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第2-2章

 学校から暫く歩いて駅前へと着いた。

「ここでいい?」

 大型ハンバーガチェーン店を指差す。

「いいけど混んでるな」

 昼を少し過ぎたとはいえ、人気があるようで未だそれなりに並んでいた。

「十分も並ばないと思うし行こう」

 そして、列の最後尾に並ぶ。

「俺、こういう所初めて来たよ」

「へーそうなんだ。結構美味しいよ」

「んまぁ楽しみにしとくよ。それはそうとさ真希?」

「何よ」

「この格好目立たないか?」

 そういえば創真は真希のジャージを着ているのであった。

「一応私も制服で着てるから大丈夫でしょ」

「ん、ならいいけど」

 ――待つこと数分。

「次の方どうぞ」

 レジの女性が案内する。

「あ、私たちね」

 レジの前へと立つとレジの方が「ご注文をどうぞ」と言う。

「え~と、チーズバーガーセットで、創真アンタは?」

 創真へと視線をやと、珍しいものを見るかのようにメニューを凝視していた。

「創真」

「・・・」

 呼びかけたが無反応なのでもう一度。

「創真」

「・・・」

 まだ、メニューに夢中になっている。

「後もう一つチーズバーガーセット下さい」

 レジに告げる。

「では、こちら側に並んでお待ち下さい」

「はい」

 真希が移動する。

「創真、こっち」

 まだ見ていたので無理矢理引き寄せる。

「どんだけメニュー見てんの!」

「いや、だって沢山種類があるんだもん! 凄くない!」

 何故かやたらとテンションが高い。

「いいから落ち着きなさい」

「じゅーぶん落ち着いてるって!」

(それで落ちついいているつもりなんだ。なんか変なスイッチ入ったみたいね)

「あ、きた」

 トレーに乗せられたチーズバーガーセット×2を受け取る。

「ほら、いくよ」

「お、おう!」

「じぁ席探そう」

「おう!」

(あーなんか疲れる。)

「どこか空いてない?」

「見つかんないけど」

「レベル10でしょ見つけなさいよ」

「これは能力関係ないって!」

「使えないわね」

「どーもすいませんね」

(ようやく元に戻ってきたか。なんでメニュー一つでテンション上がるんだか)

「あそこ空いてるから行くよ」

「おう」

 真希の後に続いて創真が席に着く。

「じゃ、食べましょう」

「そうしよう」

 創真がチーズバーガーを口にする。

「うわ! 美味! これ」

「そんなに美味しいかな」

 真希が空笑いしながらチーズバーガーを口にする。

「美味いって!」

「美味しいて言えば美味しいけど、そこまでじゃないと思うよ」

 そして、もうチーズバーガーを食べきった。

「アンタ、食べるの早いわね」

「美味かったからな、これはどん何なんだ」

 次はポテトを口にする。

「おお! これも美味い」

「いいから落ち着いて食べなさい」

(なんか、私が保護者みたいね)

「ボク、もう少し落ち着いて食べましょうね」

「誰がボクだ! それになんですか、その妙なキャラわ!」

「いつも通りよ、ボク」

 にこやかに小首を傾げる。

「お願いしますそのキャラ止めて下さい」

「飽きたらね」

「・・・はい」

 諦めたようで、創真がドリンクを飲む。

「うわぁ!」

「今度は何かな?」

「今これ、シュワってした。これ何」

 眼を見開いて驚き、真希に訊く。

「何ってただのコーラよ。そのシュワってやつは炭酸ね」

「へぇそうなんだ」

「まあ、おいしいでしょ?」

「うん。俺これ苦手だわ」

「人が折角買ってあげたのに嫌いってのわ、ないんじゃないかな。ボク」

「あの、真希さん」

「何かな」

「表情と目が一致いてない様に見えるんですけど・・・」

 笑ってはいたが目が怖かった。

「それに、苦手なだけで嫌いとは言ってはいません」

「そう、ならちゃんと飲みきりなさいよ」

「はい!」

 そして、一気に飲み干した。

「ど、どうだ。飲み切ったぞ。ゲップ」

「どうだって、そんな意気込むような事じゃないでしょ」

「そうですか。うぇーなんか変な気分」

「私ももうそろそろ食べ終わるから待ってなさい」

「へーい」

 そして、真希が食べ終わり、トレーを返して店を出る。

「んじゃあ、恵理奈さんの所に行きましょう」

「ああ、行こうか」

 店をでて、恵理奈さんのところへと向かうのであった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「やっと着いたわね」

