プロローグ
プロローグ
「お姉ぇーもう朝だよー起きてー」
とある晴れた日の朝、どこかの民家から元気な声が聞こえた。
「ほら、早く起きてよ。今日学校でしょ?早くしないと遅刻するよ。ほら起きたー」
勢いよく被っていた毛布が奪われた。
「もぉー起きてーって今日、祝日じゃなかったっけ」
頭を掻きながら眠気眼で体を起こす。
「祝日なのは来週だよ。はい、起きた起きたー」
「えっ、そうだったけ?」
そう言いながらカレンダーを確かめてみる。
「あぁーホントだ。んーじゃあしょうがないし、起きるかぁ」
立ち上がって軽く伸びをした。
「もうそろそろで、ご飯出来るから、早く来てね」
と言い切ってから、なぜか少しにやけながら部屋を出ていった。
まったく、元気な妹がいると大変だ。と思いながら制服に着替え始める。そしておもむろに時計へと目をやる。
「もぉこんな時間なの! このままじゃ遅刻する! まったく、どうせ起こしてくれるならもっと早く起こしてくれればいいものを、なんでこんなギリギリの時間に起こすのよー」
理不尽な悪態をつきながら急いで支度をする。
学校の登校時間は8時40分まで、それ以降は遅刻扱いとなる。まだ、一年次の最初の時期であることや、遅刻するとなにかと面倒くさい指導があるので遅刻はしたくない。現在時刻8時17分。残りの支度を急いでもあと7~8分はかかりそうだ。そして、自宅から学校までは走っても15分はかかる。正直言ってかなりギリギリである。
勢いよく部屋を飛び出し階段を駆け下り、顔を洗ったりなどを早々と済ませ食卓へと入り、そして、いきなり。
「起こすなら早くおこしてよぉ」
少しにやけながら妹が返事を返す。
「起こしてあげたんだから感謝してよね」
「はいはい、ありがと。んじゃ、行ってくる」
そう言いながらテーブルの上にはパンと目玉焼きが置いてあったが、パンだけを持って食卓を出ようとすると、いきなり「待って!」と、声をかけられた。
「何?」
「お姉ぇ、まさかそれくわえて学校行くの?」
「んまぁそうだけど。何か問題あるかな」
「そんな問題って程のことじゃないけどさぁ・・・」
言い難そうに、少し語尾を弱く返し、そして。
「いまどき、パンをくわえて急いで登校ってどうかなぁ。昔の少女マンガじゃないんだし、曲がり角でごっつんこって、そんなラブコメ的展開は無いと思うよぉ?」
妹がにやけながら茶化して言ってきた。
「そんなの狙ってないし! てかもう時間無いから行ってくるね。」
妹の発言を受け流し玄関へ向かい、靴を履き、勢いよく扉を開ける。
「いってきまーす」
そして家の中から声が返ってくる
「いってらっしゃーい」
学校へと走って向かいながら考える。
あの子、さっきの言葉を言いたいがためにギリギリに起こしたのかしら。だからさっきにやけてたのか。だったら帰ってから少し怒ってやらないと。
住宅街の中を走り続け、家と学校との丁度間くらい場所にある大きい公園が見えてきた。公園の中に入り、走り中央付近に差し掛かった時に何処からか声がかけられた。
「君、ちょっと待って」
声の主がどこにいるのか分からず、立ち止まり辺りを見回して見ると、同い年位の男がベンチで力尽きたように倒れていた。
「な、何か」
恐る恐る返事を返してみた。そして、返事が返ってきた。
「そのパンくれませんか?」