質問攻めにしてくるクラスメイトに同じ台詞を言い続けることに疲れたのだ。


そしてその日は1年生の体育祭団別会議の日だった。

竜輝に通う高校は中里中央大付属、この付属校は体育祭のチームを色で分けている。生徒は体力測定が終わると自分が3年間所属する団を割り当てられ、その中で出場種目を決めるのだ。

つまり違うクラスの生徒とも話さなければいけないのだ。


ここで竜輝の体力想定で測った50メートル走のタイムが問題になった。

竜輝は学年でも少し速い程度だが、団に分ければ上位に入ってしまう。20人中で8位だとしたら4つに分けたら2位になってしまう。つまり竜輝は地味だけど速い奴認定を受けてしまい、リレーや徒競走種目に複数出る必要があったのだ。


ここで目立ってしまったのが拙かった。冬菜のことを先輩から聞いていた1年生は多かったのだ。つまり、作戦会議終了間近になって質問攻めにされた。

幸い1年生のリーダーになった生徒とその友人たちが体育祭実行委員会に提出する出場者名簿は付けていたが、竜輝はその後も複数の生徒に絡まれていた。

結局彼は部活組が先輩に連行されるまで質問を受け続けたのだ。


そして実行委員会の会議までの数日で竜輝はようやく気付いた。

自分が冬菜目当ての男子生徒から睨まれていることに。


「木島君は本当に鈍いんだね。図書室でも睨まれてたのに」


会議が終わって帰ろうと思ったら遊撃組は残るようにと言われてしまい竜輝は会議室に残っていた。遊撃は学年から1人ずつなので冬菜と竜輝と3年生の3人だけだが、3年生は資料を持ってくるからと席を外している。


「気付きませんでした」


多少疲れの見える表情で冬菜は確信していた。竜輝は表情が変化しづらいだけで普通の男子高校生と変わらない部分を持っている。


(でも私には、というか人には無反応なのよね)


他人に対して感情が動いているのか動いていないのかが分からない。それが分かれば少しは竜輝との距離を縮める方法が分かるかとも思ったが、分からないので冬菜は考えることを止めた。判断材料が揃うまで待てばいいと思っている。

そして判断材料を手に入れる方法も試してみる。


「木島君はそういうのに鈍感だって自覚してるの?」

「しています」

「……続きは?」


冬菜の質問に竜輝は首を傾げている。細かい中身までは考えたことがないのか理由を話す必要性を感じていないのかボンヤリとした表情からは読み取れない。


「自覚するようなエピソードはあったのかなって。あったら教えてほしいな」

「今のように人の言葉の裏にある質問に答えられません」

「ああ、なるほどね」


竜輝と話していると普通なら会話が続く部分で会話が途切れる。つまり竜輝と話すときは竜輝に喋らせるよう言葉を選ばないといけないのだ。日本人お得意の相手の気持ちを察して言葉を発することを竜輝はあまりしないのだ。


「直そうとは思わないの?」

「……考えたこともないです」

「なら私と特訓してみない?」


竜輝は疑問を口に出さず、少し首を傾げるだけだ。


「そこで仕草に頼らないで疑問を口にするの」

「……何の特訓ですか?」

「よくできましたっ」


出来の良い弟を褒めているようだった。竜輝としては特訓の中身が気になっている。

冬菜が説明を始める前に3年生の遊撃担当が会議室に戻ってきた。


「先輩も戻ってきたし内容についてはまたあとでね」

「分かりました」


「内緒話?」

「師弟の秘密ですよっ」

「何の話だよ。まあいいや。じゃ、これが遊撃組の当日の予定だけど」




(ちょっと分かりやすくハシャギ過ぎちゃったかな?)


冬菜は体育祭実行委員は2度目だが、去年は選手入場の誘導係だった。

だから竜輝と同じで遊撃は初めてだが、去年の遊撃がどんな仕事をしていたかは知っているので知らなかったところの確認程度に話を聞いている。


それよりも問題は竜輝だった。体育祭は7月の前半なのだがそれが終われば冬菜は竜輝と話す理由が無くなってしまう。それでは実験ができない。

理由などなくても面白い後輩だから偶に話すくらいは可能だろうが、竜輝の反応が予想しづらいので何か理由が欲しかったのだ。


冬菜は竜輝に悪い感情は抱いていない。仮にも実験と称して竜輝相手に恋愛ゲームを仕掛けているのだから好きな部類に入っているだろう。

だが竜輝の方は分からない。もしかしたら嫌われている可能性もある。それを確かめるための師弟関係でもあった。


説明の合間に竜輝の方を盗み見てみればボンヤリとした雰囲気はそのままだが真面目に聞いているようだ。

自分がこんなに色々考えているのに向こうは見てくれない、一人相撲ってこういうことだったなと思いだす。


(実験も具体的には何をするか決めてないし、どうしようかな?)


実験は楽しみだが、恋愛小説のような展開がそうそうあるはずもない。冬菜の実験は準備段階で手詰まりだった。




(何を考えているんだろうか?)


竜輝は3年生の女子生徒の説明を聞きながら初めて冬菜に興味を持っていた。

彼がどれだけ考えても、答えは冬菜本人にしか分からない。

竜輝が自覚している欠点はさっき言ったことだが、他にもあるだろうと思っていた。

自覚のない欠点など誰にでもある。

それが竜輝の持論だ。


だからそれを直すのに協力してくれると言うなら大歓迎だった。

しかし具体的な方法を冬菜が考えているのか疑ってた。

ただ話をするだけでも効果はあるだろう、素直に感謝しておけばいい。きっとそれが正解だ。竜輝はそう思っておくことにした。


(今は係の仕事を覚えよう)


冬菜の思惑は冬菜に聞けば分かることだ。

竜輝は思考を放棄して、3年生の説明を真面目に聞き始めた。


副題は基本的に竜輝のクラスメイトの感想だったりします

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