「ああ、やっと着いたよ」

 疲れきった声で返す。

「なんかやけに疲れていない?」

「誰のせいだと思っているんですか!」

「誰のせいなの?」

 全く見当が付かないと首を傾げている。

「真希のせいでしょうが」

 また疲れきった声で答える。

「何かあったかしら」

 どうやら本当にわかっていないようだった。

「帰る途中、真希が目に付く店に行きまくるから、それに振り回されて疲れきったんですけど・・・」

「そんなに寄っていないって」

「これでも?」

 手に持っている物を前に差し出す。

「ホント、荷物持ちがいて助かったよ」

 悪びれたところが一切なかった。

「あ~もういいです。何言っても無駄だって言うことがわかりました。てか、よくこんなにお金持っていたな」

 買い物では2~3万円位使っていた。高校生では大金だろう。

「まあ、結構お金はあるのよね。んじゃあ早く中に行こう」

「そーですね」

 感情無く答える。

 扉を開け中へと入る。

「ただいまー」

 ただいまなんだ、んじゃ俺も。

「・・・ただいま」

 様子を伺うように控えめに声を出す。

「おかえりなさいです!」

 流深ちゃんが右手を大きく上げて返事を返してきた。

「帰ったか」

 恵理奈さんが無愛想に返事をする。

「創真さん合格おめでとうです!」

「え、なんでもう知ってるの!?」

 創真が驚いていた。

「先程学校の方から連絡を貰ったんだ」

「そうだったんですか」

 恵理奈さんの説明に納得した創真であった。

「そこで、創真さんにお祝いです!」

「え、マジで!」

「はい、マジですよ!」

 辺りに目をやると手に持っているものと似たような紙袋が置いてあった。

「中、見てもいいですか?」

 恵理奈さんに確認をする。

「構わん」

 相変わらず恵理奈さんって口数少ないよなぁ。んまあこんな事はどうでもいいから中身を確認して見ようか。

「おーありがとうございます」

「なに、私にも見して」

 真希が無理矢理に覗き込んでくる。

「ちょま、俺もまだちゃんと見てないのに」

 さっきまで目の前にあった紙袋が真希の下にあった。

「なんだ、ただの服か。もっと面白い物がよかったのに。 ・・・燃やすか」

「それは止めて! 真希が喜ぶような面白い物が入っていたら、絶対俺が困るわ! それに自分はあんなに服買っといて他人の物になると一気に興味ゼロですか」

「他人の物だからじゃなくて創真の物だからよ」

「あーそうですか俺の物だからですか・・・」

「まあいいから早く着替えなさい」

 俺の事を指差して命令をする。

(結局興味はあるみたいだな。えーと着替えられそうな場所はっと・・・あった)

「保険室(?)借りますね」

「はい、いってらっしゃいー」

 真希が手を振って見送る。

 数分後、創真が戻って来る。

「桜空創真のファッションショー」

 馬鹿が一人入室しました。

 創真の言葉に続いて真希も一言。

「どうもありがとうございましたー桜空創真でしたー」

 馬鹿が排除されました。

「もうちょい相手してよー」

「えー面倒臭い」

「というか俺がこんないいもの貰っちゃっていいんですか?」

「気にするな」

「セールで格安だったです!」

「そうだったんですか」

(できれば聞きたくなかったな)

「よかったじゃない、これで私のジャージ着ないで済みそうね」

「まあそれは助かるけど」

「それで今日は合格祝いでパーティーをしますよ! パーティーですよ! パーティー!」

 流深ちゃんがはしゃぐ。

「そうだ、真希」

「なんんですか?」

「真央も呼んでおけ」

「はーい」

 携帯電話を取り出し、電話を掛ける。

「そういえば、なんで恵理奈さんは真希とかとあんなに仲いいんですか?」

「真希と真央の両親と私は仲がよくてな、二人が最先端区域行く際に預かったんだ。流深も同じような感じだ」

「そうだったんですか」

 思ってたよりも面倒見いい人なんだな。

「連絡完了!」

 真希が戻ってきた。

「真央が直ぐいきますだって」

「そうか、何か食いたいものはあるか?」

「えっ! 恵理奈さん久しぶりにご飯作ってくれるんですか?」

 表情を一気に輝かせる。

「そこにあるチラシから好きなものを選んでおけ」

「なんだ、違うんだ」

 唇を尖らせて小声で嘆息した。

「はい! 選ぶです!」

 流深ちゃんが嬉しそうにチラシに飛びつく。

「創真さんは何か食べたいものはありますか?」

「う~んそうだな。俺は――」

「ボクはピザがいいです! 後、チキンも食べたいです! それにお寿司とカレーと中華とそれとそれと、もうとにかくいっぱい食べたいです!」

「そうなんだ、でもそんなにいっぱいは食べきれないんじゃない?」

「そうなんですぅ。それが悲しいです!」

 その言い方だと全く悲しそうには見えないけれど、まぁ気にしないでおこう。

「あー私はなにか美味しいものね。美味しいもの以外認めないから!」

 気を取り直した真希が言い放つ。

「それに載っているものは殆ど美味しいものだと思うけど」

 チラシに目線をやりつつ告げる。

「そうじゃなくて、私をわっと驚かせてくれるようなものが食べてたいのよ。もちろん美味しくてね」

「そんな抽象的なものじゃなくて、もっと具体的なもの言えよ」

「そうね、見た目とのギャップていうのが大事だと思うの」

(あーもう俺の話を中途半端にしか聞いていな)

「見た目が、何これ食べ物? って状態なのに食うと美味いみたいなものか?」

「そんな定番のじゃないのよ。なんて言えばいいんだろう、えーと、んまぁギャップが大事なの!」

 浮かばないから適当にはぐらかしやがった。

「んじゃあ・・・ どうみてもピザなのに、食ってみたらクレープの味がするとかか?」

「そんな感じなんじゃない」

(なんか妙に反応が薄いってか、俺の言葉が右から左にスルーして行ったな。もう興味なくなったのかい、折角考えたというのに)

「そういうアンタはなにが食べたいの?」

 勢い良く質問された。

「俺はなんでもいいよ」

「なんでもいいのね、わかった」

(あっ、やべ、これは絶対にろくでもないことを考えている。急いで付け足さんと!)

「ただし、健康がいなく普通に市販されているものな!」

「ちっ、そんなのわかっているから」

(舌打ちしたってことは本当にとんでもないものを食わせる気だったのか。危なかったわ。公園の草とか食べさせられたいたかもしれないな)

「ちなみに、俺になに食わせようとしてた?」

 恐る恐る訊いてみる。そして、笑顔で返答。

「レンガとか塩酸とかオリハルコンとかよ」

 想像以上だった。公園の草とかはまだ可愛い方だったんだな。

「そんなもん食わせる気だったのかよ! てか、レンガと塩酸はよくはないけど、まだいいとしてオリハルコンはここにあるのか? なら是非見せて下さいよ幻の金属を!」

「あるわけないじゃない、それにオリハルコンは冗談よ」

「それ以外は本気と」

「信じるか信じないかはアンタ次第!」

 言って俺を指差し、何かに気づく。

「そんなの買った服の中にあったかしら」

 俺の首元を指していた。

「これか? 入っていなかったよ元々俺のだ」

 リングにチェーンを通したネックレスを見せる。

「誰かからの贈り物?」

「いや違うんだ。これは母さんの形見らしいんだ」

「そうなんだ」

「あ、別に形見だからって、母さんが亡くなってるとは限らんから。生きているのかどうか、顔も知らないんだよな」

 声からも表情からも淋しさが感じられた。

「でも、俺はいずれ会えるってしんじているから。信じるものは救われるっていうしな」

 今度は声も表情も明るかった。

「そうね、私もアンタがお母さんに会える事を信じるよ」

「ただいまー」

 真央が入ってきた。

「おかえりです! 真央ちゃーん!」

「流深ちゃーん」

 真央ちゃんと流深ちゃんが抱き合った。

「二人は仲がいいんだね」

「仲良しです!」

「そういえば何をしていたんですか?」

 真央が回りに訊く。

「今何を頼むのか決めていたところよ」

 真希が答える。

「それで何にしたの?」

「それが、まだ決まっていないのよねぇ。真央はなに食べたい?」

「私はなんでもいいよ」

「そう、じゃあ私が適当に決めちゃっていいかしら?」

 俺の時とは違って、変な物は食わせる気はないんですか。

「お姉ぇに任せる」「はいです!」「別にいいよ」

 真央ちゃん、流深ちゃん、創真が答える。

(恵理奈さんは返事が無かったが、あの人は何でもよさそうだしな)

「んじゃあ、頼んでくるねー」

 また携帯を掛け始める。

「そういえばそれは何が入っているの?」

 真央ちゃんが持っている袋について訊く。

「この中にはクラッカーと飲み物が入っています」

「何でクラッカーなんか買ったの?」

「お姉ぇに頼まれて買ったんですよ。パーティーするからクラッカーも買ってきてねって、言われて」

「真希らしいな」

 空笑いしながら答える。

「それはそうとこんな所でクラッカーなんか使って散らかしちゃっていいのか」

 創真が回りの人に訊く。

「向こうにパーティールームがあります!」

 モニターが沢山ある方向と逆側にある扉を指す。

「正確には使っていない地下室への階段ですよ」

 真央ちゃんが流深ちゃんの説明に付け足す。

「へぇー地下室まであるんだ。ここって大分広いんだな」

「地下だったら幾ら騒いでも大丈夫なんですよ」

「朝まで騒ぐです!」

 真央ちゃんと流深ちゃんが楽しそうに話す。

「朝までって子供は早く寝ないと駄目だよ」

 二人に注意してみる。

「子供扱いしないで下さい」

「ボクはもう立派な大人ですよ!」

 真央ちゃんと流深ちゃんが頬を膨らませて怒ってくる。

「はいはい、ごめんね」

 こんなことで怒るなんてまだまだ子供だなっと微笑ましく思う。

「おっまたっせ」

 注文し終えた真希が戻ってきた。

「何を頼んだんだ?」

「フライドチキンのパーティーバーレルとピザを二枚頼んどいたわ。こんだけ頼んでおけば5人でも足りるでしょ」

「わーい、ピザとチキンてす!」

 流深ちゃんが手を上げてが喜ぶ。

「来るまで時間あるけどその間なにする」

 創真が皆に尋ねる。

「そうね、じゃあ皆で仮想戦闘機でタッグ戦でもやる?」

「嫌だわ!」

「私も遠慮します」

 創真と真央ちゃんが反対した。

「何で嫌なのよ! 来る前に腹ごなししましょうよ」

 不満を漏らす。

「そりゃそうだろ! あんなもんもう食らいたかないわ!」

 真希と戦った時に最後受けた攻撃を思い出しながら言う。

「私は皆みたいにレベルが高くないからいいです」

「真央、そんなこと気にしなくたっていいからやろうよ」

「いいって、だって皆レベルが高すぎるんだもん。お姉ぇはレベル9、お兄ぃはレベル10って聞いたし、流深ちゃんはレベル7、私はレベル3だし差がありすぎるんだもん」

「そうだったわね、忘れてたわ」

「なら、お姉ぇと流深ちゃんで戦えば?」

「それはいい」

 真希がすぐ断った。

「あまり流深とは戦いたくない」

(戦いが好きそうな真希が拒否するとは、流深ちゃんも相当強いみたいだな)

「じゃあ、仮想戦闘機は無しって事で何やる?」

 また創真が皆に訊く。

「なら、億万長者ゲームでもやる?」

 真希が提案してみた。

「え~」「ボクは遠慮しますぅ」「俺もいいや」

 真央ちゃん、流深ちゃん、創真、皆断った。

「なんでよ」

 皆に理由を訊く。

「あれは一回やれば十分だからだな」

 創真が代弁して答えた。

「そう、じゃあ妥当にトランプでもやる?」

「そうするか」

 創真が答える。

「大富豪やるです!」

「大富豪ならいいですよ」

 今度は皆賛成した。

「それでトランプはどこにあるの?」

「今取ってくるです!」

 流深ちゃんがトランプを取りに行く。

「持ってきました!」

「早!」

 創真が声をあげた。

「では配るです!」

 そして、カードを配り大富豪を始める。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



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